最終更新日2024年1月20日
これさえわかれば大丈夫、建物の断熱のすべてを解説していきます。
断熱については内容量が多いので、シリーズ化してお伝えしていきたいと思います。
1断熱について、断熱を知ろう!
(1)建物の断熱とは
(2)断熱の重要性
(3)断熱の省エネルギー、環境問題への貢献
(4)省エネルギー基準
(5)省エネルギー基準の地域区分についてはこちら
2断熱の方法、断熱の種類
(1)充填断熱
(2)内張り断熱
(3)外張り断熱・外断熱
(4)外断熱の基本的な特徴
- 外断熱の定義
- 外断熱の役割
- 外断熱の工法
- 外断熱に使われる断熱材の種類
(5)外断熱と内断熱の違いは?
- 外断熱のメリット
- 外断熱のデメリット
- 内断熱のメリット
- 内断熱のデメリット
(6)外断熱にかかるコストはいくら?
(7)木造の場合と鉄筋コンクリート造の場合の外断熱の特徴
3まとめ
それでは断熱についてスタートです。
(1)建物の断熱とは
建物の断熱とは室内側と室外側の熱移動を遮断して外気温が室内に伝わりにくくすることです。熱伝導率の低い断熱素材を隙間なく施工し機密を保つことが「夏涼しく、冬暖かい」住宅を実現する基準となります。また、建物内外の温度差から生じる結露の発生も防止します。
(2)断熱の重要性
断熱工事は施工後には確認できなくなってしまうため材料や施工費を削りやすい箇所ですが、断熱が不十分だと冷暖房効率が下がるだけでなく、内部結露で建築物が傷みやすくなるなどの弊害も起こってしまいます。断熱材や工法ではなくしっかりとした施工をすることが重要となります。
(3)断熱の省エネルギー、環境問題への貢献
地球温暖化の原因となる二酸化炭素は電気、ガスなどのエネルギー消費によって排出されます。断熱性能の高い建物は冷暖房効率がよく、エネルギー消費、二酸化炭素排出量を削減します。断熱材の製造過程においても温室効果ガスやオゾン層破壊の原因となるフロンガス、さらに人体に有害なVOC(揮発性有機化合物)の発生を抑えるよう配慮しなければなりません。
(4)省エネルギー基準
日本では「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主の判断と基準」(通称:省エネルギー基準)によって建築物の断熱性能の基準が定められています。
省エネルギー基準は平成25年の改正で地域区分の細分化などの見直しが行われました。
2020年までには省エネルギー基準が全ての新築建築物に対して義務化される予定となっています。
現在、省エネルギー基準への適応は義務付けられていませんが、税制や住宅ローンで受けられる優遇措置の多くが省エネルギー基準を条件としています。
(5)省エネルギー基準の地域区分についてはこちら
皆さんは断熱の際に北海道と沖縄では必要な断熱性能が異なると思ったことはないでしょうか、もちろんその通りで、「建築物エネルギー消費性能基準を定める省令」において、全国の気候、気象条件に応じて8つの断熱性能地域に区分されています。
適合する地域区分に応じて断熱性能基準が設けられ、断熱材の厚み・防湿性・開口部の断熱性能などが決められます。
これにより、地域によって同じ断熱を行っても地域によって断熱基準が異なるようになります。
東京都では以下の通りです。
断熱材や方法には沢山の種類があり、断熱を行う建物や環境などの前提条件によっても適切な断熱材や工法は異なります。まずは断熱にはどのような方法があるのか断熱材があるのかを解説していきます。
戸建てリノベーションで絶対外せない断熱材について|戸建てフルリフォームなら増改築.com (zoukaichiku.com)
(1)充填断熱
充填断熱は壁の中(柱などの間)の構造物の空間に断熱材を充填する断熱方法です。広く用いられています。グラスウールやロックウールなど低コストで厚みを必要とする断熱材が使用できますが、構造体と断熱材との間に隙間が発生しやすい、断熱工事に工数が掛かるといった側面もあります。壁内の結露を生じさせないために、防湿フィルムや気流の流れを構築する必要があります。現場発泡タイプの硬質ウレタンフォームは吹付け施工により短い工期で隙間のない充填断熱工事を行えます。その他セルロースファイバーなど断熱性能の他に遮音性に優れた断熱材などもあります。
(2)内張り断熱
