土地に消費税がかからない?
結論から申しますと、土地に消費税はかかりません。理由ですが、土地は消費するものではないからです。
消費税とは
消費税は、日本国内において事業者が事業として対価を得て行う取引に対して課税されます。
ただし、消費に負担を求める税としての性格から課税対象とならない取引や、社会政策上の配慮から非課税とされる取引もあります。下記にまとめます。
主な非課税取引
(1)土地の譲渡および貸付け
土地には、借地権などの土地の上に存する権利を含みます。
ただし、1か月未満の土地の貸付けおよび駐車場などの施設の利用に伴って土地が使用される場合は、非課税取引には当たりません。
(2)有価証券等の譲渡
国債や株券などの有価証券、登録国債、合名会社などの社員の持分、抵当証券、金銭債権などの譲渡
ただし、株式・出資・預託の形態によるゴルフ会員権などの譲渡は非課税取引には当たりません。
(3)支払手段(注)の譲渡
銀行券、政府紙幣、小額紙幣、硬貨、小切手、約束手形などの譲渡
ただし、これらを収集品として譲渡する場合は非課税取引には当たりません。
(注)支払手段に類するものとして、資金決済に関する法律第2条第5項に規定する暗号資産(令和2年4月までは「仮想通貨」という名称が用いられていました。)の譲渡も非課税となります。
(4)預貯金の利子および保険料を対価とする役務の提供等
預貯金や貸付金の利子、信用保証料、合同運用信託や公社債投資信託の信託報酬、保険料、保険料に類する共済掛金など
(5)日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡および地方公共団体などが行う証紙の譲渡
(6)商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡
(7)国等が行う一定の事務に係る役務の提供
国、地方公共団体、公共法人、公益法人等が法令に基づいて行う一定の事務に係る役務の提供で、法令に基づいて徴収される手数料
なお、この一定の事務とは、例えば、登記、登録、特許、免許、許可、検査、検定、試験、証明、公文書の交付などです。
(8)外国為替業務に係る役務の提供
(9)社会保険医療の給付等
健康保険法、国民健康保険法などによる医療、労災保険、自賠責保険の対象となる医療など
ただし、美容整形や差額ベッドの料金および市販されている医薬品を購入した場合は非課税取引に当たりません。
(10)介護保険サービスの提供等
介護保険法に基づく保険給付の対象となる居宅サービス、施設サービスなど
ただし、サービス利用者の選択による特別な居室の提供や送迎などの対価は非課税取引には当たりません。
(11)社会福祉事業等によるサービスの提供等
社会福祉法に規定する第一種社会福祉事業、第二種社会福祉事業、更生保護事業法に規定する更生保護事業などの社会福祉事業等によるサービスの提供など
(12)助産
医師、助産師などによる助産に関するサービスの提供等
(13)火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供
(14)一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け等
義肢、視覚障害者安全杖、義眼、点字器、人工喉頭、車椅子、身体障害者の使用に供するための特殊な性状、構造または機能を有する自動車などの身体障害者用物品の譲渡、貸付け、製作の請負およびこれら身体障害者用物品の修理のうち一定のもの
(15)学校教育
学校教育法に規定する学校、専修学校、修業年限が1年以上などの一定の要件を満たす各種学校等の授業料、入学検定料、入学金、施設設備費、在学証明手数料など
(16)教科用図書の譲渡
(17)住宅の貸付け
契約において人の居住の用に供することが明らかにされているもの(契約において貸付けの用途が明らかにされていない場合にその貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかなものを含みます。)に限られます。
ただし、1か月未満の貸付けなどは非課税取引には当たりません。
引用元:No.6201 非課税となる取引|国税庁
上記の通り、消費税は「消費」に対して課税されるため、消費されるものに対して課税される。また、事業者が対価を得た場合に課税されるため、個人間の取引には消費税は課税されない。
また、庭木や石、石垣など土地の備品となるものは非課税である。
土地の賃貸借の場合だと消費税はどうなるのか
購入して消費する場合と同様に、物の貸借も消費税の課税対象となります。
例えばレンタカーの代金は税込金額で書かれているので、わかりにくいですが、消費税が課税されています。車の貸借が課税対象となるのであれば、土地の賃貸借にも消費税がかかるのでは?と考えるかもしれません。
土地の賃貸借こちらについても、結論からいえば、原則として土地の賃貸借には消費税はかかりません。土地の賃貸借は、法律で非課税と規定されています。
土地の譲渡や賃貸借は消費税の課税対象外(非課税取引)です。ただし、土地の賃貸期間が1ヶ月未満の場合や、駐車場などの施設利用と併用する場合は非課税となりません。
