地盤調査の必要性とその目的
地盤調査とは、建物や橋などの建造物を建設する前に、地盤の強度や安定性を調べることで、建造物の耐震性や安全性を確保するために行われる調査です。東京都内でもエリアによってまた、土地によって地盤の強弱はあります。
地盤調査の必要性は、建物が立地する地盤の状態によって、建物の耐震性や安全性が大きく左右されるためです。また、地盤の状態によっては、建物が沈下したり、傾いたりすることがあります。これらの問題が発生すると、建物の使用に支障をきたしたり、建物の寿命を短くすることになるため、地盤調査は非常に重要です。
2000年(平成12年)の建築基準法の改正や住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)などにより、実質的に新築物件の場合は地盤調査をおこなう必要があります。
調査方法は以下の3つが有名です。スクリューウエイト貫入試験(SWS試験、SS試験、旧スウェーデン式サウンディング試験)ボーリング調査(標準貫入試験)表面波探査です。
スクリューウエイト貫入試験は、以前は「スウェーデン式サウンディング試験」と呼ばれていました。一戸建てでは一番ポピュラーな調査方法ではないでしょうか。スクリューウエイト貫入試験は、地盤にスクリュー型の掘削器具を貫入させ、貫入抵抗を測定する方法です。貫入抵抗によって地盤の性質を推定することができ、比較的簡易に行えます。四隅と真ん中5カ所を調査するというのが通例
ボーリング調査は、地盤に直径50mm程度の穴を深さ1mごとに掘削し、掘削した土壌を取り出して分析する方法です。この方法では、地盤の性質や土の種類性質や強度、地下水位などを詳細に調べることができます。支持層まで、場合によっては50mや最大100m掘削調査を行います。
表面波探査は、地盤表面に振動源を設置し、地盤中を伝わる表面波を観測することで、地盤の性質を推定する方法です。非破壊であり、比較的迅速に調査ができるため、都市部などでの利用が増えています。
地盤調査から得られる情報としては、換算N値、土の種類、自沈層などがあります。換算N値は、スクリューウエイト貫入試験や標準貫入試験によって得られる貫入抵抗値を、標準的な試験条件下での貫入抵抗値(N値)に換算した値です。土の種類は、地盤の性質を表す指標のひとつで、建築物の設計に必要な情報です。自沈層とは、地盤に負荷がかかることによって引き起こされる地盤沈下のことで、地盤調査によって検出された場合は、適切な対策が必要となります。
地盤調査の費用は、調査方法や土地の状況によって異なります。一般的には、地盤調査の費用相場は規模によりますが、数十万円から数百万円程度とされています。調査方法によっては、機材や人員の費用がかかるため、費用が高くなることがあります。また、土地の状況によっても費用が変わるため、事前に調査の見積もりを依頼することが必要です。
地盤調査は誰が行うのか?
