2023.03.17
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中古戸建て+リフォームで何年住めるか?~戸建て住宅の寿命を伸ばす性能向上リノベーションとメンテナンスについて~

最終更新日:2024/3/2

中古住宅の寿命とリフォームを行う事で寿命はどのくらい延びるのか
 

 

 

はじめに

少し前まではマイホームといえば新築を選ぶ方がほとんどでしたが、最近は中古住宅を購入して内外部をフルリノベーション工事も増えてきました。費用を抑え、環境にやさしい点また、購入のしやすさも魅力的ですが、木造住宅は何年住めるのかは気になるところです。

そこで今回は、木造戸建て住宅の寿命の考え方やメンテナンス方法、セルフチェックなどをお伝えします。建て替えとリフォームで悩んでいる方もぜひ参考にしてください。

 

 

1.木造戸建て住宅耐用年数は?

まずは木造住宅の寿命がどれくらいなのかチェックしていきましょう。

 

法定耐用年数表

木造の上記表の通り、木造の法定耐用年数は22年ですが、実際には以下のようになります。

 

部位により寿命が異なる。

木造住宅を構成する部材はさまざまな素材と工法に分かれているため、一軒家でも部位によって寿命は変わってきます。建物の主要な部位それぞれの寿命目安は以下の通りです。

寿命の目安

基礎コンクリート                             60~100年

土台・柱・梁など木部構造体           80~100年以上

給排水管                                           30~40年

屋根材    (日本瓦)                         50~100年

               (スレート屋根)              20年

外壁材    (サイディング)              30~40年

               (モルタル)                     30~40年

メンテナンスや施工方法、部材本来の性能のよっては更に長くなります。

 

使用している部材や工法によっても寿命は変わってきます。部位ごとの耐久性を考えると、「新築後ノーメンテナンスで住める寿命は30~40年」リフォームなどメンテナンスをすればもっと長い間住めるというのが木造戸建て住宅の目安といえるでしょう。現に築40年を過ぎた建物は中古戸建てではなく土地として売り出しをしているケースの方が多くなります。

 

 2.木造住宅の寿命が縮む原因

家の天敵は水分です!

住宅は絶対に経年劣化していきますが、特に寿命を縮めてしまう原因をピックアップします。

 

2-1.雨漏り

柱や梁などの構造体に木材を使用する日本の住宅は、雨水が浸入することで木部が腐敗し耐久性に影響が出ます。もちろん鉄骨造でも同じように雨漏りはかなり影響をうけます。雨漏れの原因は屋根というイメージが強いですが、ベランダの床や壁と窓サッシのすき間なども原因として挙げられることが多いです。その他思いもよらない様々な場所から雨水は侵入します。まだ、すぐに気づける場所なら修繕できますが、気づけない分かりにくいところが雨漏りしてしまった場合は最悪です。気づかぬうちに数年経過して柱がボロボロになるといったケースも多々見受けられます。

 

2-2.給排水の漏れ

雨漏りと同じく、給水・排水管からの水漏れは構造体を腐らせてしまいます。建物の寿命を縮める原因となってしまいます。戸建て住宅の給排水管はほとんど壁裏や床下に隠蔽してあるため気づきにくいです。大きく漏れている場合は水道代などで気づきますが、漏れている水が少量の方が、被害の発見が難しく、知らないうちに被害が多くなってしまう事があります。

 

2-3.結露/湿気

高温多湿な日本では、長年の結露によってカビや腐敗が発生し、木部がダメージを受けることもあります。原因は室内の換気不足や断熱性能の不足、間違った施工などが考えられます。特に湿気を含む地盤に建っているお住まいで、床下に土が見える構造の場合床下がダメージを受けやすい傾向があります。

 

2-4.強い日差し

日当たりの良い住まいは気持ちよく過ごすことができますが、強い直射日光が当たる場所は傷むのが早くなります。同じ家の外壁でも、強い夕日を浴びる西側の壁は他の場所と比べて傷みやすいです。強い日差しで劣化した外壁は雨水が侵入しやすくなり、結果として雨漏りの侵入を増やして木部の腐りにつながることも。

 

2-5.蟻害

木造戸建て住宅が倒壊してしまう可能性が格段に上がってしまう原因に、大切な柱や土台を食べてしまうシロアリも挙げられます。シロアリが食べた木材は、触れただけでもろもろと崩れていきます。このようにスカスカなってしまった木では地震に耐えることができません。前述した雨漏れや水漏れによって木が腐ると柔らかくなり、シロアリに狙われやすくなります

 

