2023.05.19
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全部事項証明書(登記簿謄本)について
更新日:2024年3月12日
売買を行った場合登記が必要な事は皆さまご存じだと思いますが、実は登記をする必要(登記を行う義務)は本当は無いのです。しかし、買主が売買によって売主から土地を取得したことを登記しなければ、売主以外の第三者に対して、土地の所有者であることを法的に主張することはできません。
つまり、登記を行わずにいると第三者に登記をされてしまい、その不動産の所有を主張することが出来なくなってしまいます
したがって、結局のところ、このような事態を避けるために、売買が成立し売買代金の支払い後、直ちに、所有権移転登記を申請しなければなりません。
※因みに表示登記(表題登記)は義務です。
具体的には、売主・買主は売買代金の支払い時に所有権移転登記を行うことになります。登記を申請するには、売主は必要事項を記載した申請書とその添付書類を登記所に提出する必要があります。申請書は自分で作成して提出することもできますが、所有権移転登記や権利保全登記などについては、通常、司法書士に作成を依頼することになります。
また、建物を新築した場合、必要な表題登記は土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。表題登記には登録免許税は不要ですが、表題登記は建物を新築してから1ヶ月以内に行わなければなりません。
登記手続きが完了すると、登記識別情報の案内が届きます。これは、かつての権利証に相当するもので、12桁の数字が記載されています。この登記識別情報は、番号に目隠しシールが貼られていますが、次の登記に必要な書類なので、シールを剥がさずに大切に保管する必要があります。
全部事項証明書とは法務局の発行する、不動産の所在や登記されている権利関係を証明する書類です。
それぞれの不動産の登記記録のすべてが、法務局(登記所)でコンピュータによって『登記記録』というデータとして保管されています。この登記記録の内容全てを法務局が紙に印刷し発行されるものが『全部事項証明書』です。
また、不動産登記は、土地や建物の所在や面積、所有者の氏名や住所などを一般に公開し、権利関係などの状況を誰もが把握できるようにして、取引の安全や円滑化を図るという役割を担っています。
登記記録は表題部と権利部で構成され、土地と建物ごとに別々に作成されます。
登記事項証明書とは、法務局が発行する登記の証明書の総称です。法務局が管理している不動産には1つの土地、1つの建物ごとに登記記録が作成されます。その登記記録を証明した書面にはいくつか種類がありますが、それらの証明書をまとめて登記事項証明書といいます。
全部事項証明書は登記事項証明書の中のひとつですが、登記事項証明書といわれたら、一般的には全部事項証明書のことを指す場合が多いでしょう。確定申告や銀行での手続きで、必要書類に登記事項証明書とだけ書いてある場合、全部事項証明書を取得して提出すれば問題ありません。
登記事項証明書の種類は全部事項証明書、現在事項証明書、一部事項証明書、閉鎖事項証明書があります。
上の図は登記情報提供サービスによりオンライン申請し取得できる全部事項の見本になります。分かりやすいように番号をふりました。
①オンライン申請を行い取得した日時
表題日
②表題部 表題部は、表示に関する登記を記録するもので、具体的には不動産の物的状況(モノがどういう状況なのか)を示します。建物を新築したときは、まず表示に関する登記である表題登記をつくり、新たに登記簿という箱をつくります。以下⑧までが表題部の欄になります。
③不動産番号 不動産番号は、土地1筆、建物1戸ごとにランダムに組み合わせた13桁の英数字が付された番号を言います。不動産番号は、不動産を個別管理し区別するのに大変便利です。
④所在 当該物件がどこに所在しているかを示します。
⑤地番 土地を特定するために一筆ごとに付与されている番号です。所在と地番を合わせて所在地となります。
⑥地目 登記法上では土地の種類は地目と言います。全部で23種類あり使用用途によって違います。
⑦地積 地目が『宅地』及び『鉱泉地』、地積が10㎡未満のものは小数点以下2位まで表示されます。
⑧分筆や合筆、地目変更等 行われた登記の原因が表示されます。
⑨権利部(甲区)
⑩何の目的で登記がなされたのかが表示されます。登記のタイトルのようなものです。
⑪登記が受付された年月日と、法務局が発行した受付番号が書かれています。
⑫売買、贈与、相続など、どのような理由でその登記がなされたのかが書いてあります。また所有者の住所・氏名が記載されます。
(乙区)
⑬甲区もしくは乙区欄内で登記がなされた順序に合わせて番号が付されています。
⑭何の目的で登記がなされたのかが表示されます。甲区同様、登記のタイトルのようなものです。
⑮登記が受付された年月日と、法務局が発行した受付番号が書かれています。
⑯登記がなされた原因、およびその内容が書いてあります。
―原因:登記の目的に書いてある登記がなされた理由です。
―債権額:その不動産を担保としている債権の債権額です。
―利息:対象の債権に利息が定められている場合には利息が記されます。
―損害金:対象の債権に損害金が定められている場合には損害金が記されます。
―債務者:お金を借りた人(法人)のことです。
―抵当権者:お金を貸した人(法人)のことです。
―共同担保:他にも共同で担保になっている不動産がある場合には、共同担保目録の番号が記載されます。
などがあります。
今回は全部事項証明書を中心に解説してきましたが、登記記録の全部または一部を証明する書面を登記事項証明書や登記事項の概要を記載した書面を登記事項要約書など色々な種類があり、用途に応じて必要な書類が変わってきます。これらの書類は、所定の請求書を登記所に提出することにより、誰でも受け取ることができます。
また、法務局のホームページ「登記情報提供サービス」でも閲覧することができます。
(登記事項証明書は、前の登記の謄本や抄本と同じ内容です)
土地や建物の売買契約を結ぶ前に、登記簿謄本を確認することは非常に大切です。
売主と所有者が同一かどうか、抵当権が設定されているかどうか、数年にわたり何度も売却されているような問題のある土地・建物かどうかなど、すべて登記記録で確認することができます。
ただし、不動産の権利に関する登記は申請する必要がないため、登記内容が必ずしも実情と一致しないこともありますので注意が必要です。
売買はもちろんリフォームを行う上でも築が古い建物やその建物が建っている土地に関して図面や確認済証が無い場合非常に重要な書類にもなります。
初めてご覧になられる方は何が書いてあるのか非常にわかりにくい書類になりますが、一戸建ての場合、土地と建物今回の見本のように非常にシンプルになっていますので、確認を行い、不明な点があったら専門家に確認してみましょう。
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著者情報
宅地建物取引士 刈田 知彰
(かりた ともあき)
ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。
私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。
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