2023.07.28
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不動産取得税とは?―計算方法と、軽減措置の申請まで― 家を買うとき一度だけかかる不動産取得税。軽減を受けると税額が大幅に減るので、忘れずに手続きしよう。
更新日:2024年3月20日
住宅を購入する際には様々な税金が関連してきます。
印紙税、消費税、固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税です。
また、還元される税金もあります。所得税や住民税です。こちらは住宅ローン控除(減税)を利用した場合に還元される税金になります。この中で今回は不動産取得税について解説したいと思います。
不動産取得税の理解と軽減措置の活用
不動産取得税は、家を取得した際に一度だけ支払う必要がある税金です。この税金の軽減措置を活用することで、税額を大幅に削減することが可能です。そのため、軽減措置の申請を忘れずに行うことが重要です。
そもそも、不動産取得税は、土地や建物を購入しり、建築したり、贈与などで不動産を取得した際に発生する地方税です。新居に移り住んだ後、しばらくすると自治体から納税通知書が送られてきます。納税は都道府県の税事務所で行います。
「不動産所得税」は国税ではなく地方税のため、各自治体から納税通知書が送付されます。
自治体によっても多少異なりますが、不動産を取得してから数ヶ月程度で納税に関する通知書が届くのが一般的です。
不動産取得税の税額は、「課税標準額×税率」によって計算されます。課税標準額は、法律上で定められた不動産の価格を指します。実際の取引価格ではなく、通常は固定資産税評価額(以下、評価額)と呼ばれる公的な価格が使用されます。評価額は通常、市場価格よりも低く設定されており、土地の場合は市場価格の約70%、建物の場合は約50~60%が目安とされています。
税率は通常4%ですが、土地と住宅については2024年3月31日までの取得に限り、3%に引き下げられています。この引き下げには特別な要件はありません。また、宅地や宅地と同じ扱いを受ける土地についても、同様に2024年3月31日まで、評価額の半分が課税標準額となっています。
3-1不動産取得税の税率
【原則】
土地……4% (住宅関係は3%2027年3月31日まで)
建物……4% (住宅関係は3%2027年3月31日まで)
【軽減措置】
土地……評価額×1/2×3%
建物……評価額×3%
※軽減措置は、2027年3月31日まで
3-2軽減措置の適用条件
住宅を購入する際、住宅が一定の要件を満たすと軽減措置が適用されます。まず、建物については評価額から一定額が控除されます。控除額は住宅が新築された日に応じて決定され、平成9年(1997年)4月1日以降に建てられた住宅では評価額から1200万円が控除されます。
この軽減措置を受けるためには、建物が以下の要件を満たす必要があります。
床面積が50m2以上240m2以下
取得者の居住用、またはセカンドハウス用の住宅
新耐震基準に適合していることが証明されたもの
また、長期優良住宅に認定された新築住宅の場合、控除額が100万円上乗せされて1300万円(※2027年3月31日まで)になります。
一方、住宅用の土地については、上記の要件を満たす住宅が建っている場合に、以下のいずれか多い額が不動産取得税の税額から控除されます。
(1)4万5000円
(2)土地1m2当たりの価格×1/2×住宅の床面積の2倍(200m2が限度)×税率(3%)
例えば、3000万円の新築一戸建てを購入した場合(土地と建物は同一の者が同一のタイミングで購入している場合)、軽減前と軽減後の税額を比較してみましょう。土地・建物の面積と評価額は以下のとおりとします。
土地:面積100m2、評価額1200万円
建物:延べ床面積90m2、評価額1200万円
軽減前の税額は、土地の評価額を2分の1にしたものと建物評価額に税率(3%)をかけると、土地18万円建物30万円合計で48万円になります。
ですが現在は軽減措置があります。
土地
(1)4万5000円
(2)土地1m2当たりの価格×1/2×住宅の床面積の2倍(200m2が限度)×税率(3%)
(1)4万5000円
(2)12万×1/2×100×3%=18万
18万円-18万円=0円
建物
一方、軽減後の建物分は新築なので評価額から1200万円が控除され、
(1200万円-1200万円)×3%=0円
軽減後の税額を計算すると、土地と建物共に税額は0円となります。結果として、軽減前の48万円から0円に大幅に軽減されます。
不動産取得税の軽減措置を受けるためには、申告が必要です。新居に入居して数カ月後に納税通知書が送られてきますが、申告をしていないと軽減前の税額が記載されてしまいます。そのため、多額の税金を支払うことになります。
申告は都道府県の税事務所で行います。申告期限は条例で定められており、原則として期限内に手続きしなければ軽減が受けられません
万が一手続きを忘れてしまって、軽減前の税額の納税通知が送られてきた場合はどうすれば良いのでしょうか?そういった場合にはまず、税事務所に問い合わせよう。申告期限が過ぎていても、手続きすれば軽減が受けられる可能性はあります。
「不動産取得税はだいたいいくらくらいですか?」
不動産取得税は売買代金ではなく、固定資産税評価によって変わります。固定資産税評価は個人情報ですので、最終検討の際に用意してもらいましょう。
「不動産取得税とは毎年いくらかかりますか?」
いいえ、かかりません。取得時の1回になります。
「不動産取得税 いくら 4000万円?」
新築であれば住宅の固定資産税評価額が1200万円(1300万円)以下であれば、そこから控除額を引くとマイナスになるため不動産取得税がかかりません。中古住宅の場合は築年数によって控除額がかわります。
建物の評価額からの控除額
新築日
|
控除額※
|
1997年4月1日以降
|
1200万円
|
1989年4月1日~1997年3月31日
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1000万円
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1985年7月1日~1989年3月31日
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450万円
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1981年7月1日~1985年6月30日
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420万円
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1976年1月1日~1981年6月30日
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350万円
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1973年1月1日~1975年12月31日
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230万円
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1964年1月1日~1972年12月31日
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150万円
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1954年7月1日~1963年12月31日
|
100万円
|
この軽減措置を受けるためには、建物が以下の要件を満たす必要がある。
※都道府県によって異なります。
土地は
(1)4万5000円
(2)土地1m2当たりの価格×1/2×住宅の床面積の2倍(200m2が限度)×税率(3%)
どちらか以下の場合は不動産取得税はかかりません。
「不動産取得税を申告しなかったらどうなる?」
不動産取得税を申告しなかった場合も請求されます。放置していると、軽減措置がなくなってしまう可能性があったり、損をするので、請求された場合は速やかに支払いましょう。
今回は不動産取得税についてまとめてみました。不動産の評価額にもよりますが、不動産を取得した場合不動産取得税がかかります。
不動産を取得した場合は都税事務所等一覧| 東京都主税局 (tokyo.lg.jp)に確認してみましょう。
その他税金についてはこちら
印紙ってなに?|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)
登録免許税とは?https://www.chukokodate.com/column/detail/?p=67
中古住宅の改修工事を行った場合の所得税の特別控除https://www.chukokodate.com/column/detail/?p=78
著者情報
宅地建物取引士 刈田 知彰
(かりた ともあき)
ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。
私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。
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