現在、日本では、いえ世界中で気候危機やエネルギー危機に直面しています。その対応についてはもう一刻の猶予も許してくれない状況なのです。
東京都では、この世界レベルの問題に対して、電力をH減らす、T創る。T蓄めるの頭文字を取ったHTTの取組を推進して2030年までにカーボンハーフを目指しています。実際の動きとして、環境確保条例を改正し2025年から大手ハウスメーカー等を対象に建築物への太陽光パネル設置などを義務付ける全国初の制度を始めます。
国も法律を改正し2024年から省エネ性能の表示制度そして、2025年から新築住宅の省エネ基準適合義務化などを開始します。
特に昨今では、エネルギー価格の高騰もあり家計にも地球にも優しい住宅への関心は高まっています。
今回はHTTとはなにかについて、そして、住まいを選ぶ際に省エネ・再エネの観点から解説していきたいと思います。
内容としては、気候危機やエネルギー危機関連の条例や法律の改正内容をメインに省エネ・再エネ住宅の効果や物件で確認すべきポイントについて詳しく解説していきます。
性能の高い住宅の資産価値がより重要になる社会に対応できるように今から準備をしておきましょう。
2023年の夏はひと際暑い夏となりました、気象庁の発表によると1898年の統計開始より過去最高温度を記録したとのことです。
地球温暖化による平均気温上昇、自然災害発生などにより、気候危機が一層深刻化しています。現在IPCC(気候変動に関する政府間パネル:Intergovernmental Panel on Climate Change)が2018年に発表した特別報告書(Global Warming of 1.5℃)によると産業革命前に比べて世界の平均気温は1.1℃上昇しており、今後の取り組みによっては4.5℃上昇するという予測もあります。
こうした気温変動により、各地で自然災害が増えその被害も甚大化しています。また、原油高騰やガスの供給不安などエネルギーを取り巻く環境が大きく変貌しています。
友人と気温上昇について話をしたとき、「二酸化炭素の影響で、気温が上昇している」という事実を知っていませんでした。
地球は、常に、太陽からの熱が海や陸に届くことによって暖められています。そして、暖められた地球からも熱が宇宙に放出されています。その放出される熱の一部を吸収し、地表から熱が逃げすぎないようにしているのが、「温室効果ガス」です。
この温室効果ガスとは、大気中にある二酸化炭素(CO₂)やメタン、フロンなどのことをさします。
実は、温室効果ガスがまったく無いと、太陽の熱が全部宇宙に逃げてしまうため、地球の平均気温は氷点下19度まで下がってしまうと考えられています。つまり、本来は、温室効果ガスは地球を暖かく保つ役割を果たしなくてはならないものなのですが、しかし、温室効果ガスが増え過ぎると、宇宙に逃げるはずの熱が放出されず、地表にたまりすぎてしまいます。そのため、気温が上昇したり、地球全体の気候が変化したりします。地球温暖化はこのために起こるのです。
二酸化炭素の排出が急激に増え始めたのは、18世紀の産業革命以降のこと。以来、人間は石炭や石油などの化石燃料を燃やして、たくさんのエネルギーを得てきました。それに、比例して、大気中に排出される二酸化炭素が急速に増加してしまいました。これが現在、地球温暖化を引き起こす、主な原因とされているのです。特に、20世紀の100年間は、温暖化が急激に進みました。
すなわち、二酸化炭素を0に調整するカーボンニュートラルが必要となるのです。我が国では2050年のカーボンニュートラルを目指して、2030年度において、温室効果ガスを2013年度を基準として46%削減することを目指しています。
その為、東京都では、電力をH減らす、T創る、T蓄めるの頭文字を取ったHTTの取組を推進して2030年のカーボンハーフを目指しているのです。
光熱費高騰の要因となっているのは、原料価格高騰・円安の進行・ガスの供給不安等です。これらは、各家庭の光熱費の負担に影響します。ガス代と電気代が特に顕著に高騰しています。東京都でも最近は落ち着きをみせていますが、電気代はこの一年半で6割以上値上がっています。電気代の値上がりは、東京都やの日本だけの問題ではなく、なんとスウェーデンやフィンランドでは5倍から10倍値上がっています。現在、世界中でエネルギー価格が高騰しています。光熱費の値上がりは、日本だけではなく、世界中の問題になっています。