 2-6.地震や台風などの揺れ

地震や台風が多い日本では、揺れなどの外力によって建物がひずみ、ひび割れが発生することも少なくありません。一度の地震で倒壊することがなくても、目に見えない部分にひずみが発生して耐震性が低下しているケースもあります。外壁などのひび割れは、前述した雨漏りなど原因となり建物の寿命を縮めることになります。

 

 3.木造住宅セルフチェック

大切な住まいの寿命を少しでも伸ばすためには、普段からチェックして劣化を早めに察知することが重要です。材質や工法によって劣化のサインは少し変わりますが、自分で簡単にできるご自宅のチェック方法をご紹介します。

 

 3-1.外壁と屋根

雨漏りの原因となる外壁や屋根の劣化は、自宅の外から簡単にチェックできるので、定期的に実施しましょう。

 

外壁は、サッシや玄関ドアなどの開口部周辺に隙間やひび割れが生じやすいので、窓やドア周辺の目視点検が必要です。サイディング壁の場合、パネル間の隙間は柔らかいコーキング材で埋められていますが、経年劣化でひび割れ、雨漏りの原因になることがあります。

 

モルタルの場合、膨らみなどができている場合は、かなり症状が進行している可能性が高いです。そうなる前に、日頃からひび割れがないかチェックしておきましょう。

 

屋根は、1階やバルコニーから目視で確認する。屋根材は釘で固定されていますが、季節の温度差による収縮で、徐々に釘が飛び出してくることがあります。これは、隙間から侵入した雨水が溜まり、雨漏りにつながる可能性があることを知らせるサインです。また、屋根材がずれている箇所がある場合は、劣化やメンテナンスのサインでもありますので、専門家にご相談の上、しっかりとチェックしてください。

 

外壁についてはこちら

外壁のABCとは? ~戸建住宅をご検討の方は必見です~|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)

 

3-2.基礎

建物の基礎となるコンクリートにひび割れがないか、外周から水漏れがないかをチェックします。

 

コンクリートはどうしても割れてしまう素材なので、1mm以下の細かいひび割れしょうがないと思いますし、大きな問題になることは少ないです。しかし、数ミリ以上の大きなひび割れは、地盤のずれや基礎内部の鉄筋の錆びなど、劣化のサインである可能性があります。

 

また、基礎が濡れたように変色している箇所も注意が必要です。給排水管の水漏れや雨漏りが伝わっている場合、湿気が溜まっている場合などが考えられます。雨上がりでなかなか乾かないこともありますが、常に濡れている箇所がある場合は、詳細な調査を行い、原因を特定する必要があります。

 

増改築.comでは基礎補強について詳しい事例をアップしています。

https://www.zoukaichiku.com/14671652210777

 

 

3-3.屋根裏/床下

屋根裏や床下は普段見えない場所ですが、定期的にチェックしましょう。そこまで築年数が経っていない建物だと点検口が、屋根裏は押し入れやクローゼットの天井などにあります。床下点検口は収納庫が点検口になっていたりします。慣れていない方が奥まで入るのは破損やケガの危険がありますので、見える範囲をチェックするのがおすすめです。その時に臭いをかいでください。梅雨の独特の臭いってありますよね。古い家がこれに近い臭いがする時は建物の劣化が進行してしまっていると思ってください。

雨漏れ跡があったり、かび臭かったりした場合はしっかり原因を調査すべきです。水漏れや結露を察知することで、劣化を食い止めることができます。

 

 

3-4.タイルのお風呂

水回りの中でもタイルのお風呂は劣化具合を判断しやすい箇所です。

 

タイルにヒビ割れが多い場合、細かいすき間から浸透した水分が床下の土台を腐らせているケースがあります。洗面所の床板が柔らかくなっている場合も、床下で水漏れしている可能性が高いので注意してください。

 

近年はユニットバスになっていますが、湿気によって周りの木部が傷んでいるケースもあります。ユニットバスの横は洗面室になっており、床下点検口がある場合がありますのでそちらを確認しましょう。

 

3-5.外周や庭

建物の周囲や庭にシンボルツリーやウッドデッキなどがある場合、シロアリに食べられていないかチェックしましょう。特に地面と接している木部はシロアリに食べられやすく、集まったシロアリが床下に侵入する可能性が高まります。

不要になった木材を庭や建物の周りに放置するのはなるべく避けましょう。

 

 

4.木造住宅の寿命を延ばすリフォーム

寿命を縮めるさまざまな原因から住まいを守り、長く使えるようにするリフォームをピックアップしました。

 

4- 1. 外壁・屋根の塗装

風雨や日差しから建物を守る外壁や屋根の塗装は、木造住宅の寿命に大きく影響する重要なメンテナンスです。

 

