2023.07.12
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「駅徒歩20分の物件」は得なのか? メリット・デメリットを考える

更新日:2024年3月18日

「駅徒歩20分の物件」は得なのか? メリット・デメリットを考える

 

はじめに

「駅徒歩20分」の物件についてどのような印象をお持ちですか?安い物件が多い?買うには駅から遠すぎる?産性が落ちる?よくわからない。などと思われている方が多いのではないでしょうか。今回は「駅徒歩20分の物件」は得なのか?メリット・デメリットについて考えてみたいと思います。

「駅徒歩20分」の実際の距離は?

物件情報には、駅から物件までの所要時間は「〇〇駅徒歩何分」と表記されています。実際にはどのくらいの距離で、この時間は何を基準にして計算されたものなのでしょうか。

徒歩20分は約1.6km
「不動産の表示に関する公正競争規約」では「徒歩1分が80mに相当するものとして計算する」と定められています。不動産広告で徒歩分数を記載する場合、不動産会社はこの基準を使わなければなりません。そこから「駅徒歩20分」を計算すると、実際の距離は約1.6kmとなります。また、表記のルールとして「端数は切り上げ」となるので、1.61kmなら21分と表記されます。

 

2022年9月1日に改正があり、大きな団地等で1地番近い住戸と最も遠い住戸
例えば近い住戸が5分で遠い住戸は10分の場合は「5分から10分」と表記されるように変更になりました。

実際にはもっと時間がかかる?

「不動産の表示に関する公正競争規約」における「徒歩1分=80m」という数値は、健康な女性が「ハイヒールを履いて歩いたとき」の歩行速度を基に採用されたといわれています。当然ですが、歩くスピードには個人差がありますので、あくまで参考として考えましょう。


「徒歩1分が80m」を時速に換算すると時速4.8kmになります。地図アプリではほぼ時速5kmが採用されているため、地図アプリで移動時間を調べた場合は物件情報の表記よりも少し早い時間で到着するように表示されるはずです。


徒歩表記には注意点があり、以下の条件は「駅徒歩○分」の時間に含まれていません。
 

階段やエレベーター
物件によっては駅から階段やエレベーターを利用すると思います。日常では問題ないですが、朝や夕方など人の出入りが多い時間帯は余分に時間がかかってしまうこともあります。
マンションの場合はエレベーターが何基あるのかもしっかりと確認する必要があります。

踏切や信号待ち、坂道
「徒歩何分」表記には、踏切・信号待ち・坂道などの時間は含まれていません。あくまで距離を分になおした表記になります。長く待つ踏切や道中に信号が何個あるか、急な坂道はないかなどをチェックしましょう。もしも開かずの踏切だった場合は最悪です。

通勤ラッシュなど混雑
朝の通勤ラッシュなどでは、人混みにより駅のホームにたどり着くのに時間がかかる、電車に乗るのが遅れるなどの影響があるかもしれません。

 
その他、時間帯や天候などによってかかる時間は変わってきます。駅までの徒歩表示はあくまで参考にし、実際の通勤・通学時間などに合わせて物件と駅の間を歩いて、周辺環境をしっかりチェックしておきましょう。

「駅徒歩20分」物件のメリット 

「駅徒歩20分」の物件にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

1.賃料・価格が駅近物件に比べて割安であることが多い

一番のメリットは価格・家賃
一番のメリットは駅から近い物件に比べて、土地代や家賃が安くなることです。駅徒歩20分の物件は、駅近物件に比べて割安であることが多くあります。 
そのため、当初の予算よりも少なく抑えられ、新生活に伴って必要となるほかのことにお金を回すことができます。

2.物件数が多いため希望に合う条件の家が探しやすい

物件数が一定数あり、探しやすい傾向にあります。
条件を重ねていくと、選択肢は減っていきます。駅からの距離以外に部屋の広さや設備など、重視したいものはほかにもある人がほとんどでしょう。駅徒歩20分以内で探せば、選択肢の多さから希望に合う物件が見つけやすいかもしれません。

3.強制的に運動の機会を作れる

駅徒歩20分の距離は、日常的な運動としてウォーキングを取り入れるのに適しています。健康への意識が高い方にとっては、利点となるかもしれません。

「駅徒歩20分」物件のデメリット

駅から徒歩で20分かかる物件なので、もちろんデメリットはあります。

1.日常的に駅を利用する場合、負担になりやすい

駅から自宅まで20分という距離を毎日徒歩で移動するのは、想像以上の負担になります。雨や雪など天候の悪い日には特に難しくなるでしょう。自転車を使っても、雨の日や風の強い日は近くにバス停がない場合は歩くことになります。「駅徒歩20分」という距離感をしっかり検討しておかないと、実際に住んでから後悔する可能性が高くなるでしょう。

2.バス代などのコストがかかる

意外にバス代が大きなポイントとなります。若いご夫婦の場合は自分たちの通勤をメインに考えられると思いますが、将来的にはお子様の交通費が発生する場合などもあるかもしれません。
その他、残業や飲み会なので帰りが遅くなった場合などは、タクシー代が余分にかかったり、日常駐輪場等を利用する場合は使用料が必要になります。