地域差がありますが、一番極寒の気象条件が厳しい地域では月収の半分が電気なんて地域も存在します。東京都をはじめ、国の負担軽減策で、現在は光熱費負担が落ち着いてはいますが、まだまだ、変動する要素を抱えています。更なる上昇に備えておくことが重要ではないでしょうか。
つまり、光熱費の削減が見込める省エネ・再エネ住宅の優位性も更に高まってくるのではないでしょうか。
都内でのCO₂の排出量の約3割が家庭部門すなわち住宅です。業務ビルなどを含むと約7割の建物が関係しています。家庭部門のみエネルギー使用量が増加しています。カーボンハーフに向けては家庭部門の取組が急務です。
省エネ・再エネ住宅の普及に関して、都内の住宅の状況サイクルの予測を見た時に、2030年までに新築や約40万頭建てられ2050年までには約130万棟が新築として建てられている予測がたっています。また、2050年には今のストック数約200万棟を基準とすると、残り70万棟への対応も必要となってまいります。すなわち、リフォーム時などに、省エネ・再エネ住宅への性能向上リノベーションが重要となってくるのです。
また、部門別の最終エネルギー消費の推移を見た時、2000年を100とおくと、運輸部門や産業部門はかなり削減されていますが、業務部門特に家庭部門に関しては減るどころか増えてしまっています。全体的には減少傾向にありますが、業務部門と家庭部門の削減が重要つまり、建物の省エネ・再エネ住宅化が鍵となってまいります。
東京都の住宅市場について詳しく説明していきます。こちらは棟数ではなく戸数となります。
東京都の新築住宅着工戸数は約13.5万戸になります。
そのうち、戸建住宅は3.3万戸になり、分譲マンションは3.2万戸、賃貸住宅7万戸となります。
【令和4年度計 着工新設住宅戸数:利用関係別・都道府県別表(令和4年4月~令和5年3月)から抜粋】
都内人口約1400万に対して住宅ストックの状況は約767万戸
共同住宅(非木造)の民間借家(31.6%)、戸建住宅の持ち家(23.9%)、共同住宅(非木造)の持ち家(19.3%)の順になります。
その中で既存住宅には、耐震性、省エネ、バリアフリーなどの基準を満たしていないものが多くあり、特に省エネ性能(断熱性能)は既存住宅の約9割が省エネ基準(等級4)に満たないものとなってしまっています。
皆様は省エネ・再エネ住宅と聞いてどのような住宅を思い浮かべるでしょうか。
省エネ・再エネ住宅とはまず、断熱、気密性の高い家となります。
住宅の窓、屋根、壁、床などの断熱性が高い家となります。
断熱とは文字通り、熱を断つこと 夏は外気の厚さを断って室内に入れない、冬は冬温まった室温を外に逃がさないといったことで、外気の影響を受けにくく冷暖房を効率的に使用でき、光熱費を節約することが出来ます。住宅の断熱性能は、「外皮平均熱貫流率」(UA値)で示されます。住宅の外皮(床、壁、窓など外気と接している各部位)から逃げる熱損失を合計し、外皮面積で割って求めます。数値が小さいほど省エネ性能が優れています。
特に窓の性能が重要になります。夏冷房時に外から入ってくる熱の73%冬暖房時に外に熱が逃げてしまう熱の58%が窓をはじめとする開口部を出入りします。
日射
夏に室内の温度が上がる最も大きな要因が、外部からの日射熱です。そのため、夏は、日射を遮蔽し、室温の上昇を抑えることで、冷房に必要なエネルギーを削減する必要があります。
住宅の日射遮蔽性能は、「冷房期の平均日射熱取得率」(ηAC(イータエーシー)値)で示します。入射する日射量に対する室内に侵入する日射量の割合を、外皮全体で平均した値をいいます。数値が小さいほど省エネ性能が優れています。
気密
住宅に隙間があると、その隙間を通じて空気が出入りすることで熱が室内外で移動します。この空気の移動による熱の移動を少なくするために隙間を減らすのが気密対策です。
ただし、気密性能だけを強化すると室内環境が悪化しますので、必要な換気量を確保しつつ、過剰な空気の移動を減らすことが重要です。
次に住宅で使用されるエネルギー消費量を抑えた住宅です。エコキュート、エコジョーズなどの高効率給湯設備、高効率空調、LED照明などが設置されていると、エネルギー消費量を抑えることができ光熱費の削減につながります。
また、太陽光発電などエネルギーを作る設備があると更に良いです。
目指すべき最終の水準は、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とされています。これは、外皮の断熱性能を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅のことです。
