2023.01.30
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相続登記が2024年に義務化されます。

更新日:2024年2月8日

 

相続登記が義務化されます。

いよいよ、今年2024年(令和6年)4月1日から相続登記が義務化されます。

相続時の住所変更・氏名変更時の不動産登記義務について解説していきたいと思います。

 

1.相続登記の義務化

 不動産などの所有者が亡くなると、相続が発生し、その財産は相続人に引き継がれることは皆さまご存じだと思います。

 その際、配偶者や子供などの相続人は、不動産や預金などの相続財産を誰がどのように取得するかを決め、遺産分割協議書を作成して、それぞれの財産の名義を変更する必要性が発生します。

 ただし、現在(2024年2月8日)は不動産の名義変更(相続登記)の申請は義務化されておらず、預金や保険金の手続きだけ済ませて、不動産の名義変更を行わないケースも多いようです。

 問題となるのが、相続登記をしないままにしておく場合です。本来の相続人が亡くなってから相続を繰り返すと、相続人が何十人もいる可能性が増えます。相続人が増えると、手続きを行っても協力してくれない人や所在不明の人がいて、遺産分割協議がまとまりにくくなります。その結果、不動産は放置されてしまうのです

 相続が繰り返されて放置された不動産は所有者が不明であるため、売却などの処分ができず、凍結状態となり、公共事業、復旧・復興事業、民間取引、空き家や不法投棄などの不動産活用に支障をきたしてしまいます。

 2008年の地籍調査によると、不動産登記簿上で所有者の所在が確認できないまま放置されている土地(所有者不明土地)の割合は国土の約2割で、その面積は九州地方を上回っています。その理由は、(1)相続登記がされていない土地、(2)所有者は特定できるが住所変更が不明(転居登記がされていない)な土地になります。

 都市部への移住、少子高齢化により、今後も地方を中心にこのような土地が増加することが予想され、大きな社会問題となっている現状がありました。そこで今回の義務化につながっているのです。

 

2.相続登記義務の具体的内容

 所有者不明問題を解決するために長年議論されてきましたが、「民法等の一部を改正する法律」と「相続等により取得した土地の所有権の国庫への帰属に関する法律」が2021年4月21日に成立しました(2021年4月28日に公布)。(2021年4月28日公布)。

 

 これらの法律は、所有者不明土地の発生を防止するための措置と、既に発生している所有者不明土地の利用を促進するための措置です。

 

 不動産の所有者に相続が発生した場合、相続人は相続の開始及び所有権の取得を知った日から3年以内に所有権移転登記を申請しなければなりません。この義務は、遺言や遺産分割で決められた相続人への相続登記や、遺産分割前の法定相続分による相続登記をすることで果たされます。

 また、上記の法定相続分による相続登記を行った後、遺産分割により法定相続分を超える所有権を取得することとなった相続人は、遺産分割の日から3年以内に所有権移転登記を申請なければなりません。

 正当な理由なくこの登記を申請しなかった場合、10万円以下の過料に処せられます。

 さらに、新たに創設された「相続人申告登記」も利用できるようになります。これは、期限内に遺産分割を行うことが困難な場合に、相続人が単独で登記簿上の所有者に相続が発生したこと、自身が相続人であることを申し出た相続人は申請義務を履行したものとみなされる制度です。

 このような申出を受けた法務局は、職権でその事実(報告内容)を登記します。登記申請よりも簡単な手続きですが、届出をした人がその後遺産分割によって所有権を取得した場合、遺産分割の日から3年以内に所有権移転登記を申請する必要があります。

 また、遺贈による所有権移転登記(相続人に対する遺贈に限る)や、過去に法定相続分での登記がなされていた場合、または遺言が発見された場合のその後の遺産分割の場合には、従来のように他の相続人と共同で申請する必要がなく、単独で申請できるようになりました。

 なお、相続登記を義務化するにあたり、申請時に必要な登録免許税の負担を軽減する予定です。なお相続登記の義務化の施工日は、令和6年4月1日です。

 

相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合の登録免許税の免税措置
 個人が相続(相続人に対する遺贈も含みます。)により土地の所有権を取得した場合において、当該個人が当該相続による当該土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときは、平成30年4月1日から令和7年(2025年)3月31日までの間に当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税を課さないこととされました。

税率及び適用期間
 本来、土地の価額に対して0.4%(1000分の4)の税率がかかるところ、平成30年4月1日から令和7年(2025年)3月31日までの間は、免税となります。

 

住所・氏名の変更登記の義務化

 相続登記ができずに所有者不明となる原因の一つに、所有者の住所(法人の場合は名称)・氏名に変更があった場合に、その変更が登記されておらず、登記後に所有者の新しい住所・氏名がわからないために所有者の所在が不明となることが挙げられます。