RC造の建物などで躯体と内装材の間に断熱材を配置する断熱方法です。使用する断熱材が厚くなると内壁も厚くなってしまいます。断熱性能が高い断熱材を使用する事によって、厚さを抑え居住空間を狭くすることなく高い断熱が可能になります。また、コンクリート躯体に同時打込が可能な硬質ウレタンフォームなどの断熱材を使用したり、コンクリート型枠として使用できRC造に対応していたり、断熱材と内装下地材が一体になった断熱材などはアキレス工期短縮にも役立つ製品も取り揃えています。
(3)外張り断熱・外断熱
建物の躯体の外側に断熱層を設ける断熱方法です。建物の構造体も断熱層の内側にあるため外気温、湿度の変化による建物の劣化が軽減されます。
建物の屋根・屋上においても構造体の外側から断熱する方法があります。
また、既存の建物の外壁を断熱パネルで覆う外断熱方法もあり、外装リフォームの際に外装仕上げ下地の機能を合わせ持つ断熱パネルを用いることで断熱リフォーム工事を同時に施工できます。
(4)外断熱の基本的な特徴
外断熱の基本的な特徴
前述で充填断熱、内張り断熱、外張り断熱・外断熱の3種類にわけて簡単に説明させて頂きましたが、ここでは内と外に分けて詳しく説明していこうと思います。
1.外断熱の定義
断熱とは、断熱材を建物の内部に入れることで、外気の熱の出入りを遮断するものです。この断熱材をどこに設置するかによって、外断熱になるのか、または内断熱になるかが決まります。外断熱は、柱の外側で熱を断ちます柱と壁の間に断熱材を設置して断熱します。外断熱は、ぐるりとひと続きで建物を包み込む、非常に気密性が高い工法だと言えます。そのため、屋内の温度を外へ逃がしません。冷暖房の使用を抑えることを目的に採用される工法です。
2.外断熱の役割
外断熱は、建物全体を断熱材で包みこみます。よって、熱も逃がさず、防湿性もあります。外断熱によると、屋外の気温と室内の気温差が少なくなるので、結露が起きにくくなります。建物内部に結露が生じると、建材を腐らせたり、カビなどが繁殖したりする恐れがあります。カビはアレルギーの原因にもあるといわれているため、内部結露は部屋の中からみえませんが、できるだけ発生させないよう、防湿することが大切です。
3.外断熱の工法
外断熱の工法には2種類あります。1つが湿式工法です。これは、コンクリートに断熱材を密着、または接着させる工法です。コンクリートに密着させるので軽量かつ透湿性のある曽合が用いられます。建物が軽量化されるメリットがあり、壁面内での夏型結露が起きにくいという特徴があります。もう一つの工法が乾式工法です。支持金具を設置し、外装材を施工する工法です。支持金具とは、外装材を支えるための金具のことをいいます。乾式方法は、外壁材と断熱材との間に水蒸気を排出する水分の通り道を設けているのが特徴で、湿気による建材への影響がありません。
4.外断熱に使われる断熱材の種類
外断熱に使われる断熱材は2つの種類に大きく分けられます。繊維系断熱材と発泡プラスチック系断熱材です。繊維系断熱材ではグラスウール、ロックウール、セルロースファイバーが使用されます。グラスウールは細い繊維状に加工した断熱材です。繊維が細ければ細いほど優れた断熱材になります。ロックウールは、高炉スラグ、玄武岩などの鉱物原料をキュポラや電気炉で1,500~1,600℃の高温で溶融し、遠心力などで吹き飛ばして細い繊維状にした断熱材です。セルロースファイバーは、段ボール・新聞紙・木チップのいずれかの材料を切削攪拌し、ふわふわの状態にしてからホウ酸などの添加物を混ぜて製造します。
発砲プラスチック系断熱材では、ポリスチレンフォームやウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、フェノールフォームがあります。ポリスチレンフォームは、ポリスチレン樹脂・難燃剤・発泡剤を混ぜ合わせて作られた断熱材です。ウレタンフォームは、ポリイソサネート・ポリオールを主原料とした断熱材になります。ポリエチレンフォームは耐吸湿性・耐吸水性に優れた断熱材です。フェノールフォームは、フェノール樹脂に発泡剤や硬化剤を加えた断熱材です。
セルロースファイバーについてはこちらでも解説しております。
セルロースファイバー充填による断熱施工|戸建てフルリフォームなら増改築.com (zoukaichiku.com)
(5)外断熱と内断熱の違いは?