2022年6月 建築物省エネ法改正
2024年4月 建築物の販売・賃貸時に省エネ性能基準表示が努力義務化
2025年 新築住宅 省エネ基準適合義務化
2030年 新築住宅の基準強化の方向性
(新築住宅 ZEH水準の省エネ性能の確保を目指す)
2050年 ストック平均で高い省エネ性能確保 カーボンニュートラル
ストック平均 (新築・既存住宅あわせて)ZEH水準の省エネ性能の確保を目指す
つまり、耐震でいう新耐震基準と旧耐震基準のように断熱でも、2025年もしくは2030年の省エネ基準が適用されそれ以前とそれ以後で区別される日がやってきます。
建築費が高騰している現在、省エネのために、コストをかけるのは不適切ではないかと考えられる方もおられると思いますが、光熱費の削減や工法によってはメンテナンス費用や修繕費用の削減にもつながります。
1 建築物省エネ法の改正
(1)新築住宅等の省エネ基準適合義務化(2025年~)
(2)建築物販売・賃貸時の省エネ性能表示の努力義務
2東京都環境確保条例の改正
建築物環境報告書制度の創立 (2025年~)
(新築住宅向け太陽光発電、断熱・省エネ性能、環境性能の説明)
1 建築物省エネ法の改正
省エネ基準とは?
省エネ基準とは、建築物が備えるべき省エネ性能の確保のために必要な建築物の構造及び設備に関する基準であり、 一次エネルギー 消費量基準と外皮基準とに分けられます。 一次エネルギー 消費量基準( 住宅・ 建築物ともに適用) 一次エネルギー 消費量が基準値以下となることそして 外皮基準( 住宅のみに適用) 外皮( 外壁、 窓等) の表面積あたりの熱の損失量(外皮平均熱貫流率等) が基準値以下となること。
① 外皮基準(外皮性能)
屋根・外壁・窓などの断熱の性能に関する基準
➁一次エネルギー消費量
住宅で使うエネルギー消費量に関する基準
新築住宅の省エネ基準適合義務化に伴ってどうかわる?
たとえば旧耐震の住宅は古いだけではなく住宅ローン控除や補助金の優遇措置の対象外になるなど次の購入者から敬遠されがちになるため、資産価値が毀損する可能性がありますし、事実大きな差が生まれています。
同じように、2025年の新築住宅等の省エネ基準適合義務化に伴いそれ以前とそれ以後に区別される日がやってきます。
省エネ基準が外皮性能と一次エネルギー消費量に2本柱は先ほど説明しましたが、それぞれの数値は等級を使い客観的に示すことができます。
ちなみに2025年の義務化は断熱等性能等級(外皮性能)等級4一次エネルギー消費量等級4となります。将来的な基準とされるZEH水準は断熱等性能等級(外皮性能)等級5一次エネルギー消費量等級6とされています。
2022年度には断熱等性能等級(外皮性能)について等級6等級7が新設されました。それまでの基準では等級4が最高等級となっており、日本の断熱への基準の低さ関心の低さが伺えます。
また、2024年4月より、建築物販売・賃貸時の省エネ性能表示の努力義務化が始まります。具体的には省エネ性能ラベルを明示することが始まります。
省エネ性能ラベルとは
省エネ性能表示制度とは、建物の省エネ性能が分かる「省エネ性能ラベル」の表示を事業者の努力義務として定める制度です。住宅や建築物の省エネ化のために、消費者をはじめとする誰もが「省エネ性能」というひとつの基準で家・建物を選べるようにする目的があります。
この省エネ性能表示制度を理解するためには、事業者が発行する「省エネ性能ラベル」と「エネルギー消費性能の評価書」の2つについて知っておく必要があります。順に詳しく見ていきましょう。
① 再エネあり/なし
再エネ設備(太陽光発電・太陽熱利用・バイオマス発電等)が設置されている場合に「再エネ設備あり」と表示できます。
② エネルギー消費性能(必須項目)
国が定める省エネ基準からどの程度消費エネルギーを削減できているかを見る指標(BEI)を、星の数で示します。
③ 断熱性能(必須項目)
「建物からの熱の逃げにくさ」と「建物への日射熱の入りやすさ」の2つの点から建物の断熱性能を見る指標です。
④ ZEH水準
エネルギー消費性能が★3つ、断熱性能が5以上で達成のチェックマークがつきます。
⑤ 目安光熱費※
住宅の省エネ性能に基づき算出された電気・ガス等の年間消費量に、全国統一の燃料等の単価を掛け合わせて算出した1年間の光熱費を目安として示します。
※住棟ラベルでは非表示。任意項目のため記載がない場合もあります。
