2023.01.18
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登録免許税とは?

最終更新日2024年2月20日

今回は登録免許税の納付方法・計算方法・減税措置の条件などを詳しく解説していきます。

 住宅を取得する際には、税金をはじめとする様々な費用が必要となります。登録免許税もその一つで、通常数十万円かかると言われています。ですが、家を取得するまで、登録免許税について知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、登録免許税の基礎知識から、税率、納付方法、具体的な計算方法まで解説していきます。

 

 

もくじ

1 登録免許税とは?

2 登録税の納付方法

(1)登録税の計算方法

(2)登録税の計算式

(3)登録税の課税標準
(4)​​​​​​登録免許税の税率

(5)登録税の具体的な計算方法

【ケース 1】 住宅の新規建設

【ケース2】中古住宅を購入した場合

3 登録免許税が軽減される条件

4 登録免許税や諸経費を含めた住宅取得のプランニング

 

1 登録免許税とは?

 

建物や土地を取得したり、取得時にローンを組む場合、当該不動産を法務局(登記所)に登記することを不動産登記といい、その不動産情報は一般に公開され、誰でも閲覧することができるようになっています。不動産登記には、次のような種類があります。

・ 所有権保存登記

建物を新築したときなどの所有者情報の登記。所在地や床面積などの建物情報を登録することを表題登記といいます。

・所有権移転登記

土地や建物の所有者が売買、相続、贈与などで変わったときの所有権移転の登記。

・抵当権設定登記

住宅ローンを組んだときなど、抵当権を設定するときに必要な登記です。

不動産の登記をする際には、表題登記を除き、登録免許税が課されます。

表題登記以外は登記は義務ではありませんが(※)、不動産の所有者や債権者を明確にするために登記がなされます。基本的に登録免許税は、不動産の売買において、買主が負担することになります。

※相続登記は2024年に義務化される予定です。

 

2 登録免許税の納付方法

 登録免許税は、原則として現金で納付します。金融機関(日本銀行歳入代理店)または税務署で納付し、その領収書を登記申請書に添付して法務局に提出します。オンライン申請の場合は、インターネットバンキング、モバイルバンキング、ATMでの支払い(電子納付)も可能です。電子納付の場合、領収書を法務局に提出する必要があります。

登録税額が3万円未満の場合は、法務局で収入印紙を購入し、申請書に貼付することができます。納付方法の詳細については、最寄りの法務局にお問い合わせください。

 

(1)登録免許税の計算方法

 

登録免許税は、不動産登記の種類や土地・建物によって課税標準額(登録免許税の基準額)や税率が異なります。また、税率が軽減される特例もあります。登録免許税の税額は、次の計算式で算出されます。

 

(2)登録税の計算式

 

課税標準 × 税率

課税標準は、不動産の価格です。

 

(3)登録免許税の課税標準

 

・保存登記、所有権移転登記:固定資産税評価額

※新築の固定資産税評価額がない場合は、「新築建物の課税標準額認定基準表」に基づいて認定された価格。

新築建物の課税標準額認定基準表

・抵当権の設定 債権額(住宅ローン借入額)

固定資産税は、保有する不動産に対して課される税金で、固定資産税評価額は、固定資産税の基準額となります。固定資産税評価額は実勢価格の約70%で、固定資産税評価明細書等で確認することができます。

以下は、主な登録免許税の概要です。

 

(4)登録免許税の税率

 

土地の登記

                   税率   軽減税率

所有権の保存     0.4%   ―

所有権の移転(売買) 2.0%   1.5

抵当権の設定     0.4%   ―

軽減税率は、2027年3月31日の登記まで適用されます。

出典: 国税庁No.7191 登録免許税の税額表

 

住宅の登記

                   税率 軽減税率(一般住宅)  認定長期優良住宅    認定低炭素住宅

所有権の保存    0.4%   0.15%         0.1%         0.1%

所有権移転(売買) 2.0%   0.3%       マンション等0.1 %     0.1%

                       戸建住宅 0.2%

抵当権の設定   0.4%    0.1%

※軽減税率は、2027年3月31日までの期限付きなど、一定の要件があります。(2024年度税制改正により3年延長)。

出典:国税庁No.7191 登録免許税の税額表。

表のように、認定長期優良住宅や認定低炭素住宅では、保存登記や所有権移転登記がさらに軽減されます。

 

(5)登録免許税額の具体的な計算方法

 

新築住宅の場合と既存住宅の場合で、納めるべき登録免許税の額を具体的に計算すると次のようになります。

 

