
「土地の水道引き込み工事って、どれくらいの費用がかかるんだろう…」と心配になっている方もいるでしょう。
昨今の資材価格高騰や人件費の上昇により、以前の相場よりも工事費が高くなっているケースも少なくありません。
新しく土地を購入した場合、水道の引き込み工事は避けて通れない重要なステップです。
しかし、具体的な費用内訳(工事費と加入金の違いなど)や、最新の注意点がわからず不安になることもありますよね。
この記事では、土地の水道引き込み工事の最新の費用相場や注意点について詳しく解説します。
工事にかかる費用は土地の条件や地域によって異なりますが、しっかりとした知識を持っていることで、想定外の出費やトラブルを防ぐことができます。
これから土地を購入し、水道の引き込み工事を検討している方は、ぜひこの記事を参考にして、スムーズに工事を進めましょう。
この記事では、土地の購入を考えている方に向けて、
- 水道引き込み工事の最新の費用相場(工事費+加入金)
- 現代の住宅設備に適した水道管の口径
- 工事の際に注意すべき「私道」や「権利」のポイント
上記について、建築・不動産のプロとしての経験を交えながら解説しています。
不安を抱えることなく、しっかりと資金計画を立てて工事を進めるために、ぜひ参考にしてください。
土地への水道引き込み工事とは、前面道路を通る水道本管から、新しく購入した土地の敷地内(メーターボックス)まで水道管を引き込むための工事を指します。特に新規分譲地以外の「更地渡し」の土地や、古家付土地を解体して新築する場合などでは、既存の水道管が古すぎたり、口径が細すぎたりして、新たに引き込み直しが必要になるケースが多いでしょう。
この工事が重要な理由は、単に「水が出るようにする」だけでなく、「現代の生活に必要な水圧と水量を確保する」ためです。昔の基準(13mm管など)のままだと、シャワーとキッチンを同時に使った際に水圧が弱まるといった不便が生じます。
また、費用については「工事代金」だけでなく、自治体に支払う「権利金(加入金)」が必要になる点も忘れてはいけません。以下で詳しく解説していきます。
水道引き込み工事は、ライフライン確保のために不可欠ですが、費用には大きく分けて2つの種類があります。一つは、道路を掘って管を通す「工事実費」。もう一つは、新たに水道を利用する権利を得るために自治体(水道局)へ支払う「水道加入金(給水負担金)」です。
土地購入の際、重要事項説明書に「上水道:公営」とあっても、敷地内に引き込まれていない場合や、引き込まれていても口径が小さい場合は、これらの費用が別途発生します。「土地代以外にかかる大きな出費」として認識しておく必要があります。
工事が必要かどうかの確認方法
購入予定の土地に工事が必要かどうかを確認するには、まず不動産会社から渡される「重要事項説明書」や「物件資料」の『設備』欄を確認します。「公営水道(宅内引込あり)」となっていれば基本的にはそのまま使えますが、「口径(mm)」に注意してください。
より確実なのは、管轄の水道局で「上水道台帳(配管図)」を取得することです。これにより、前面道路に本管がきているか、そこから敷地内に何ミリの管が引き込まれているか、あるいは全く引き込まれていないかが分かります。これらは専門的な知識も要するため、仲介の不動産担当者に「20mm以上の引き込みはありますか?」と具体的に質問するのが近道です。
水道引き込み工事の費用は、ここ数年の資材高騰と人手不足により上昇傾向にあります。「30万円くらいでできるだろう」と思っていると、見積もりを見て驚くことになりかねません。
費用の総額は、「工事費」+「水道加入金」+「諸経費(道路本復旧費など)」で構成されます。条件によっては総額で100万円を超えることも珍しくありません。
以下で、要素ごとの具体的な相場を見ていきましょう。
距離と道路状況による工事費の違い
「工事費」の相場は、敷地の目の前の道路から引き込む一般的なケースで約30万円〜50万円程度が目安です。しかし、これはあくまで最短距離の場合です。
もし、目の前の道路に水道本管がなく、数メートル〜数十メートル離れた場所から延長してくる必要がある場合、費用は跳ね上がります(1メートルあたり数万円の加算)。また、掘削する道路が「県道」や「国道」で舗装が厚い場合や、交通誘導員が必要な場合もコストアップの要因となります。
水道管の口径(13mm vs 20mm)と加入金
非常に重要なのが「水道管の口径」です。かつての住宅は「13mm」が主流でしたが、食洗機、タンクレストイレ、2階トイレなどが普及した現代住宅では、「20mm」以上が推奨(実質的な標準)となっています。
もし古い土地に13mmの管が入っていても、新築時に20mmに入れ替える工事が必要です。また、口径が太くなると自治体に支払う「水道加入金(納付金)」が高くなります。
【加入金の目安(自治体により大きく異なる)】
・13mm:数万円〜10万円程度
・20mm:10万円〜30万円程度
地域によっては加入金だけで数十万円の差が出るため、事前の確認が必須です。
その他の関連費用(本復旧・申請費)
工事が終わった後、掘り返した道路を元通り綺麗にする「本復旧工事(アスファルト舗装)」の費用も忘れてはいけません。自治体の規定によっては、広範囲の舗装直しを求められることがあり、これに追加で数十万円かかるケースがあります。
また、設計審査手数料や竣工検査手数料といった「役所への申請手数料」として数万円が必要です。見積もりを取る際は、「これら全ての費用が含まれているか(概算でも入っているか)」を必ず確認しましょう。
