2023.03.22
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木造戸建てはリノベーションする価値があるのか?
最終更新日:2024/3/5
前回のコラム
東京23区で中古木造戸建てのメリット・デメリットとは?|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)
でも中古戸建てについて解説していますが、中古戸建てをリノベーションする理由とメリットとデメリットを更に深堀したいと思います。
木造戸建てのリノベーションは、古い建物を新しい住居に生まれ変わらせることができる、魅力的な手段です。材料費高騰が叫ばれている現在、既存の部材を活かせる木造の中古戸建てのリノベーションはとても魅力的な手段の一つです。
しかし、リノベーションにも大きな費用がかかるため、そのメリットとデメリットそして、かかる費用についてきちんと理解してから計画することが重要です。
エネルギー効率の向上
古い木造戸建ては、断熱材の劣化や窓の性能不足など、断熱効率が悪く、エネルギー効率が低いです。しかし、リノベーションを行うことで、断熱材の交換や窓の交換、太陽光パネルの設置など、エネルギー効率を向上させることができます。これにより、暖房・冷房費用の削減やCO2排出量の削減など、環境に優しい住まいとなります。
省エネ効果の向上
木造戸建てをリノベーションすることで、断熱材の改善や高効率な空調設備の導入など、省エネ効果を得ることができます。これにより、将来的に高齢化社会に向けての住宅需要や、エネルギー費用の削減に貢献することが期待されます。
生活の快適性の向上
古い木造戸建ては、間取りが複雑で、部屋に対して窓の位置や広さが不十分な場合があります。しかし、リノベーションを行うことで、間取りを変更したり、窓を大きくしたりすることで、明るく広々とした空間を作ることができます。また、断熱材の改修や換気システムの導入など、快適な室内環境を作ることもできます。
住宅価値の向上
リノベーションによって、木造戸建ての外観や内装を改善することができます。これにより、住宅価値が向上することが期待されます。将来的に、資産価値が高まることで、不動産投資としての価値が高まることが期待されます。
ライフスタイルの変化への適応
リノベーションによって、将来的な住まい方の変化に対応することができます。例えば、老後に備えた住まいや、ワーキングスペースを設けた住まいなど、将来的なライフスタイルの変化に合わせて住まいを改善することができます。
耐震性向上
木造戸建ての耐震性は、古い建物ほど低い傾向があります。リノベーションによって、耐震性を向上させることが必要です。例えば、柱や梁の補強や基礎の補強などを行うことで、地震に対する耐性を高めることができます。これにより、将来的に起こりうる地震に対する安全性が向上することが期待されます。
木造戸建てのリノベーションは、将来的なメリットもあります。たとえば、エネルギー効率の向上により、月々のランニングコストが削減されるため、家計の負担が軽減されます。また、性能向上リノベーションを行う事で、結露などが原因で発生するカビやダニを抑える効果があり、アレルギーの防止、ヒートショックによる心筋梗塞の防止に有効です。
また、耐震補強工事では、地震による被害も防止・軽減でき長寿命な建物になります。このようにリノベーションを行うことにより、将来的な不動産価値の下落の防止が期待できます。このように、リノベーションは資産価値の向上、投資としても魅力的な選択肢となります。
以上のように、木造戸建てのリノベーションには、エネルギー効率の向上や生活の快適性の向上、将来的な健康面や金銭面など、さまざまなメリットがあります。
しかし、リノベーションには費用がかかるため、計画を立てる際には、予算や希望するリノベーション内容などを考慮する必要があります。
木造戸建てをリノベーションするデメリットは
続いて木造戸建て住宅のデメリットですが、バックナンバーでも解説しておりますが、下記のようなことが懸念材料やデメリットとして考えられます。
違反物件の可能性がある
リノベーションを行う際には、建築法や環境基準などの法律に適合しているかを確認することが重要です。
よっぽど悪徳の不動産会社ではない限り説明があると思いますが、中古戸建ての場合、法に適合していない可能性があります。
法律に反して建てられた建物は基本的には違法建築物になります。また、中には当時は合法に建てられたが、今の法律に対しては適合しない既存不適格など、その内容も大きく変わってきます。また、道路との接道関係では再建築不可物件の可能性も考えらてるので注意が必要なのです。