「地盤調査」は、一戸建ての購入者が家を建てるためにハウスメーカーや建設会社に依頼する一連のプロセスです。一般的には、ハウスメーカーや建設会社が地盤調査の専門会社に依頼し、その専門会社が調査を行い、地盤調査報告書を作成します。しかし、専門の調査会社に依頼するだけでなく、ハウスメーカーや建設会社が自社で地盤調査を行う部署を持っている場合もあります。
地盤調査の費用は、調査方法や土地の状況によって異なります。一般的には、地盤調査の費用相場は数十万円から数百万円程度とされています。調査方法によっては、機材や人員の費用がかかるため、費用が高くなることがあります。また、土地の状況によっても費用が変わるため、事前に調査の見積もりを依頼することが必要です。調査結果により、軟弱地盤だった場合はどうすれば良いのでしょうか。
続いて地盤改良工事について解説していきます。
地盤改良工事とは、地盤の強度や安定性を向上させるために行われる工事です。建築物が建設される前に地盤調査が行われ、その結果に基づいて必要な場合に実施されます。
地盤改良工事の必要性は、建物の耐震性を確保するために必要であり、地盤の強度や安定性を向上させることによって、建物の寿命を延ばし、修繕や改修の必要性を減らすことができます。
地盤改良工事は、地盤の状況に応じて下記の工法が選択されます。
地盤の改良方法は大きく3つです。それぞれについて解説していきます。
表層改良工法:その特徴、適用範囲、施工方法
表層改良工法とは、家を建てる部分の土を深さ2mほど掘って、その部分の土にセメント系固化材(地盤改良材)を混ぜることで地盤を強くする工法をいい、深層混合処理工法と呼ばれることもあります。主に、地盤の軟弱な部分が地表から2m程度までの浅い場合に用いられる工法です。工期は床面積30坪程度の住宅の場合、1~2日程度です。
柱状改良工法:その特徴、適用範囲、施工方法
柱状改良工法とは、セメント系凝固材を地盤に注入しながら一定間隔で円柱状の補強体を地盤に打ち込む工法です。軟弱な地盤が表層から2~8m程度の場合に用いることができます。
地盤からの摩擦力と先端支持力によって建物を支えるため、表層改良工法では地盤改良が困難な場合に採用されます。工期は床面積30坪程度の住宅の場合5~7日程度ですが、打ち込む支柱の数によって前後します。
小口鋼管杭工法:その特徴、適用範囲、施工方法
小口鋼管杭工法とは、軟弱な地盤が表層から5~10m程度の場合に多く採用される工法です。小口鋼管杭を軟弱層の下にある支持層まで打ち込んで、荷重を支持地盤に伝えます(支持地盤までの深さが10m以上になる場合にも採用することが可能)。なお、工期は床面積30坪程度の住宅の場合で2~3日程度です。
地盤改良工事の費用は、工法や施工箇所などによって異なります。表層改良工法は、比較的低コストで施工できる場合がありますが、柱状改良工法や鋼管杭工法などは、より高コストであることが多いです。
地盤改良工事のメリットとデメリットは、工法ごとに異なります。
表層改良工法は、施工期間が短く、費用が比較的安価であることがメリットです
建物の大きさにもよりますが、30万円から50万円が目安です。
一方、柱状改良工法は
軟弱な地盤が表層から2~8m程度の場合に用いることが多いのですが、一戸建て住宅の場合には打ち込んだ支柱の摩擦力を利用することが多く、強固な支持層まで支柱を打ち込む必要がないため軟弱層が厚い場合にも施工が可能です。
50万円から80万円が目安になります。デメリットとして、将来的に打ち込んだ支柱の撤去費用が必要になる可能性があります。
鋼管杭工法は、前述した2つの工法よりも施工後の強度が高く、3階建てなど重量のある住宅にも適しています。また、土地に傾斜や起伏があっても対応しやすく、柱状改良工法で使用する支柱よりも細い鋼管で支えるため小型の重機でも施工可能なのがメリットです。しかし、支持層に到達するまで打ち込む必要があるため、軟弱層が深くて支持層に届きにくい土地では施工することができません。また、他の2つの工法と比べると費用が高額になります。100万円から180万円が目安になります。
柱状改良工法や鋼管杭工法は表層改良工法では地盤改良をおこなう軟弱層に地下水位がある場合や、急な勾配のある土地では施工が困難な場合や深い層に軟弱地盤が分布していると補強した表層ごと地盤沈下を起こしてしまうことがある場合に採用されます。
地盤改良工事は、建物の耐震性や安全性を確保するために非常に重要な工事です。工法ごとにメリットとデメリットがあるため、地盤調査の結果に基づき、適切な工法を選択することが重要です。また、費用や施工期間などを比較検討することで、適切な工法を選択することができます。
中古一戸建ての場合でも地盤調査を行う事はあります。中古住宅の場合の対処法はこちらで詳しく解説しておりますので、気になる方は是非ご覧ください。
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著者情報
宅地建物取引士 刈田 知彰
(かりた ともあき)
ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。
私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。
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