メンテナンスの周期は10~15年が目安ですが、強い直射日光にさらされる屋根は劣化のスピードが速くなります。外壁と屋根の塗装する時期をずらすと足場を2回立てる必要があるため、屋根と壁を同時に塗装する方がコストダウンにつながります。

 

 4-2. 配管パイプの交換

古い給排水管は継ぎ目から漏水しやすいので、耐用年数を迎えたら交換することで、耐用年数を延ばすことができます。

 

交換サイクルは30~40年程度とされています。床や壁を解体する必要があるため、全面改修と同時に検討するとよいでしょう。

 

4-3. 水道施設の更新

お風呂、洗面台、トイレ、キッチンなどの水まわり設備は消耗品であり、耐用年数を超えて使い続けると水漏れを起こし、寿命を縮めてしまいます。特にタイル張りのお風呂は、ひび割れから水漏れしやすいため、水回り設備の中でも優先順位が高いです。

 

使用状況によって異なりますが、メンテナンス期間の目安は15~20年程度とされています。この間に使い勝手なども進化しているため、新しい機器に交換することで耐用年数が延び、より快適な暮らしにつながるでしょう。

 

 4-4. 耐震補強について

また、柱や梁を補強して耐震性を高める工事は、揺れを抑えることで建物の長寿命化に寄与します。揺れを抑えることで、外壁などに亀裂が入りにくくなり、大地震での倒壊の可能性が低くなります。

 

耐震補強のタイミングは、経過年数もそうですが、建物の築年数が一つの目安になります。耐震性を決める建築基準法は1981年に改正されたので、それ以前に建てられた木造住宅は耐震性が低い可能性があります。もちろん、すべての木造住宅が危険というわけではありませんが、1981年以前に建てられた建物は、詳細な耐震診断を受けてください。

 

築年数別おススメ性能向上リノベーション|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)

 

4-5. ベランダ防水

水が溜まりやすいベランダの床面は、防水膜の劣化に伴い雨漏りが発生しやすくなります。基本的には10~15年ごとに外壁屋根と一緒に防水膜を張り替えますが、必要に応じてそれ以前の時期に施工する場合もあります。水の流れが悪いベランダや、落ち葉で排水口が詰まりやすいベランダは要注意です。

 

 4-6. シロアリ予防のための処置

床下の木部をシロアリ被害から守るためには、定期的なシロアリ駆除薬剤の散布が必要です。柱や土台には新築時にシロアリ駆除薬剤を注入していますが、経年劣化により薬剤の効果は薄れていきます。メンテナンスの周期は約5年ですが、頻繁に蟻を目撃するなどの兆候がある場合は、早めに調査することをおすすめします。

 

5. リフォームと建て替え、どちらが経済的か?

木造住宅の寿命を考えると、リフォームと建て替えのどちらを選ぶべきか悩むところです。

 

単純なコストだけを見れば、基礎や柱を再利用し、廃材も少ないリフォームの方が経済的です。建て替えに比べ、1,000万円以上費用を抑えられるケースも少なくありません。その分建物の性能その費用を回すことができます。性能向上リノベーションでは叶いませんが、解体を伴わないリフォームは工期が短いので、仮住まい時の家賃などの付帯費用も抑えることができます。

 

ただし、住宅の築年数やリフォームの内容によっては、建て替えと大差ない費用がかかります。増築を伴う工事なら建て替えの方が有利な場合もあります。両者のメリット・デメリットをよく比較検討することが大切です。

 

6. 結論まとめ

中古や持ち家の木造住宅を全面改装して、何年住めるか?結論から言うと、性能向上リノベーションを行いメンテナンスさえしっかりしていれば、100年以上住み続けることは難しくありません。

それは性能向上リノベーションを行うことで突発的に発生する地震などの自然現象を含めてです。基本的に日本の住宅のほとんどが耐震性が足りていません。『熊本地震が業界に投げかけた課題/戸建てフルリフォーム・フルリノベーションなら増改築.com® (zoukaichiku.com)

耐震等級3を基準として補強を行うことで、建物の骨格となる柱や梁などの木造構造物は、水漏れによる腐食がない限り、長く使うことができます。木材の耐久性は数百年というデータもあり、実際、100年以上前の古い木造住宅も数多く現存しています。骨組みさえしっかりしていれば、新築のようにリフォームすることも可能ですから、大切な家をきちんとメンテナンスして、長く住み続けましょう。

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著者情報

宅地建物取引士 刈田 知彰

      (かりた ともあき)

ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。

私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。

新築戸建てから中古戸建てのことならなんでもご相談ください!

著者情報 刈田知彰

 

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