2026.05.30
不動産ガイド

中古一戸建ての固定金利vs変動金利|どちらを選ぶべきか徹底比較

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目次

1. 固定金利と変動金利の違い

中古一戸建てを住宅ローンで購入する際、多くの方が悩むのが「固定金利と変動金利、どちらを選ぶべきか」という問題です。この選択は数千万円のローンを何十年も返済するうえで、総返済額に大きく影響します。

私は不動産業界で16年間、数多くの購入者の資金計画に立ち会ってきましたが、「とりあえず金利が低いから変動」と安易に選んでしまい、後から金利上昇に不安を抱える方を何度も見てきました。金利タイプは、家計の余裕度・返済期間・性格によって最適解が変わります。まずは両者の基本的な違いを理解しましょう。

3つの金利タイプ

  • 変動金利型:市場金利の変動に応じて、返済中に金利が見直されるタイプ。当初金利が最も低い
  • 全期間固定金利型:借入から完済まで金利が変わらないタイプ(フラット35が代表)。返済額が確定する安心感
  • 固定金利期間選択型:「当初10年固定」など一定期間だけ金利を固定し、期間後に変動か再固定を選ぶタイプ

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2. 変動金利のメリット・デメリット

変動金利は、現在もっとも多くの人が選んでいる金利タイプです。

変動金利のメリット

  • 当初金利が低い:固定金利より0.5〜1.0%程度低いことが多く、当初の返済額を抑えられる
  • 金利が下がれば返済額も減る:低金利が続けば総返済額を抑えられる
  • 繰上返済しやすい:当初の返済負担が軽いため、余裕資金を繰上返済に回せる

変動金利のデメリット

  • 金利上昇リスク:市場金利が上がると返済額が増える
  • 返済額が読みにくい:将来の総返済額が確定しない
  • 金利上昇時に未払利息が発生する可能性:返済額に占める利息が膨らむ

変動金利は「家計に余裕があり、金利上昇に対応できる人」に向いています。当初の低い返済額の差額を貯蓄や繰上返済に回せる人なら、金利上昇局面でもリスクを吸収しやすくなります。

3. 固定金利のメリット・デメリット

固定金利は、返済額が変わらない安心感が最大の魅力です。

固定金利のメリット

  • 返済額が完済まで変わらない:家計管理がしやすく、将来設計が立てやすい
  • 金利上昇の影響を受けない:市場金利が上がっても返済額は不変
  • 精神的な安心感:金利動向に一喜一憂しなくて済む

固定金利のデメリット

  • 当初金利が高い:変動金利より0.5〜1.0%程度高い
  • 金利が下がっても恩恵を受けにくい:低金利が続くと割高になる
  • 当初の返済負担が重い

固定金利は「返済額を確定させて将来設計を安定させたい人」「教育費など他の支出が読めない子育て世帯」に向いています。多少金利が高くても、返済額が一定であることの安心感を重視する方に適しています。

4. 金利タイプ別の返済シミュレーション

具体的な数字で比較してみましょう。借入3,000万円・35年返済の場合の試算です(金利は概算の例で、実際の金利は金融機関・時期により異なります)。

変動金利 年0.5%の場合

  • 毎月返済額:約7万8千円
  • 総返済額:約3,270万円

固定金利 年1.8%の場合

  • 毎月返済額:約9万6千円
  • 総返済額:約4,040万円

この例では、当初の毎月返済額で約1万8千円、総返済額で約770万円の差が生じます。ただし、これはあくまで変動金利が変わらなかった場合の試算です。返済期間中に変動金利が上昇すれば、この差は縮まり、場合によっては逆転することもあります。金利タイプの選択は「金利が将来どう動くか」という予測の問題でもあります。

5. 5年ルール・125%ルールとは

変動金利を選ぶ場合に知っておきたいのが、返済額の急増を抑える「5年ルール」と「125%ルール」です(多くの金融機関で採用、商品により異なる)。

5年ルール

変動金利は半年ごとに金利が見直されますが、毎月の返済額自体は5年間変わらないというルールです。金利が上がっても、5年間は返済額が据え置かれます。

125%ルール

5年経過後に返済額が見直される際も、新しい返済額は従来の125%(1.25倍)を超えないというルールです。急激な返済額の増加を防ぎます。

注意点

  • 返済額が据え置かれても、金利上昇分は元金の減りが遅くなる形で反映される
  • 金利が大きく上がると、返済額のうち利息が増え、未払利息が発生することもある
  • これらのルールがない金融機関・商品もあるため、契約前に必ず確認

5年ルールと125%ルールは「返済額の急変を緩和する」仕組みであって、「総返済額を減らす」ものではありません。金利上昇時には元金返済が後ろ倒しになるため、仕組みを正しく理解しておくことが大切です。