水道工事は、単にお金を払えば解決する問題ばかりではありません。特に「権利関係」や「近隣との調整」においてトラブルが発生しやすい分野です。
最も多いのは、他人の所有地(私道など)を掘削したり、他人の敷地に管を通させてもらう場合の承諾に関するトラブルです。これらが解決しないと、最悪の場合、家は建ったのに水が引けないという事態になりかねません。
以下で、具体的なトラブル事例と対策を解説します。
隣接地を通る水道管の問題(他人の土地を経由)
古い分譲地や複雑な地形の土地では、稀に「水道管が隣人の敷地の下を通って引き込まれている」あるいは「自分の敷地の下を隣人の水道管が通っている」というケースがあります。
新しく工事をする際、他人の敷地を経由しなければならない場合は、その所有者の「承諾書(ハンコ)」が必要です。関係性が良好であれば問題ありませんが、代替わりなどで所有者が不明だったり、拒否されたりすると工事ができません。購入前に「配管経路」を必ず確認し、他人の土地をまたいでいないかチェックすることが重要です。
私道(位置指定道路)での掘削承諾
前面道路が「公道(市町村道)」ではなく「私道」の場合、その私道の持ち主全員(または代表者)から「私道掘削承諾書」をもらう必要があります。
私道の所有者が複数いる場合、一軒ずつ回ってハンコをもらう必要があり、中には「工事の騒音が迷惑だ」「承諾料(ハンコ代)を払え」といった要求をされるケースもあります。土地の売買契約をする前に、売主側または不動産会社を通じて「掘削の承諾は取れているか」を確約してもらうのが鉄則です。
本管からの距離が遠い・水圧不足
田舎暮らしや郊外の広い土地でよくあるのが、「前面道路まで水道が来ていない」というケースです。数百メートル離れた本管から自費で管を引いてくる場合、工事費だけで数百万円かかることもあります。
また、高台の土地や、本管の末端に位置する土地では「水圧」が低く、2階や3階でシャワーの出が悪いというトラブルも起こり得ます。これらは事前の水圧調査や、ブースターポンプ(加圧ポンプ)の設置費用を見込むことで対策可能です。
ここでは、お施主様からよくいただく質問をQ&A形式でまとめました。工事期間や手続きのタイミングなど、実務的なポイントを押さえておきましょう。
工事期間と申請期間はどれくらい?
実際の工事自体は「1日〜数日」で終わることが多いですが、注意すべきは「申請期間」です。
役所に工事の申請を出して許可が下りるまでに、通常2週間〜1ヶ月程度かかります。さらに、道路の使用許可(警察署)なども含めると、着工までに1ヶ月以上かかることも珍しくありません。「来週から工事してほしい」という急な依頼は通らないため、建築スケジュールには余裕を持たせておきましょう。
「指定工事店」でないと工事できない?
はい、その通りです。水道の引き込み工事は、各自治体の水道局が認可した「指定給水装置工事事業者(指定工事店)」でなければ施工できません。
ハウスメーカーや工務店に家づくりを依頼する場合は、提携している指定工事店が手配されるので心配ありませんが、分離発注(自分で業者を探す)場合は、必ずその地域の指定店であるかを確認してください。
費用を安く抑える方法はありますか?
正直なところ、水道工事費自体を大幅に値切るのは難しいです(道路の掘削規制や指定材料が決まっているため)。
しかし、「無駄な出費を防ぐ」ことは可能です。
1. 相見積もりを取る: 指定工事店によって見積もりに差が出ることがあります。
2. 同日施工: 下水道(排水)工事やガス工事と同じタイミングで溝を掘ることで、掘削・埋め戻し費用をシェアできる場合があります(調整が必要)。
3. 土地選び: 何より一番の節約は、購入前に「20mmの水道が敷地内に引き込まれている土地」を選ぶことです。これにより数十万〜100万円近いコストカットになります。
今回は、土地の水道引き込み工事について、
- 最新の費用相場(工事費+加入金)
- 13mmと20mmの違い
- 私道や隣接地に関するトラブルと対策
上記について、現在の建築事情を交えて解説してきました。
土地の価格が安くても、水道の引き込みに100万円以上かかってしまっては、トータルの予算計画が狂ってしまいます。「建物にお金をかけたい」とお考えであればあるほど、目に見えない「インフラ工事費用」を事前に正確に把握しておくことが重要です。
この記事を読んでいるあなたは、すでにリスク管理の第一歩を踏み出しています。ぜひ、土地の購入契約を結ぶ前に、不動産担当者に「水道の口径」と「加入金の有無」、「私道の掘削承諾」について確認してみてください。そのひと手間が、あなたの理想の家づくりを成功させる大きな鍵となります。
著者情報
宅地建物取引士 刈田 知彰
(かりた ともあき)
ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。
私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築住宅が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は大正八年創業のハイウィル株式会社で中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。とはいえ今はその狭間の時代となり、新築住宅も中古住宅どちらにも重要があり、ご紹介させて頂いております。
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