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中古住宅を購入してリフォームに潜む失敗パターンとその対策
更新日:2024年3月21日
中古住宅は新築よりも2000万円安く(価格国土交通省住宅局による「令和3年市場動向調査」(001477550.pdf (mlit.go.jp))による)購入できるため、多くの人々にとって魅力的に映るかもしれません。しかし、中古住宅には意外な落とし穴が存在します。このコラムでは、中古住宅の購入時とリフォームの失敗事例とその対策について詳しく紹介します。
こちらの関連コラムもご覧ください。
中古住宅に対する不安の内容とその解決策は?|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)
ここでは中古住宅購入の失敗点について紹介します。
(1) 失敗点その1:断熱性の低さ
最近、猛暑が続いています。そして、電気代も年々いえ毎月のように上がっています。寝ている間に熱中症になってしまうかもしれません。その原因の一つに日本の断熱基準にあります。2025年に全ての建物に対して省エネ基準が義務化されます。さらに2030年にはさらに強化されます。つまり現存する中古住宅の断熱性能は不足していることが明白なのです、特に古い家は断熱や耐震性能が現代の基準を満たしていないことが多いのです。
(2) 失敗点その2:新しい設備の中古住宅でもカビや腐食
人が住んでいない期間が長いと家の劣化は急激に進んでしまう事をご存じでしょうか。風通しや日常のメンテナンスが不十分だと、結露やカビが発生しやすくなる。断熱性能も関係します。また、クロスを張り替えるだけの表層のリフォームではカビを隠しているだけです。しばらくすると直ぐに顔を出してきます。
(3) 失敗点その3:10年後の高額なメンテナンス費用
定期的なメンテナンスの不足。家の構造部分、特に屋根や外壁はおおよそ10年おきのメンテナンスが必要になります。メンテナンスを怠ると水が侵入して構造躯体が腐ってしまいます。弱くなった木はシロアリを呼び寄せやすくなります。木でも鉄でも水には弱いのです。
ここでは失敗点の対策について解説していきます。
失敗点その1対策:性能向上リノベーション
断熱や気密性の低さが問題です。解決策としては性能向上リノベーションを行う事が一番だと思います。
もう一点、性能向上リノベーションのメリットは耐震性能の向上となります。東京中古一戸建てナビの基準は新築基準だと耐震等級3断熱等級5を基準としています。中古の一戸建ては築年数に応じて補強工事を変える必要があります。1971年の建物なら基礎補強が必要ですし、1981年以前の建物は旧耐震基準と言われ耐力壁と金物による補強が必要となります。新耐震基準と言われる建物に関しても金物の補強が必要となります。また、2000年基準の建物でも不安は残ります。現に東京中古一戸建てナビのお客様の中には2000年以降に建てられたお家の耐震補強工事を行ったお方もおられます。
各築年数についてにおススメ補強に関してはコチラのコラムでまとめています。
築年数別おススメ性能向上リノベーション|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)
失敗点その2対策:これまでの管理方法の確認。
購入前に家の管理状況や人が住んでいない期間を確認しましょう。必要ならば専門家の診断を受けると安心して住むことができます。
失敗点その3対策:メンテナンス履歴の確認と住宅診断。
購入前にこれまでのメンテナンス履歴を確認し、住宅診断を受けて今後のメンテナンス計画を立てることが重要です。購入時に建物が受けているダメージなども加味して将来的な修繕計画を立てることが重要です。
さらに、土地や建物の制約によっては、建て替えが難しいケースも存在します。特に、防火地域の指定や土地の分割による法律の変更などに注意が必要です。専門家の診断を受けることで、後悔のない中古住宅購入・リフォームを実現しましょう。
リフォーム済み中古一戸建てを購入する場合は、更に注意が必要です。ここまでにも挙げていますが、雨漏りのシミやカビなどは、物件の状況を見極めるポイントとなります。
例えば、屋根が新しく塗装されているからと言って、その下の構造が健全であるとは限りません。実際、外見上の美しさの裏に、内部の腐食や劣化が進行していることも少なくありません。このようなリスクを回避するためには、住宅診断の専門家によるチェックが不可欠です。
建物の構造部分は、外観だけでその健全性を判断するのが難しい部分です。見た目が整っているからといって、その建物が長持ちするとは限らないのです。実際、多くの重要な構造部分は、目に見えない場所に存在します。
中古住宅を購入する際の最初のステップとして、これまでのメンテナンス履歴の確認が必要です。さらに、住宅診断やインスペクションを受けることで、隠れた劣化や問題点を明らかにすることができます。このようなアプローチをとることで、10年、20年後の大きなトラブルやコストを回避することができるのです。
また、土地や建物には、再建築が難しいケースも存在します。例えば、法律の改正や土地の分割により、現在の基準を満たしていない場合などです。特に、防火地域の指定が後から行われた地域にある家は、法律違反の状態になることがあります。これらの家は「既存不適格建築物」として認識され、大規模なリフォームや改築を行う際には、現行の法律に準拠した工事が必要となります。これに伴い、外壁や屋根の材料に制限がかかることもあり、それが想定以上にリフォーム費用の増加を招くことも考えられます。これらに注意して中古一戸建ては購入とリフォーム・リノベーションを検討しましょう。
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著者情報
宅地建物取引士 刈田 知彰
(かりた ともあき)
ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。
私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。
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