【ポイント】 施工現場からのアドバイス

金利タイプ選びについて、私が現場で購入者の方々を見てきた経験からお伝えしたいことがあります。

第一に、「金利の差額」だけで物件の予算を限界まで上げないことです。変動金利の低さに惹かれて借入額を増やすと、金利が上昇したときに家計が一気に苦しくなります。金利が1〜2%上がっても返済を続けられるかをシミュレーションし、余裕を持った借入額に抑えることが鉄則です。

第二に、中古一戸建ては購入後にリフォーム費用がかかることを資金計画に織り込む必要があります。築20年を超える物件では、水回りや断熱の更新が必要なケースが大半です。住宅ローンの返済額をギリギリに設定すると、リフォーム資金が足りなくなる方を何度も見てきました。

リフォーム費用を抑えるなら、キッチン・浴室・トイレの水回り4点セットを同時に行うのが効率的です。私たちのような全国の加盟店による共同購入の仕組みを活用すれば、設備を有利な価格で調達でき、総予算の負担を軽減できます。金利・物件価格・リフォーム費用をトータルで見て資金計画を立ててください。

6. 金利上昇局面での考え方

近年は長く続いた超低金利からの転換期にあり、金利動向への関心が高まっています。金利上昇局面ではどう考えればよいでしょうか。

金利上昇に備えるポイント

  • 金利が上がっても返済できる借入額に抑える:返済比率は年収の25%以内が安心の目安
  • 変動を選ぶなら、差額を貯蓄・繰上返済に回す:上昇に備えた資金を確保する
  • 将来設計が読みにくいなら固定で安心を買う:返済額を確定させる選択も合理的

変動金利と固定金利のどちらが「得」かは、将来の金利動向次第で結果が変わるため、誰にも断言できません。重要なのは「金利が上がっても破綻しない資金計画」を立てることです。金利の予測に賭けるのではなく、自分の家計が耐えられる範囲で借りることが何より大切です。

7. ミックスローンという選択肢

「変動か固定か」の二者択一ではなく、両方を組み合わせるミックスローンという方法もあります。

ミックスローンの仕組み

  • 借入額の一部を変動金利、一部を固定金利で組む
  • 例:3,000万円のうち1,500万円を変動、1,500万円を固定
  • 金利上昇リスクを分散してつつ、変動の低金利メリットも享受できる

ミックスローンの注意点

  • 2本のローンを管理する手間がある
  • 事務手数料が2本分かかる場合がある
  • 取り扱いのない金融機関もある

ミックスローンは「変動の低金利は活かしたいが、全額変動は不安」という方に向いた折衷案です。リスクとメリットをバランスよく取りたい場合の選択肢として検討する価値があります。

8. 自分に合った金利タイプの選び方

最後に、タイプ別の選び方を整理します。

変動金利が向いている人

  • 家計に余裕があり、金利上昇に対応できる
  • 当初の返済額を抑えて繰上返済を進めたい
  • 借入額が少なめ、または返済期間が短い

固定金利が向いている人

  • 返済額を確定させて将来設計を安定させたい
  • 教育費など他の支出が読めず、家計の余裕が少ない
  • 金利動向に一喜一憂したくない

ミックスローンが向いている人

  • 変動の低金利を活かしつつリスクも分散したい
  • 借入額が大きく、リスク管理を重視したい

金利タイプに唯一の正解はありません。自分の家計の余裕度・将来設計・性格を踏まえて、金利が上昇しても無理なく返済できるタイプを選ぶことが大切です。

9. まとめ

固定金利と変動金利の選び方について、要点を整理します。

  • 変動金利は当初金利が低いが、金利上昇リスクがある
  • 固定金利は金利が高めだが、返済額が確定する安心感がある
  • 5年ルール・125%ルールは返済額の急増を抑えるが、総返済額を減らすものではない
  • 金利上昇局面では「上がっても破綻しない借入額」が最重要
  • 変動・固定を組み合わせるミックスローンも選択肢
  • 金利・物件価格・リフォーム費用をトータルで資金計画を立てる

金利タイプの選択は、将来の金利を予測する問題であると同時に、「自分の家計が耐えられる範囲で借りる」というリスク管理の問題です。中古一戸建ては購入後のリフォーム費用も見込んだうえで、無理のない資金計画を立てることが、後悔しない住まい選びの鍵となります。

刈田知彰

宅地建物取引士 刈田 知彰(かりた ともあき)

中古住宅売買の専門家。不動産業界16年のキャリアを持ち、新築マンション販売から中古戸建て・リノベーション専門へ転向。「買ってからがスタート」をモットーに、構造・耐震・断熱など建物の本質を見極めた住まい選びをサポートしています。

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