2023.06.16
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スクラップ&ビルド社会について
更新日:2024年3月14日
「スクラップアンドビルド」という言葉をご存じでしょうか。
「スクラップアンドビルド」とは、古いものを全て取り除いてから新しいものを作り上げることを指す言葉です。この用語は主に建築や都市計画の分野で使われますが、他の分野でも同様の意味で使用されることがあります。
環境への負荷
スクラップアンドビルドは、既存の建物や構造物を撤去するため、大量の建築廃棄物が生じます。これにより、廃棄物の処理や埋め立て地の必要性が生じることがあります。また、新しい建物の建設には資源やエネルギーが必要であり、それに伴う環境への負荷も考慮する必要があります。
持続可能性への影響
スクラップアンドビルドのアプローチは、新しい建物やインフラストラクチャーの導入を通じて持続可能性を向上させる可能性がありますが、その逆に環境への負荷が増加する場合もあります。建物の省エネ性や再生可能エネルギーの利用、資源の循環利用など、持続可能性の観点から慎重な計画と設計が必要です。
マイホームを検討する際、まずは戸建てかマンションかを検討して、戸建てに決めた場合、次に新築戸建てを探される方が多いと思います。そのあと「高い」「立地条件が合わない」と中古戸建てを見始めた方が多いのではないでしょうか。
実はこの新築を優先する考え方は、日本人特有の考え方という事はご存じでしょうか。事実、日本の総務省の調査によると英国の滅失住宅の平均築後年数は「73.2年」アメリカ「55.9」と日本(日本の戸建てのサイクル年数は「38.2年」)に比べて諸外国は住宅が長持ちなのが分かります。つまり、中古物件を購入という考え方に当然になります。
(資料) 日 本:
日本は何故「スクラップアンドビルド」「新築至上主義」などと揶揄されますが、このように新築を優先するのでしょうか。
それは、戦後間もない頃に不足した住宅を補うため住宅の質ではなく住宅の量を優先した為、日本人にこの考え方が定着しました。
また、日本の住宅は欧米のような石の文化ではなく木の文化です。そして日本には四季があり、内部結露(住宅の劣化、腐敗はこの内部結露が要因の可能性が高い)や雨漏りが原因で木が腐ります。そして構造の劣化が始まっていき住宅の寿命を減らしていきます。このように寿命が早い日本の家は、古くなったら壊すものという考え方になっていったのだと思います。また、地震に洪水などの災害も多いことから家は壊れるものという考え方が正しく思えたのでしょう。
ですが、このまま新築住宅ばかり建て続けて良いのでしょうか。いえ日本は動き出しています。
従来の「つくっては壊す」スクラップ&ビルド型の社会から、「いいものを作って、きちんと手入れをして長く大切に使う」ストック活用型の社会への転換を目的として、長期にわたり住み続けられるための措置が講じられた優良な住宅(=長期優良住宅)を普及させるため、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が平成20年12月5日に成立し、平成21年6月4日に施行されました。
国土交通省ホームページhttp://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000006.html
政府もスクラップ&ビルドではなく、長くいいものを作って、きちんと手入れをして長く使う社会への転換を目指しており、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」を施行し新築住宅は取り入れていっています。
そして、スケルトン・インフィル住宅(スケルトン・インフィルじゅうたく)とは、建物のスケルトン(柱・梁・床等の構造躯体)とインフィル(住戸内の内装・設備等)とを分離した工法で
先に寿命(耐用年数)を迎えるインフィルとスケルトン(構造)部分を分けて考える考え方です。この考え方は長期優良住宅にも取り入れいれられています。
また、スケルトン(構造躯体)部分は日本に住むかぎり耐震性能を忘れてはいけませんし、もう一つ2025年から住宅の省エネ基準適合義務化が始まります。
2025年住宅の省エネ基準適合義務化|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)
併せて住宅の性能を検討する必要があります。
どうしても、長持ちし、なお且つ性能の良い建物は金額が高くなります。ですが、社会的意義もそうですが、結局は長持ちそして省エネになること先行投資は必要ですが、時間はかかりますがその先行投資は回収できます。そして、適切な断熱性能を行う事で、日々の生活のQOLもあがり、一石二鳥です。
新築では長期優良住宅や省エネ基準適合義務化に向けてスクラップ&ビルド社会からの脱却に向けて施策が進んでいます。
しかし中古の場合は少し遅れています。空き家問題とリノベーションについて|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)
空き家問題が起こるほど住宅のストックがある日本で既存の中古住宅に対しての施策は対して進んでいません。なぜなら、一から作れる建物よりも、誰が作ったか分からない中古住宅をリノベーションすることの方がはるかに難しいからです。リノベーションを行っている会社でも技術をもっている会社は少数になります。現在は耐震等級1以下の建物に対して耐震補助を行い1にするという工事は普通に行われるようになっていますが、それでは、欧米のような長持ちする建物にはすることができません。リノベーションを行う場合でも耐震等級3断熱等級5以上を目指して、構造計算と外皮計算を行いましょう。
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著者情報
宅地建物取引士 刈田 知彰
(かりた ともあき)
ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。
私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。
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