⑥ ネット・ゼロ・エネルギー(ZEH)※
ZEH水準の達成に加え太陽光発電の売電分も含めて、年間のエネルギー収支がゼロ以下で達成のチェックマークがつきます。
※第三者評価(BELS)の場合のみ表示
⑦ 自己評価・第三者評価
省エネ性能の評価が販売・賃貸事業者による自己評価か、評価機関による第三者評価かを示します。
⑧建物名称(必須項目)
省エネ性能の評価対象がわかるように物件名を設定します。
必要に応じて、棟名や部屋番号も掲載します。
※物件名称が正式名称ではない場合は「(仮称)○○」と記載して下さい。
⑨ 評価日(必須項目)
評価された省エネ性能がいつ時点のものかを示します。
今年から、広告には省エネ性能や光熱費の目安が記載されるようになるでしょう。
2東京都環境確保条例の改正
建築物環境報告書制度の創立 (2025年~)
(新築住宅向け太陽光発電、断熱・省エネ性能、環境性能の説明)
背景として、これまで解説した通り、都内CO₂排出量の7割超が建物関連になります。削減できていない、業務・家庭部門の対策強化が急務となります。
そこで、新築建物への対策やリフォーム時などの既存建物の省エネ・再エネの促進が脱炭素化・良質な都市環境の実現に向け重要になります。
現行法では2000㎡以上の大規模新築建築物に対応していますが、新築着工数は中小規模建築物が全体の98%を占めます。そのうち90%が住宅となります。
これまでにも補助金等の取組はありましたが、脱炭素化に向け建築物環境報告書制度の創立されました。
都内の排出量の部門別でまた場合、産業・運輸部門は2000年度以降ほぼ一貫して、業務部門は2007年度をピークに減少傾向していますが、家庭部門は2000年度比で唯一増加しています。世帯当たりの消費量は減となっていますが、世帯数の増加により、消費量が増えています。2020年度は、コロナ禍による在宅時間の増加等により、大幅に増加しています。
2030年のカーボンハーフの実現にめけては特に家庭部門への対策強化が鍵となります。
東京の地域特性として都内の大きなポテンシャルは屋根になります。都内の太陽光発電設備の設置量は年々増加していますが、住宅の屋根などへの設置は2019年度で4.24%と限定的で都内には大きなポテンシャルが存在しています。建物が多い大都市東京において再生可能エネルギー導入の最大化を図るには、屋根を最大限活用することが重要です。
こうした背景のもと、2022年12月に環境確保条例を改正し、2025年4月から新築住宅等への太陽光発電設備の設置や断熱・省エネ性能の確保等を義務付ける新たな制度が施行されます。
年間都内供給延床面積が20,000㎡以上の建物供給事業者が対象
延床面積2000㎡未満の新築建築物が対象
新築する建築物において
断熱・省エネ性能を確保
太陽光発電設備等の設置
電気自動車充電設備等の設置の義務付け・誘導を行う仕組み
建物供給事業者は、施主や購入者等に対して新築建築物の環境性能について説明
建物の供給業者は注文住宅の施主及び建物分譲住宅の購入者等に対して、断熱・省エネ、再エネ等の環境性能に関する説明を行う事が必要になります。
建物供給事業者は注文住宅の建築主や建売分譲住宅の購入者等に対し、断熱・省エネ、再エネ等の環境性能に関する説明を行います。
宅地建物取引業者が直接説明する義務はありません。
注文住宅の施主や建物分譲住宅の購入者等は事業者の説明を聞き、建物の環境配慮について理解を深め、環境への負担を減らす努力を行う必要があります。
省エネ・再エネ住宅のメリットは大きく分けて4つあります。
① 光熱費の削減
② 室内が快適に
③ 家族の健康を守る
④ 資産価値の向上
① 光熱費の削減
こちらの表をご覧ください。
こちらの表は国土交通省がまとめた表となりますが、東京都23区では年間46,000円、北海道では、年間96,000円安くなることがわかります。今後電気大刀光熱費が上昇することを考慮すると更にお得になることが考えられます。また、太陽光発電を併用することで更にその効果に期待できます。
② 室内が快適に
こちらをご覧ください。
外気温0℃、暖房設置温度20℃の時の室内環境イメージになります。
昔の家と等級6で建てられた家では足元の暖かさが全然違いサッシの温度差が顕著にでています。
(株)LIXILホームページより
③ 家族の健康を守る
省エネ・再エネ住宅は以下のような健康面に対して、有効です。
ヒートショックの防止、ヒートショックについては以下のコラムをご覧ください。