土地には、土地上に存在する権利も含まれる。土地に対する権利には、地上権、土地所有権、土地の使用権、収益権、地役権、永小作権などが含まれます。これらの土地の上にある権利は、土地と同じ扱いで、地代同様に消費税がかかりません。
引用元:No.6225 地代、家賃や権利金、敷金など|国税庁
土地と消費税の関係については、土地が消費に値するかどうかで考えると分かりやすいでしょう。
土地は、期間に応じて土地の価値が減少することはありません。減少する場合は相場や土地の条件の変化などがあった場合です。
土地の賃貸借は「消費」ではなく「資産の移動」と考えるため、消費税が発生しないのです。
しかし、例外的に消費税がかかるケースがあるので注意が必要です。詳しくは次項で解説します。
土地の賃貸借でも消費税がかかるケース
土地の賃貸借において、例外的に消費税がかかるケースについて解説します。
土地の短期貸し出しにおける消費税の適用
土地の一時的な貸し出しに関して、消費税の課税対象となるか否かは、貸し出しの期間によって決定されます。基本的に、1ヶ月を超える期間での貸し出しは非課税とされていますが、1ヶ月未満の場合は消費税が適用されます。
この短期間の貸し出しにおいて消費税が課される理由は、土地の貸し出しというよりも、物品を一時的に保管するスペース(例:駐車場)を提供するサービスと見なされるためです。サービス提供には消費税が課税される原則があります。従って、たとえ土地だけを貸し出していても、その期間が一時的であれば消費税が課税されます。
また、貸し出し期間の判断基準については、実際の貸し出し期間ではなく、契約に記載された期間が重要となります。例えば、実際には1ヶ月以上貸し出していたとしても、契約書には1ヶ月未満と記載されている場合、この貸し出しは一時的と見なされ、消費税の課税対象となります。したがって、契約内容には十分注意が必要です。
施設利用をともなった土地の貸付け
施設利用を伴う土地の貸し出しと消費税の関係
施設利用を伴う土地の貸し出しも、消費税の課税対象となる場合があります。例として、駐車場の貸し出しを挙げてみましょう。
駐車場の貸し出しには、大きく分けて3つのパターンが考えられます。
更地の舗装などをしていない駐車場貸し出し
オーナーが何も手を加えず、更地を駐車場として貸し出すケースです。通常、青空駐車場と呼ばれます。このような場合はオーナーが単に土地を貸し出しているだけなので、消費税は課されません。
注意点
オーナーが駐車スペースをロープで区切るなど、何らかの手を加えると、単なる土地の貸し出しではなく、施設利用を伴う貸し出しと見なされ、消費税が課税される可能性があります。
借主による土地の転貸
オーナーが土地を貸し出し、借主が自己の費用で駐車場を整備・利用するケースです。このような場合はオーナーが施設の整備に関与していないため、消費税は課されません。
更地の土地を貸し出し貸主が駐車場整備費を負担した場合
オーナーが駐車場へ整備費用を負担し、その上で土地を貸し出すケースです。
このような場合だと基本的にはオーナーが施設(駐車場)の整備を行っているため、消費税が課税されます。
この議論は、駐車場に限らず、他の施設(例:テニスコートや野球場など)にも適用可能です。更地をそのまま貸し出す場合は、単なる土地の貸し出しとなりますが、施設を整備してから貸し出す場合は、施設利用を伴う貸し出しとなり、消費税の取り扱いが異なります。
建物と土地の賃貸における消費税の適用
建物の賃貸借には消費税が適用されるケースが一般的ですが、特例として、個人が住居用途で建物を賃借する場合は非課税となります。また、1ヶ月未満の短期間の賃貸には消費税が課税されますが、通常の住居用賃貸には課されません。
一方で、事業用の建物の賃貸は消費税の課税対象となります。ここで、事業用の建物とその土地を一緒に賃貸するケースを考えると、建物の部分に消費税が課税されるのは明らかですが、土地についても同様に消費税が課税されます。
では、事業用の建物と土地を別々の項目として賃料を区分し、賃貸借契約を結んだ場合はどうでしょうか?賃料が明確に分けられているため、「土地分の賃料は消費税を適用しない」と考えるかもしれませんが、実際はそうはなりません。
契約書で建物と土地の賃料が区分されていても、事業用の建物と土地の賃貸全体が一つのサービスと見なされ、全額が消費税の課税対象となります。したがって、消費税を節約する目的で賃料を区分しても、土地分の賃料を非課税にすることはできません。契約を結ぶ際には、この点を理解した上で、適切な契約内容を検討しましょう。
まとめ
本コラムでは、土地の消費税について賃貸借も含めて解説しました。土地と消費税の仕組みについてはわかりにくい点も多いと思います。
土地活用で失敗しないためにも専門家へ相談するのがおすすめです。
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著者情報
宅地建物取引士 刈田 知彰
(かりた ともあき)
ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。
私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。
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