2023.04.24
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国土交通省 2025年4月施行予定 4号特例制度縮小 ~2025年建築基準法改正によるリフォームへの影響~

更新日:2024年3月8日

4号特例の縮小新2号建築物

はじめに

2025年4月施行の建築基準法等改正により、さまざまなルールが改正されますが、今回はより中古戸建てに関係深い4号特例見直しについて解説していきたいと思います。

2025年4月施行の建築基準法等改正についてはこちらの記事もご覧ください。
2025年住宅の省エネ基準適合義務化|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)

中古住宅は価値が無くなる? ~断熱基準が変わります~|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)

上の図をご覧ください。「新2号建築物」「新3号建築物」という新たな建築物の区分が追加され、確認申請の対象となることが明確化されました。
これにより、従来は確認申請が不要だった建物でも、フルリノベーションやスケルトンリフォームなどの大規模修繕・模様替え工事では、一般的に確認申請が必要となります。
今回は、一般的な戸建て住宅が多く該当する「新2号建築物」にフォーカスしてリフォームへの影響について解説します。

 

新2号建築物とは?


 新2号建築物とは、以下の条件をすべて満たす建築物です。
 
※画像はシンケンハウジング様より

木造2階建て以上の一戸建て住宅
木造平屋建てで、延べ面積が200㎡以上あるもの
(木造平屋建て延べ面積200㎡以下は新3号建築物に該当します)

が該当します。

新2号建築物とは、2025年に施行(予定)される建築基準法の改正により、新たに設けられる建築物になります。
 
  
既存の4号建築物では、2階建て以下の木造建築物で、延べ床面積500m2以下、高さ13m以下、軒高9m以下の建築物です。4号建築物とは、一般的な2階建ての木造住宅を指し、構造計算書の提出や構造審査が省略されていました。
 
これに対し、新2号建築物では、木造2階建ておよび以上の木造平屋建て(200㎡)について、確認申請時に構造計算書などの構造安全性を確認する書類の提出を義務付けられます。

 
 
新2号建築物の基準は、既存の4号建築物より厳しい規制が設けられています。

既存の4号建築物とは異なり、構造計算書の提出や構造強度の審査が必要となります。

また、省エネ性能についても、より高い基準が設けられることになります。

新2号建築物は、現行の4号建築物よりも基準が厳しくなるため、建築業界に大きな影響を与えることが予想されます。

また、家を建てる確認申請だけでなく、リフォームにも影響することとなります。

それでは、リフォーム関して更に詳しく解説していきます。

新2号建築物のリフォームで確認申請が必要なケース

ここでは、新2号建築物である一般的な木造2階建て住宅に該当する建物をリフォームする際に、確認申請が必要となるケースについて見ていきます。
 
以下のような大規模修繕や模様替えを行う場合は、確認申請が必要です。

  • 柱や梁などの主要構造部分の交換・増設・減設 →いわゆるスケルトンリフォーム。
  • 外壁、屋根、床、天井などの大規模な改修、交換、張り替えなど。
  • 天井などの大規模な改修・交換・張替えを行うもの。
  • 居室、廊下、玄関、階段等の間取り変更。
  • 増築や増築に準ずる工事・改築、再建築に準ずる工事。

 補足 

「大規模な修繕」とは、主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)のうち一種以上の修繕することをいいます。修繕とは、経年劣化した建築物の部分を、既存のものと概ね同じ位置に概ね同じ材料、形状、寸法のものを用いて原状回復を図ることをいいます。
「大規模な模様替え」とは、模様替えをする建築物の部分のうち、主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根又は階段)の一種以上を、過半(2分の1 超)にわたり模様替えをすることをいいます。模様替えとは、建築物の構造、規模、機能の同一性を損なわない範囲で改造することをいいます。一般的に改修工事などで原状回復を目的とせずに性能の向上を図ることをいいます。


つまり、2025年の建築基準法改正により、「新2号建築物」に該当する大規模な修繕や大規模な模様替え、いわゆる今は自由に行える「スケルトンリフォーム」についても確認申請が必要となります。
 
具体的には、大規模な修繕や大規模な模様替えを行う場合、つまり、主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)の50%を超える修繕工事等を行う場合は、建築確認申請が必要となることが決まっています。屋根の吹き替え外壁の張り替え階段の位置変更間取りの変更等も対象となります。
小規模な工事については、今まで通り、建築確認申請が不要となります。畳からフローリングへの変更、キッチンやバスルームの更新、壁紙の張り替えなどがそれにあたります。


ただし、修繕や模様替えの場合も、省エネルギー性能や耐震性能を確保する必要があることに注意が必要です。大規模な修繕や大規模な模様替えには建築確認が必要ですので、建築家や建築設計事務所に相談し、適切な設計や申請手続きを行うことが重要になります。また、確認申請手続きには申請料や審査期間が必要な場合もあり、従来よりも着工までに時間がかかることになります。
弊社ではこれまでに増築を伴う工事に関しては確認申請を行ってきた多数の実績があります。既存建築物の大規模修繕など申請手続きは、自治体も不慣れな場合が多く、3~6カ月かかったケースもありました。

 

既存住宅の確認申請のスピード化、中古住宅を購入してリフォーム(確認申請を伴う)を行う場合の課題として挙げられると思います。
一例ですが、オンライン申請を推進するアナウンスもありましたが、現時点ではどのような対応になるかは不明です。

再建築不可の建物やセットバックの必要のある建物のリフォームはどうなるのか?