ヒートショックには気をつけて!対策や原因について|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)
結露の防止をすることで、アレルゲンとなるカビの発生の防止、カビを餌とするダニの発生の防止、発生を防止することで、ダニの死骸や糞尿によるアレルゲン物質の元を減らすことができます。アレルギーや喘息もちの方やお子様も安心して暮らす事できます。
④ 資産価値の向上
これらのメリットにより、建物の資産価値が向上します。将来的に、2025年もしくは2030年以降に建てられた建物かどうかが重要となります。また、それ以前の住宅については省エネ性能ラベルのように、断熱の性能が分かるようにリフォームを行う事が重要となります。
デメリットについて
省エネ・再エネ住宅のデメリットについてですが、やはり、最初に挙げられるのが、初期コストが増加してしまう点となります。断熱材やサッシなどの材料費、給湯器などの設備投資費など、高額になります。元々、建築資材はコロナ禍などの影響もあり、高騰しています。そんな情勢の中で、更に建築費が増加するとなると大きな負担となってしまいます。
但し、このデメリットはメリットでも紹介しましたが、日々のランニングコストで回収できます。光熱費や医療費などを考えた場合、初期コスト、イニシャルコストでかけた分の費用は回収できる可能性が高いので、省エネ・再エネ住宅には大きなデメリットも見当たりません。
ここでは、中古住宅を購入する際のチェックポイントについてご紹介します。
夏の冷房時の熱の73%が窓(開口部)から入り、冬の暖房時は58%が窓から出ていきます。つまり、どのレベルの窓(サッシ)を使用しているかについてチェックすることが一番簡単かつ効率のよいポイントとなります。
ですが、サッシは年々性能が良いものが登場しています。そのため、まずは窓に関して調べること、そして、窓の断熱性能を向上させるリフォームを行うことが最も効果的手段となるのです。
窓の種類
単板ガラス
複層ガラス
LOW―Eガラス
アルミ樹脂複合サッシ・樹脂サッシ・木製サッシ
いずれも、アルミサッシに比べて、熱が通しにくいものになります。
どの窓の種類になるのかを確認しましょう。
サーモグラフィーなどで調査することもおススメです。
次に住宅には何にエネルギーが使われているかということを考えた場合に、給湯、暖房、照明のエネルギーがよくつかわれています。
給湯器の種類
電気を使うならエコキュートやエコジョーズ、エネファームなど高効率給湯器を利用しているかを確認しましょう。
エコキュートとは
エコキュートとは、ヒートポンプ技術を利用し空気の熱で湯を沸かすことができる電気給湯機のうち、冷媒として、フロンではなく二酸化炭素を使用している給湯器のことです。
家庭で消費されるエネルギー量のうち、給湯が占める割合は約1/4に相当します。つまりエネルギー効率のよい給湯器を選ぶことは、環境と家計どちらにとっても最適なのです。
エコジョーズとは
「エコジョーズ」とは、少ないガス量で効率よくお湯を沸かす省エネ性の高い給湯器のことです。
エネファームとは
エネファームとは、家庭用燃料電池コジェネレーションシステムの愛称です。
都市ガス・LPガスから、改質器を用いて燃料となる水素を取り出し、空気中の酸素と反応させて発電します。発電の際にでる熱を給湯に利用し、エネルギーを有効活用するので、省エネルギーとなります。なお発電の際には、水素を用いるため二酸化炭素が発生しませんが、改質で水素を取り出す過程では、二酸化炭素が排出されます。
これらの高効率給湯器を利用しているかを確認しましょう。また、これらの給湯器の寿命は10年から15年となりますので、給湯器の残り寿命も考慮しましょう。また、エコキュート、エネファームなどは、設置場所も通常の給湯器よりも必要となりますので、設置スペースが確保できるか確認しましょう。
その他省エネ設備
また、高効率の給湯器をより効率的に利用する為には、高断熱浴槽がおすすめです。
保温機能をもった専用ふたや浴槽のまわりを保温材ではさむことでお湯が冷めにくくなります。余分な追い炊きがいらなくなり、ガス等が節約できます。
節水水栓や節水型シャワーヘッドなど細かな節水機能がついた設備も効果的です。
照明についてはLED照明を導入する
現在LED照明は一般的なものになってきましたが、まだまだ、LED照明の導入の余地が残されています。
