2022.08.29
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2025年住宅の省エネ基準適合義務化
更新日2023/12/25
2025年住宅の省エネ基準適合義務化が予定されています。
「2025年まだ3年もあるから先の話だな」では遅すぎます。
これを機になぜ2025年に住宅の省エネが義務化されるのか、知識を深め迫るカーボンニュートラル時代に対応しましょう。
目次
1.省エネ義務化までの流れ
2025年より住宅の小規模な建物に対し一定基準の断熱性能にすることを義務化するとい内容になるのですが、2025年よりもなぜ早くやらないのかやれないのかという事なのですが、実は2020年には本来省エネ義務化を行っている予定だったのですが、1回先送りされてしまいました。
2018年に作られた第5次エネルギー基本計画ですけどここでは2020年までとなっていたのです。
2018年の第5次エネルギー基本計画を少し見てみましょう。こう書いてあります。2020年までに新築住宅の建築物について段階的に省エネルギー基準の適合を義務化することでしていると
2021年の第6次エネルギー基本計画では建築物省エネ法を改正し、省エネルギー基準適合の対象外である住宅及び小規模建築物の省エネルギー基準への適合を2025年度までに義務化するになっています。
すでに5年先送りにされたという意味でも一日でも早い導入が求められます。
先送りにされたからと言って軽い話ではありません。とても重要な話になります。
2.地球温暖化対策計画について目標数値
地球温暖化対策計画の改正したものなのですが、こちらの表をご覧ください。
環境書のまとめた表になります。
2013年度から46%が目標です。
そもそもなぜ住宅の省エネ断熱が重要なのでしょうか。
部門別、家庭の欄をご覧ください。2030年までに66%co2を削減しなければなりません。このためには住宅の断熱が必要となります。
簡単にイメージするなら一日3時間エアコンをつける方は1時間しか使えないイメージです。逆に言えばエアコンの効果が3倍になるような住宅環境にする必要があるのです。
今のペースで2025年から行って間に合うのでしょうか。
3.現在の日本における断熱とは
実はこの数値を達成できる可能性は十分にあります。
何故かというと日本の住宅は断熱性能が他の国と比較しても性能が低いからです。
日本は断熱後進国なのです。
ご覧ください。世界の基準に比べても日本の住宅は非常に断熱性能が悪い事がわかります。熱がダダ漏れの状態なのでその分どんどんエネルギーが必要となります。エアコン代とか灯油代がかかってきてしまうのです。
また、断熱性能を上げておくことによりヒートショック防止やアレルギーの原因と言われているカビやダニの発生を抑える事にもつながります。これらに関連した健康状態の心配も今回の義務化によって少なくなります。
断熱=健康につながるのです。
断熱工事は高いというお声を聞きますが、断熱効果の高い家に住むと灯油やエアコンの電気代にも差がついてきますので、将来的にはお得になります。
しかも、近年は原油価格や天然ガスが高騰していますので、将来的に更に省エネによるメリットは高くなる可能性も含んでいます。つまり断熱工事に投資した分の投資回収も早くなります。
と言う事は、健康面や金銭面でみても、今住宅をお探しの方、リフォームをお考えの方は断熱について早急に検討する必要があるのです。
4.中古市場における断熱の重要性
また、日本の新築志向の問題です。
グラフをご覧ください。新築と既存住宅の割合ですが、日本は14.5%アメリカ合衆国では81.0%となっております。その他の先進諸国とも新築と既存住宅の割合は反転しています。
日本だけ売られている住宅のシェアを新築が占めています。
海外を見てくださいアメリカもイギリスもフランスも圧倒的中古住宅が多くなります。
これには訳があります。海外の中古住宅にきちんと価値があるからです。何年も人が住んで安全な家、そこに引っ越しするのが当然になります。地震がない、石、コンクリート文化からスタートしたなど様々な理由があると思いますが、海外は事実として中古市場が活性化されています。
日本では逆に中古住宅は大丈夫かな?嫌だなという発想になる人も多くいます。
その背景の一つとして「中古住宅だから断熱性能が低く寒いのではないか」と思われていることがあります。
「やっぱ新築いいよね」と最初はなるのですが、ところがせっかく作った新築住宅もやっぱり断熱性能が足りていないのでどのみち売れなくなってしまう悪循環に陥っています。一戸一戸の問題でもあり、社会全体の問題でもあります。
その背景に至るまで、海外は石やコンクリート文化、日本は木文化という違いや四季の違いがあり、木はどうしても腐ってしまっていたという歴史があるからだと思います。どうせ家が腐ってしまうのに、わざわざ費用の高い断熱を使用する必要はない、また、断熱の重要性や断熱材の性能、断熱技術建築技術どれも発展途上でしたので、仕方ない面もあるかと思います。
しかし、今の建築技術は木造建築でも100年以上もつ家を作るのは容易に達成することができます。
つまり、更に断熱に費用を割くことの重要度が増していることになります。
5.日本の住宅中古市場の未来
中古住宅市場をアメリカと比べた場合、日本の中古住宅に価値はないようなものです。アメリカの住宅には価値があります。どんどん住宅のストックの価値が上がっています。中古住宅にちゃんと価値があるから上がっていくのです。表を見てください。投資額よりもストック額が上回るアメリカに対し、投資額に対してストック額が下回る日本ではこうなります全く違います。
たくさん家を建てますが、中古住宅の価値がないからストックの市場が全然上がりません。
日本は50年前まで高度経済成長で経済が発展しました、それ以前以後で人口が1.5倍になっています。戦争で焼け野原になった町を復興し、経済発展、人口増加と建物の需要が供給を上回っていた時代です。今の時代とは異なり、性能重視よりも供給数を重視しなければならない時代背景も見えてきます。
こちらは総務省がまとめた人口の推移です。
このような住宅(性能重視よりも供給数を重視され造られて住宅)が多いため将来売れなくなる新築が建ってしまうのです。
アメリカだけが特殊なわけじゃありません。ドイツもフランスもイギリスも同じです。
日本だけ違うのです。ここが非常に大きい問題になります。
今後は日本の中古住宅もきちんと資産なるようにリフォームをする必要があるという話になります。
日本でも資産価値を下げない新築基準の断熱リフォーム(性能向上リノベーション)を行いしっかりと長持ちそして快適に住める住宅をストックすることが出来れば中古住宅の資産性を上げることが可能になります。
6.まとめ
「2025年省エネ基準適合義務化」により日本の住宅の未来は大きく変わることになります。
新築は省エネ基準をクリアする住宅しか作る事ができなくなります。日本の住宅事情は変わります。建築業者そしてリフォーム業者の責任もより一層大きくなります。
注意すべきは2025年それまでに旧基準の家を建てるか新基準の家を建てるかになります。リフォーム、リノベーションも一緒です。カーボンニュートラル時代に突入し省エネ基準が確立して省エネ基準を満たした建物が当たり前になった時にあなたの家は大丈夫ですか。一度考えて頂ければと思います。
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著者情報
宅地建物取引士 刈田 知彰
(かりた ともあき)
ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。
私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。
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