2023.09.22
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マイホームを購入する際の注意点「水道の配管や埋設管について」

更新日:2024年3月21日

マイホームを購入する際の注意点「水道の配管や埋設管について」

はじめに

マイホームを購入する際のポイントとしてライフラインの確認があります電気、ガス、水道などです。今回はこの水道について解説したいと思います。水道は日本で当然に使える状況にあります。当然にあることなので、あまり気に止めることは無いと思いますが、実はライフラインでの問題は意外に多くおきています。今回は当然に使えるこの水道について解説していきたと思います。

給水人口と水道普及率

厚生労働省が発表した「給水人口と水道普及率」(令和3年度)の数値を見ると、水道(上水道、簡易水道、専用水道の合計)の普及率が100%なのは東京都、大阪府、沖縄県の3都道府県だけになります。熊本県の「給水人口と水道普及率」は89.2%と1割の方が水道を利用できない状態にあるという事が分かります。

全国水道普及率の推移

全国での合計の普及率は98.2%。約1.8%の世帯が水道のない暮らしをしているというデータになっています。その1.8%の方の中にはなんらかの通常の水道に代わる手段を利用しているものと推測しますが、このような結果となっています。

お住まいの東京都の普及率は100%になっていますので、水道が無いというケースはほとんどないとは思いますが、マイホーム購入時には以下の様な点に注意しましょう。

引込管の口径に注意

東京23区では新しく引込管(給水管)を設置する場合は口径を20mm以上にしなければなりませんが、昔の住宅では13mmが主流となっていました。しかし、13mmだと現在の生活様式では水量(水圧)不足が否めません。

※一般の住宅で使われる引込管(給水管)の口径には、13mm、20mm、25mmなどの種類があります。

キッチン、バス、トイレ、洗面所などのうち2か所以上を同時に使用したときには、急に水量が落ちることもあるでしょう。シャワーの勢いが弱くなったり、タンクレストイレの場合は綺麗に流れないなどといった事が起る可能性が高くなります。

がしかし、中古住宅では昔の13mmのままだったり、比較的新しい住宅でも「水道の基本料金が安い」という理由で、あえて口径13mmで放置していたりすることがあります。

例えば一人暮らしなどであれば、2箇所で同時に使う事は少ないと思いますし、対策もできると思いますので、13mmでも問題はないでしょうが、一般的な住宅では口径20mm以上が望ましいと思います。

購入を検討している住宅の引込管が13mmのときには、20mmでの引き直しが可能か、その費用がどれくらいかかるのか、といったことも先に確認しておくとよいでしょう。

東京23区の場合には原則として、20mmでなければ新たに水道を引き込むことができません。道路内の埋設管については既に20mmへの更新が終わっているため、道路境界から水道メーターの間の配管がどうなっているのかを確認します。この間が13mmの場合は、交換を検討します。

引込管の材質はどうか

水道の引込管(給水管)には、塩化ビニル管をはじめ、鉛管、鋳鉄管、ステンレス鋼管、ポリエチレン管などさまざまなものがあります。

安価な鉛管は、人気があり広く使われてきましが、実は毒性があり人体への影響が指摘されるようになり、ステンレス鋼管、塩ビ管などが現在、使われるようになっています。

実はこの鉛管が東京都で使用が全面禁止されたのは1995年(平成7年)のことなのです。つまり、それ以前に建てられた住宅では現在も鉛管が使われている可能性も高く、中古住宅を購入する際には引込管の材質を確認すること必要です。

老朽化の問題はないか

水道管の耐用年数は一般的に15年とされていますが、敷地への引込管などはその材質やメンテナンス状況によっても異なります。例えばステンレス管だと40年から100年と言われています。

敷地への引込管(水道メーターまで)は、建物の建築時期と同じではありません。以前の住宅敷地で使われていた引込管を再利用して、建物が再建築されることも十分に考えられます。

したがって、比較的新しい住宅でも引込管が古くなっているケースが存在します。水道の工事時期が分かれば確認しておくことをおススメします。かなり古い場合や鉛管など、取り換え工事を検討しなければならないかもしれません。

 

地域の問題

近年、本管(配水管)の老朽化が大きな社会問題とっています。

伝えたい。インフラ老朽化問題は中古戸建て購入時にも考える必要があります。|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)

更新工事を頑張っている自治体などがある一方で、自治体の財政問題でインフラ整備まで予算が回らないところも多いようです。

埋設管が他人の敷地を通っていないか

水道の引込管は、通常、前面道路の主要な管から直接敷地内へと引き込まれるのが基本です。しかし、前面道路に主要な管が存在しない、またはその道路に主要な管が設置される前に敷設された引込管を利用している場合、他の敷地を横切って引込管が敷設されていることがあります。