ケース1住宅を新築した場合

 新築住宅の場合、土地については不動産販売会社で所有権移転登記を行い、建物については所有権保存登記を行います。また、住宅ローンを利用する場合は、抵当権の設定登記を行います。建物は新築なので、「新築建物課税標準額認定基準表」に基づいて課税標準額が決定されます。登録免許税額(軽減税率適用後)は、課税標準を土地2,000万円、建物2,000万円、債権額4,000万円と仮定して計算します。

 土地の所有権移転登記

  2,000万円×1.5%=30万円

 建物の所有権保存登記

  2,000万円×0.15%=30,000円

 抵当権設定登記

  4,000万円×0.1%=40,000円

ケース1の場合、登録免許税の総額は37万円です。

 

ケース2:中古住宅を購入する場合

 中古住宅を購入する場合、土地と建物の両方の所有権移転登記を行います。また、住宅ローンを利用する場合は、抵当権の設定登記も必要です。登録免許税額(軽減税率適用後)は、土地が2000万円、建物が1000万円、住宅ローンの金額が3000万円と仮定して計算します。

 土地の所有権移転登記

  2,000万円×1.5%=30万円

 建物の所有権移転登記

  1,000万円×0.3%=3万円

 抵当権設定登記

  3,000万円×0.1%=30,000円

ケース2の場合、登録免許税の総額は33万円です。建物の所有権保存登記と所有権移転登記を比較すると、移転登記の方が税率が高いので、登録免許税額も高く計算されます。なお、不動産の登記を司法書士に依頼する場合は、登録免許税とは別に司法書士への報酬も必要です。

 

3登録免許税が軽減される条件

 住宅の登記(保存登記、移転登記、抵当権設定登記)には、一定の要件を満たすと登録免許税の軽減税率が適用されます。ここでは、軽減税率の適用を受けるための条件をまとめます。土地の所有権移転登記については、2027年3月31日までに登記をすれば、軽減税率で税額が計算されます。

 

登録免許税(建物)         軽減税率の主な要件

登記の種類               主な要件

所有権保存登記            ・建物が個人の居住用であること

                  ・床面積が50m2以上であること

                  ・新築または取得後1年以内の登記

 

 

所有権移転登記(新築住宅)      ・床面積が50㎡以上であること

                  ・新築または取得後1年以内に登記が必要

 

 

所有権移転登記(中古住宅)     ・自己居住用建物

                  ・床面積50平方メートル以上

                  ・新築または取得後1年以内の登記であること

                  ・取得日以前の築年数が20年未満(鉄骨造などは25年未満)であること

 

抵当権設定登記           ・建物が自己居住用であること

                 ・床面積が50平方メートル以上であること

                 ・新築または取得後1年以内に登記されたものであること

 

※既存住宅(中古住宅)の場合

取得日以前の築年数が20年未満(鉄骨造などは25年未満)であること。

住宅ローンの借り換えは認められません。

 

※経過年数要件(取得日以前20年以内等)は、以下のいずれかの書類を提出することにより免除されます。

「耐震基準適合証明書」、「住宅性能評価書の写し」、「既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約の付保証明書」のいずれかを提出することにより、経過年数要件(取得前20年以内など)を免除することができます。

※出典:国税庁No.7191 登録免許税の税額表

 

 

※2027年3月31日登記分まで

一般的に、住宅ローンを利用する場合は、金融機関を通じて融資を受けた時点で登記を行いますので、「新築または取得後1年以内の登記」という要件を満たすことになります。軽減税率の適用を検討する場合は、住宅探しの段階から「床面積50平方メートル以上」の要件(または「取得日に築20年以内(鉄骨造などは25年)の建物」を満たしているかどうかを確認するようにしましょう。

上記の要件に加え、手続き上の要件もあります。登記申請の際には、住宅所在地の市区町村の証明書の添付が必要です。なお、登記後に証明書を提出しても軽減税率は適用されませんのでご注意ください。

 

4登録免許税などの経費を含めた住宅取得の計画。

 登録免許税は住宅取得にかかる諸費用のひとつで、住宅ローンと合わせて諸費用のローンを組むことで準備できますが、利息が発生します。登録免許税のおおよその金額が事前にわかれば、頭金として用意するか、ローンを組むか選択できるので、早めに確認しておくとよいでしょう。

また、取得する住宅の価格が高いほど、登録免許税は多くなります。住宅取得時には不動産取得税と登録免許税、住宅所有時には固定資産税が必要です。住宅取得は、取得時の出費だけでなく、入居後の出費も考慮して計画することをおすすめします。

 

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著者情報

宅地建物取引士 刈田 知彰

      (かりた ともあき)

ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。

私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。

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著者情報 刈田知彰

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