また、法律に違反するリノベーション(違反増築など)を行うと、建物の安全性や価値が低下する可能性があります。
住宅ローンが利用しにくい
上記でもあげた違反建築物だった場合住宅ローンが利用できなかったり、利用しづらかったりします。
こちらに関しては下記で解説しております。
住宅ローンが組みづらい物件そしてその解決策を解説|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)
十分に検討して購入に進みましょう。
リノベーション内容を想定するのが難しい。
さらに、リノベーションにはリスクもあります。例えば、古い建物の解体による構造上の問題や、それにより、予想外の費用がかかることがあります。このようなリスクがないように、弊社では、性能向上リノベーション(耐震補強工事)を行う事で、そのリスクを管理しています。リノベーションを行う際には、信頼できる専門家のアドバイスを仰ぐことが大切です。
まずは下記をご覧ください。
築年数別おススメ性能向上リノベーション|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)
①(1981年以前)の建物 ➡旧耐震基準の建物
基本的にはすべてやり替える必要ありです。
基礎補強を検討する
構造体の再利用を検討
②(1981以降2000年以前)の建物 ➡81-00(ハチイチゼロゼロ)住宅 ※新耐震基準
外壁や屋根の状態が良い建物を利用して屋根や外壁の再利用を検討。
構造体の再利用を検討
③(2000年以降)の建物 ➡2000年基準の建物
主に断熱補強、方法として大きな間取り変更等が行わない場合はサッシの変更主体に安価なリノベーションが可能。
各年代に合わせた中古戸建て住宅のリノベーションは
ここでは、各年代に合わせたリノベーションすべきポイントについて解説します。
築10年の戸建て木造住宅
築10年の戸建て木造住宅の注意点についてお話したいと思います。築十年は実は一番リフォームしにくい住宅になります。なぜなら、まだ建物の価値があり、物件価格も建物の価格の割合が高くなります。つまり、リフォームを行う分余分に費用が発生してしまうからです。ただ、それに引き換え建物のダメージが見え隠れするのも築10年経った頃になります。つまり、リフォームをせずに修繕程度で納める必要があります。また、外壁の塗装が気になってくるのもこの頃になります。外塀の塗装は高額になりますので、そこをしっかりとチェックして状態を見極めながら検討しましょう。
築30年の戸建て木造住宅
築30年は81-00(ハチイチゼロゼロ)住宅※新耐震基準で建てられた建物になります。この基準はマンションでは現行基準と差が無いとされていますが、一戸建ての場合は違います。現行基準である2000年基準と大きく違う点は、金物補強と地盤調査(地盤改良)2024年には能登地震が起こり、そこでも取り上げられましたが、データがある熊本地震でお話すると、8割の木造住宅に被害が見られました。2000年基準でも4割の住宅に被害が見られました。このデータから2つ重要な事がわかります。新耐震基準では断続的に発生する地震には脆いということ、そして、2000年基準だとしても完全に地震の影響を防ぐことが出来ないという事です。
つまり、耐震補強工事を行う場合は耐震等級3上部構造評点1.5を基準として考えるとよいうでしょう。
築50年の戸建て木造住宅
築50年の木造戸建て住宅は基本的には内外部の性能向上リノベーションをおススメしています。まず一番重要な基礎をはじめほぼすべてを見直す必要があります。つまり、費用が高額になってしまいます。
また、最近は住宅ローンが違法建築物に対して厳しくなっています。あまりに古い建物は住宅ローンの利用がしにくいというデメリットも存在します。
木造戸建てのリノベーションには、既存の住宅を利用することから、環境に優しく快適な住まいを作ることができるメリットがあります。しかし、計画を立てる際には、ここまでで解説してきた、費用や法律に適合しているか、それによって生じるリスクを理解し対応する必要があります。信頼できる専門家のアドバイスを考慮する必要があります。リノベーションを通じて、理想の住まいを実現しましょう。
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著者情報
宅地建物取引士 刈田 知彰
(かりた ともあき)
ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。
私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。
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