同様に、他の家の引込管が自分の敷地を横切っている場合や、複数の家が1本の引込管を共有している場合も考えられます。

自分の家の引込管が他人の敷地を通っている場合、水漏れなどのトラブルが発生した際に、責任問題が生じるリスクがあります。逆に、他人の引込管が自分の敷地を通っている場合、建築活動に制約が生じる可能性があります。

また、1本の引込管を複数の家で共有している場合、水の供給量が不足することがあるかもしれません。

これらの問題が発生した場合、引込管の再設置を検討する必要があります。多くの場合、水道局の提供する図面を確認することで、引込管の状況が明らかになります。これは、不動産の売買契約を結ぶ前に、重要な点として確認します。

さらに、敷地の前が私道で、既存の引込管に余裕が少ない場合も注意が必要です。新しい引込管を接続することで、同じ管を使用する近隣の水圧が低下する可能性がある場合、公道からの全面的な工事が必要になることも考えられます。

しかし、このような判断は複雑で、不動産業者の調査だけでは十分な情報が得られないこともあります。

売買契約前にやっておくべきこと

引込管(給水管)に関するいくつかの問題点を取り上げましたが、取り換え工事や引き直し工事などをするときの費用は、自治体による助成などがあるかどうかは別として、すべて個人で負担しなければなりません。

とくに敷地のすぐ前に本管がなく、長い距離の引き込み工事を必要とするときには、100万円を超えるような負担となる場合もあるでしょう。

前面道路が私道であれば、掘削の承諾料としてそれぞれの権利者にいくらかの金銭を支払わなければならない場合もあります。承諾料の有無は地域性や慣習によって異なり、これといった相場はありません。

また、新たに引き込みをするときや、管の口径をアップさせるときには、自治体や水道事業者によって「水道加入金」が必要となる場合もあります。

工事費用などの発生が見込まれるときには、できるかぎり売買契約の締結前にこれを明らかにするべきです。

不動産業者が明示できないときには、指定工事業者への確認や見積もりを優先させ、それが分かるまで契約を結ばないといった選択も考えましょう。「とりあえず売買契約をして、それから金額を確認する」というのは、トラブルを招く原因になりかねません。

まとめ

世界にはまだ水道が整備されていない地域や、水の確保が難しい場所が多く存在します。また、水道水を安心して飲むことができる国は実は少ないです。私たちが日常的に利用している水道に対して、もっと感謝の気持ちを持つべきかもしれません。

水道が利用出来て当然という考えを捨て、住宅や土地を購入する際、水道の配管や埋設状況の確認を行う事が重要です。特に中古の物件や土地では、ここまでの解説のように水道関連のトラブルが潜んでいることも考えれれます。

宅地建物取引士が行う重要事項説明では、マンションよりも一戸建てや土地の方が、水道の埋設管に関する詳細な情報が提供されます。通常、水道局からの給水装置図面を参考に説明することが多いです。

しかし、多くの場合、その説明は表面的なものに留まります。管の材質や老朽化、耐震性などの詳細な情報はほとんど触れられません。もちろん、行政や水道事業者の指導に従い、引込工事の再施工が必要な場合は、不動産業者から説明されますが、具体的な費用については明確にされないことが多いので自身で動く必要があります。

土地に水道の引込管が存在しない場合や、新たな工事が必要な場合の情報提供はされますが、具体的な費用や工事業者の選定については、購入者自身が確認する必要になります。

Q&A

Q1自分の家の給水管が鉛管かどうか知りたいのですが、調べてもらえますか。

回答:担当の水道局支所給水課又は、給水管工事事務所、サービスステーションに問合せしましょう。

担当の水道局支所給水課又は受持ちの給水管工事事務所、サービスステーションはこちらをご覧ください → 給水管工事事務所、サービスステーション一覧
 東京都指定給水装置工事事業者はこちらをご覧ください → 東京都指定給水装置工事事業者一覧

ご住所、氏名、電話番号及びお客さま番号を伝えて調べてもらいましょう。

 

Q2新たに給水管を引き込む工事場合や鉛管を他の材質のものに取り換える工事の費用は誰が払うの?

回答:「引込管(給水管)は個人の財産である」という理由から、鉛管を他の材質のものに取り換える工事も個人の負担と責任で行なうことになっています。自治体によっては、補助制度、助成制度などを設けている自治体もあります。

 

 

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著者情報

宅地建物取引士 刈田 知彰

      (かりた ともあき)

ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。

私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。

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