これまで、セットバック規制がかかった敷地や建物では、建て替えると建物が狭くなるため、スケルトンリフォームを選択する方が多くいらっしゃいました。しかし、今回の建築基準法の改正により、木造2階建ての建物(新2号建築物)でスケルトンリフォーム(大規模修繕・模様替え)を行う場合は、確認申請が必要になる可能性が極めて高くなっています。したがって、再建築不可やセットバックが必要な物件をスケルトンリフォームの際にも、同じように建築確認や確認申請が必要になることが予想されます。

つまり、今回の改正は、更に再建築不可物件のリフォームにも大きな影響を与えることになりそうです。

改正後の新法では、前述の4号特例の措置が廃止され、2階建て以下かつ200㎡以下の建物の大規模な修繕や大規模な模様替えには、建築確認申請が必要となることをお伝えしました。

では、確認申請ができない再建築不可物件はどうなるのでしょうか。

再建築不可は、これまで安価に物件を購入し、構造計算を行わずにリフォームして転売するケースが多かったため、かなりの制限がかかると予想されます。

ここまで、新2号建築物すなわち従来の戸建て(2階建て以下かつ200㎡以下の建物)に対して大規模な修繕や大規模な模様替え、すなわち主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)の50%を超えるリフォームについては、建築確認申請が必要となる旨の説明してまいりましたが、このルールをそのまま適用すると、建築確認申請対象外の建物では大規模な改修工事を行えないことになります。

従来、建て替えが認められていない物件でも、4号建築物の物件は新築と同じ性能を有する大規模なリフォームを行うかことができましたが、ルールが明確化されたため、今までのルールは一新されるでしょう。
つまり、2025年以降、再建築不可の物件に大規模な修繕を施したい場合は、建築基準法上の道路に接道させるか、接道条件を満たす土地を地続きで新たに取得するかなどの方法を模索するしかなくなる可能性があります。

弊社では、再建築不可物件のリノベーションを数多く施工しています。再建築不可物件は耐震性が低いものが多いため、確認申請はすることができませんでしたが、全棟で詳細な構造計算を行うことで対応してきました。これらに関する詳細な規定はまだ決まっておらず、今後、政府からの発表が待たれるところです。

 

違法建築されている建物をリフォームする場合は?

違法建築の定義とは?

違法建築とは、建築基準法に従って建築されていない建物や構造物のことです。
例えば、規制区域外に建てられていたり、建物の大きさが規制値を超えていたりすることで、違法建築となる場合があります。
違法建築は、地震などの災害時に建物の倒壊や火災の危険性が高まるため、懸念される問題です。

現在、建築基準法には、違法建築物の大規模修繕や模様替えに関する規定はありません。そのため、違法建築物をリフォームする場合は、そのままの状態でリフォームするか、もしくはリフォームではなく、建築基準法に基づいて建て替えるかという選択肢を選ぶことができましたが、今後再建築不可物件と同様に、違法建築物でも建築確認申請ができないケースが出てくると思います。つまり、違法建築物の大規模修繕や模様替えは、建築基準法に則った建て替えを行うか、そのまま放置するかの2択に迫られます。

2025年の建築基準法改正では、このように建築確認申請の義務化が予定されています。再建築不可物件と同様に、違法建築の建築確認申請が不可能になれば、大規模な修繕や模様替えができなくなることが予想されます。また、違法建築物をそのまま改修することができなくなるため、建築基準法に適合するように改築することが必要になるでしょう。

弊社では、違法建築物の確認申請について多くの実績があります。現在の基準法には違法建築物に対して規定がないため、各自治体の判断に委ねられ、各自治体で考え方が異なります。今後、このような大規模なリフォームを行う場合は、大規模リフォームの確認申請の実績がある会社に相談することが必要でしょう。

まとめ

2025年の建築基準法改正で、「新2号建築物」に分類される木造2階建て・平屋建て200㎡超の大規模修繕・模様替えに確認申請が必要となることをご説明しました。

再建築不可物件については、接道要件を満たさないため現状でも建築確認が取れないが、2025年改正では確認申請が必要となるため、再建築不可物件の大規模修繕が事実上不可能となる可能性が高い。今後の動向を注視していく必要があります。

2025年の建築基準法改正により、建築確認の対象が拡大されることで、悪質な建築業者の排除や安全な住宅環境の確保が期待されています。しかし、確認申請の手続きが増えることでコストや手間がかかることが予想されるため、これまでにましてスピードが重要となってまいります。

大規模な修繕を伴うリフォームを行う場合はリフォームでの確認申請の経験や実績がどの程度あるのかを確認することが重要です。そのため、リフォームにおける確認申請の経験や実績を聞くことで、安心して任せられる会社を探すことが必要です。


『東京中古一戸建てナビ』運営会社ハイウィル株式会社では性能向上リノベーションの依頼を数多くお受けしてきましたが、女性プランナーを初めスタッフは10年以上の経験がある人間のみが性能向上リノベーション(増改築)の担当をしております。現場監督も木組みを熟知した棟梁経験者のみです。弊社の場合は、一般住宅に限らず茶室、数寄屋造り、社寺仏閣等も施工できる技術力を有する元棟梁が現場管理をします。不動産の売買からリフォームまでご安心してご相談ください。

 

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著者情報

宅地建物取引士 刈田 知彰

      (かりた ともあき)

ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。

私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。

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著者情報 刈田知彰

 

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