その他、太陽光発電などの設置の有無、無い場合には利用を検討しましょう。太陽光は屋根の形状を密接な関係があります。太陽への向きが重要になるからです。もしかしたらそのままの屋根の形状で設置しても期待した通りの成果をもたらすことが難しいかもしれません。
東京都HTTが進行している今、既存住宅、中古住宅は建物の価値を大きく毀損してしまう恐れがあります。この問題は東京都だけではなく日本全国での問題でもあります。なぜなら、2025年そして2030年、そして目標の2050年カーボンニュートラルに向け進みだしているからです。現在は先行して、新築住宅がピックアップされていますが、中古住宅もその波から逃れることはできませんし、大前提カーボンニュートラルを目指さないと最悪の場合人類滅亡なんて、アニメやドラマのネタになりそうなことが現実に起こってしまう可能性が高いのです。子供たちそして更に下の世代の子供たちに何を残してあげることが出来るのかが重要になります。アプローチとして必然的に省エネ・再エネ住宅が必要となってきます。なぜ省エネ・再エネ住宅が重要なのかはこのコラムをご覧頂いた皆様にはお分かり頂けたかと思いますが、これからこの考え方やこの省エネ基準が標準となります。つまり、これらの基準に適合していない中古住宅は建物の価値を大きく毀損してしまう可能性があるのです。
そこで、中古住宅購入時に考えて頂きたいことがあります。まずは、性能向上リノベーションになります。今回のコラムでは省エネ・つまり断熱についてフォーカスしておりますが、このような価値のある建物を残すためには耐震リフォームが必要となるのです。今年は能登地震がありました。そこでは、新耐震基準の脆さが浮き彫りになり、今後の中古住宅の耐震化の課題が上げられており、この東京中古一戸建てナビや関連サイトの増改築.comではこの問題と向き合い日々日本の建物の耐震化と高断熱化に向き合ってきており、中古住宅でありながら、耐震等級や省エネ等級で最高等級相当の数値をクリアした建物を生み出しています。このように中古住宅でも新築に負けない素晴らしい暮らしやすい建物を提供することができ、また基準を目に見える形で、第三者機関に証明してもらうことも可能になっています。耐震補助にしても断熱補強にしても、その方法などは様々になります。例えば筋交いを一本足すだけで、断熱材を入れるだけで、補強工事と言えるかもしれませんが、もちろんその性能を感じれることができるのがよいのですが、断熱補強は実感することができますが、耐震補強は普通に生活をする上ではやっているのかやっていないのか、効果があるのかないのかわかりません。そこで、耐震補強工事では、構造計算などや断熱補強工事では外皮計算(Ua値)などを行い必要とあらば第三者の評価機関に依頼し性能評価書等を発行してもらうことが重要となります。
但し、ここでも一つ問題があります。それはコストの問題です。性能向上リノベーションでは最低でも1000万以上の費用が発生してしまいます。
中古住宅を探されている方には価格に魅力を感じて購入を検討されている方もおられると思います。そんな方に高額なリフォーム費用は足かせとなってしまいます。そこで、現在おススメしているのが、窓のリフォームです。上記でも説明しておりますが、窓(開口部)からの熱の動きが最も大きいからです。
その為、窓のリフォームを行うことをおススメしています。現在は『先進的窓リノベ2024事業』などを初め手厚い補助金も利用できる可能性があります。
このように、皆さまの、状況に合わせて、リフォームを行い、東京HTTに協力していくことが中古住宅の省エネ・再エネ住宅の考え方になります。
環境問題は21世紀の全人類に対しての大きな課題になります。
また、その中で、今回のコラムで解説してきたように省エネ・再エネ住宅には様々なメリットがあります。それに加え避けては通れないところまで来ています。中古住宅だから関係ないではなく、しっかりと向き合い自身でできることを少しずつ進めていくことが重要となります。
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著者情報
宅地建物取引士 刈田 知彰
(かりた ともあき)
ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。
私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。
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