外断熱と内断熱の特徴を理解することによって、価格だけで決めるだけではなく、同じ断熱をするという役割は同じですが、それぞれの登頂を知る事によって生活をより豊かに暮らすことが可能になります。後から知って後悔したり、知らずに損をすることが無いようにそれぞれの特徴を把握してより良い住宅創りに活かしましょう。
1.外断熱のメリット
外断熱の一番分かりやすい特徴は、建物全体を断熱材で包みこんでいるところです。その為気密性が高いことが特徴です。その為、建物の外と内の温度差を少なくすることで冬でも結露の発生を抑制することができます。付随して家が長持ちします。建物のお劣化の原因は水による原因が一番大きいと思います。結露が発生しにくいことにより、カビや錆びによる住宅の劣化を抑えられるためです。また、建物全体を断熱材で覆っているので、柱など構造体の保護をしているとも言えるかもしれません。
2.外断熱のデメリット
高気密で省エネというメリットも多い外断熱ですが、デメリットもあります。一つ目は、外壁が厚くなることです。外断熱をするには、建物を建てる敷地や間取りに多少なりとも余裕がなければなりません。狭小地や外壁の関係もありデザインが複雑な間取りには不向きとなります。二つ目のデメリットは耐震性です。外断熱は断熱材の上から外壁材を留めるため、地震に対する多少の不安があります。また、高気密・高断熱である裏返しで、換気・通気をより考える必要があります。また、内断熱と比べると費用も高めとなることが多いです。
3.内断熱のメリット
内断熱は昔から使われている方法で、さまざまなメリットがあります。まず、外壁に影響がないことです。外断熱と違って、柱と柱の間に断熱材を設置するので外壁が厚くなることはありません。都会などの狭小地でもデザイン性を損なうことなく、断熱をすることができます。また、外断熱よりも費用が安いというメリットもあります。建物全体を覆う外断熱と異なり、部分の断熱となるので、その分だけコストも抑えられます。内断熱は日本では一般的に断熱方法になるので、その分だけコストも抑えられます。内断熱は日本では一般的な施工方法になります。但し、施工方法を間違えるとリスクも発生することは承知する必要がありますので、信頼できる施工業者を見つけることも必要です。
4.内断熱のデメリット
内断熱のデメリットは、外断熱に比べて気密性が低いことが挙げられます。外断熱のように建物全体を包み込んではいないため、隙間ができてしまいます。また、気密性の低さから、結露が起きやすいという面もあります。結露の発生は、建物の劣化につながります。結露の発生は、建物が劣化につながります。結露の発生には、住宅の構造が鉄筋コンクリート造か木造かによって差が出ることがあります。一般的には、木造に比べて鉄筋コンクリート造の方が、外側と内側で温度差ができやすく、結露が発生する条件が高くなります。
(6)外断熱にかかるコストはいくら?
外断熱に比較すると内断熱の方が安くなることが一般的には多いです。しかし、内断熱、外断熱の枠ではないが、高断熱の住宅だと、エアコン代や住宅の劣化速度を考えた時に、修繕のコストやランニングコストを考慮すると、トータルの費用はどちらが高くなるでしょう。また、ヒートショックや夏涼しくて冬暖かい日常生活の豊かさを考慮すると高断熱住宅は初期の費用こそ高くなりかもしれませんが、数十年単位で考えた場合はコストが逆に安くなる工法になります。イニシャルコストだけに目を向けずに長期的な投資として考える必要性が重要なポイントになります。
(7)木造の場合と鉄筋コンクリート造の場合の外断熱の特徴
住宅の構造が木造か鉄筋コンクリート造では、もちろん断熱方法に違いがありますし、どちらの方法が優れているのかがわかれます。
大きい違いが、鉄筋コンクリート造では構造躯体そのものが蓄熱層となるので、構造の外側に断熱するのが効果的です。内断熱の住宅だと断熱をしているのに、真夏は外より部屋の方が熱くなったりすることがあります。これはコンクリートが昼間に温められて熱を蓄積していたものが放出されて断熱の隙間から入り込んでくるからになります。また、築年数が古いマンションになると、バルコニーが構造躯体とつながっているため、断熱をしていても中に熱が入ってきます。冷気も一緒です。底冷えとはコンクリートが冷やされている状態です。
外断熱にすることで、コンクリートの蓄熱性をエアコンや暖房機器で有効に利用することができるのです。
対して木造や鉄骨造で外断熱とする場合には、外張り断熱となります。外張り断熱とは、柱の外側から全体を包んで断熱する工法です。つまり、蓄熱効果にない建物に利用される工法だと言えます。また、温度を上昇させるのに必要な熱量である熱容量が大きいのは鉄筋コンクリート造です。コンクリートの特性を味方につけて効果を増大する、外断熱の工法を有効利用する工法になります。
住宅を建てる際には、断熱方法、断熱材、費用など多角的にメリット、デメリットを考えて検討することが大切です。
今回はそもそも断熱とはから始まり、断熱を行う意味そして断熱の方法、種類についての解説でした。
続いて断熱について詳しく説明していきます。
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著者情報
宅地建物取引士 刈田 知彰
(かりた ともあき)
ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。
私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。
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