3.都市生活の便利さの欠如

駅から遠い場所では、日常的な買い物や飲食店、エンターテイメント施設へのアクセスに制限が生じるかもしれません。都市の中心部や生活に必要な施設に近い立地を望む方にとっては不利になるかもしれません。

4.人通りが少ない可能性がある

駅徒歩10分以上離れると、徐々に人通りと街灯が減ります。夜は見通しが悪い場所が多く、交通事故やストーカー事件などに巻き込まれる確率が上がります。

とくに女性は、防犯グッズを持ち歩く、街灯が多い大通りを経由して帰るなど、自衛対策はしておいた方が良いです。

 


「駅徒歩20分」の物件は駅近物件より土地代も家賃も安いことが最大の魅力です。ですが、駅まで遠いため、費用だけで選ぶと後悔することもあります。内見の際には、実際に歩いてみてその距離感を体感しておくことをおすすめします。

またバスや自転車を使うことを検討しましょう。バス停に近い物件を選んで駅までバスを使うようにすれば、歩く時間は格段に短くなります。バスは真夏や真冬などでもストレスなく移動できるところも魅力です。

「駅徒歩20分」でも後悔しづらい物件の特徴

駅から物件まで平坦な道のり
駅から物件まで坂道や階段が無い、平坦な道のりであれば駅徒歩20分でも歩きやすいです。区画整理や再開発が入ったエリアを中心に、お部屋探ししてみると良いです。

信号が少なく待ち時間が無い
信号が少ない、あっても待ち時間が短い場所なら、余計な時間をとられません。川沿いの遊歩道を通って駅まで行ける場所や、陸橋などで信号待ちがない街もおすすめです。

物件のそばにバス停がある
借りる予定の物件近くにバス停があれば、悪天候の日や体調不良の日でも駅に行きやすいです。お金はかかりますが、自分の調子に合わせて使い分けられるので、無理なく暮らせます。

駅の駐輪場に空きがある
駅の駐輪場に空きがあるか確認しておくと良いです。自転車で通う機会が無いとは言い切れません。専用駐輪場が無い場合は、近くに停められる場所はないか確認しておきましょう。

駅徒歩20分の物件を選ぶなら内見時に実際に歩くべき
駅徒歩20分の物件を選ぶなら、内見時に駅から物件までを実際に歩くべきです。思っていたよりしんどいと感じる可能性があるからです。

坂や階段がある場合は、通い続ければ慣れると思っていても後悔するケースが多いです。

実際の道のりを歩く時は、ついでに「買い物環境」「街灯の多さ」もチェックしておきましょう。住み心地に関わってくる大切なことです。

東京都の中古マンションと中古戸建ての売却価格単価比較


三菱UFJ不動産販売さんが面白い資料を出しておられました。分かりやすい資料なのでお借りしてこちらの資料5分か
マンションの場合駅から16分以上離れると1から5分の物件に対して約35%安い戸建てでは26%ほど取引価格が安くなります。

 東京都の中古マンション売却価格と駅からの距離の関係性東京都の中古戸建て住宅売却価格と駅からの距離の関係性

まとめ 

駅徒歩20分以上の物件の魅力はやはり価格が安いことが一番大きなメリットになると思います。土地の代金が安くなるとその分建物に費用をかけることができますし、建物にかけなくても、日々の生活に回せるお金も増やせますし、旅行や趣味などに回すこともできます。

しかし、物件が安くなるからと言って徒歩20分以上の物件を購入しても大丈夫なのでしょうか。

例外はありますが、駅徒歩20分は、閑静な住宅街ばかりで落ち着いて暮らせます。商業施設や飲食店などは、人が集まるところに出来る傾向にあるからです。閑静な住宅街を希望の方は駅徒歩20分は向いているかもしれません。
その他、駅徒歩20分の物件に向いている方はこんな方。
・歩き慣れてて体力があるなら駅徒歩20分はアリ
・実家では駅徒歩20分以上だった
・自転車やバスでの移動も視野に入れている
・閑静な住宅街が良い

歩き慣れてて体力があるなら、駅徒歩20分の物件に住んでも後悔しづらいです。むしろ、メリットが大きいので快適に暮らせます。ジョギングやジム通いで着替えを持ち歩いている人や、自転車やバス通勤でも平気な人にもおすすめです。


逆に体力が無い人や、利便性重視の人は駅徒歩10分以内でお部屋を探したほうが絶対に良いです。安いからと言って駅徒歩20分の物件を選んでしまうと後悔します
毎日徒歩20分歩けば慣れますよなど言われるかもしれませんが、雨の日などはつらいです。
自動車通勤や自転車があれば駅徒歩20分でも平気かもしれません。自転車なら約8分の距離なので楽になりますが、自転車の維持日、月額の駐輪場代を考えて、トータルコストが抑えられるかも考えましょう。

今回は「駅徒歩20分の物件」は得なのか? メリット・デメリットから解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。これらのことを参考にして頂ければ後悔をする可能性がかなり少なくなると思います。

 


参考ページ

駅からの距離|知っておきたい売却・査定相場比較|三菱UFJ不動産販売「住まい1」 (sumai1.com)

 

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著者情報

宅地建物取引士 刈田 知彰

      (かりた ともあき)

ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。

私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。

新築戸建てから中古戸建てのことならなんでもご相談ください!

 

著者情報 刈田知彰

 

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