 

 改正法の施行により、住所・氏名等の変更登記についても義務化されることになりました。

 現在、売買等の所有権移転登記を申請する前提として、登記簿上の売主の住所や氏名に変更があった場合、変更登記をする必要がありますが、そのような変更がなければ、変更のたびに登記を申請する義務はありませんでしたが、今後は登記をする必要があります。変更登記が行われることになります。

 

変更登録の義務化の具体的内容

 不動産の所有者の住所(所在)や氏名(名称)に変更があった場合、所有者は2年以内に変更登記を申請する必要があります。

 また、登記申請時には、登記名義人が自然人の場合は生年月日などの検索用情報を、登記名義人が法人の場合は法人番号を登記事項として登録する必要があります。

相続登記の義務化と同様、正当な理由なく申請を行わなかった場合は5万円以下の過料となります。

 

 新たな措置として、登記名義人の住所(所在地)や氏名(名称)の変更を不動産登記に反映させる制度が創設される予定です。

 自然人の場合、登記官は提供された検索情報をもとに住民基本台帳ネットワークシステムに定期的に照会し、登記名義人の住所、氏名等の変更情報を取得し、登記名義人に変更登記を行うことを確認した上で登記を行います。法人の場合は、登記事項に法人番号を付加し、法人・商業登記システムから不動産登記システムに所在地・名称の変更情報を通知し、登記官が通知された情報に基づいて変更登記を行う。

 

3.その他(不動産所有権の記録証明制度の創設など)

相続登記、氏名・住所変更登記の義務化以外にも、様々な制度が新設・改正される予定です。

・登記名義人の死亡の公示

登記名義人から提供された検索用情報をもとに、住民基本台帳ネットワーク等への照会により登記名義人の死亡情報を入手した場合、登記官がその旨をコードで表示するものです。これにより、登記名義人が死亡しているか否かを確認することができます。

 

・所有不動産記録証明制度

 特定の個人や会社が登記名義人として所有している不動産の一覧を証明書として発行することができます。これにより、登記官は相続登記が必要な不動産を特定することができ、登記漏れを防ぐことができます。

 

・相続等により取得した土地の所有権を国庫に帰属させる制度

 不本意ながら相続等により取得した土地を利用する予定もないのに手放したいという相続人のために、その土地を国庫に帰属させる制度です。しかし、国庫に帰属させるためには、不動産であれば何でもよいというわけではなく、認可を受ける必要があります。

 崖のある土地や権利に争いなどがあり単独での処分が難しい土地など処分しにくい土地は承認されない可能性があります。

 審査料とは別に、土地の性質を考慮して定められた土地管理費の10年分相当額を徴収し、国への帰属を図るものです。これにより、将来、土地が管理されないまま放置されたり、所有者不明の土地が発生したりすることを防ぐことができます。

 その他、相続開始後10年を経過した場合に一律に遺産分割を行う制度の創設や、所在不明の共有者がいる場合に裁判所の関与のもと共有不動産の変更・管理・処分を行う制度など、所有者不明土地の利用を促進するための施策が盛り込まれています。土地に関する様々な見直しや仕組みが整備されます。

 

 不動産を相続すると所有者が変わるので、「名義変更(相続登記)」を行う必要が生じます。ところが、相続した不動産の名義変更をしないでそのまま過ごしてしまっている人は、意外と多いようです。では、不動産の名義変更を長期間行わないと、どのような問題が生じるのでしょうか。名義変更登記手続きの方法なども合わせて確認しましよう。

 

不動産の名義変更を長期間放置するとどうなるのか?

 不動産の名義変更はなぜ行われずに放置されてしまうのでしょうか。理由は大きく分けて2つあります。

 1つ目の理由は、不動産の名義変更のための不動産登記手続きは必ず行わなければならないという決まりがありません、つまり、行う義務がないことです。もちろん、罰則もありません。次に、期限もありません。つまり、基本的に、「名義変更をしなければならない」という連絡も通知もありませんし、「手続きの期限は〇月〇日です」とも言われないのです。そのため、気づいていても忘れてしまったり、名義変更が必要な事柄そのものに気づかず、放置されてしまうことがあります。

 

 では、不動産の所有者が亡くなり、本来であれば行うべき相続登記を行わずに長期間放置していた場合、どのような不都合が生じるのでしょうか。

 

 まず、相続登記をするためには、さまざまな書類が必要です。例えば、相続人全員の戸籍謄本や印鑑登録証明書などです。親名義の不動産を一人の子供が相続する場合、相続人である子供は自分の戸籍謄本などを取得すればよいので、簡単に用意することができます。

 

 ところが、祖父や曾祖父の名義から不動産の名義変更をしていなかった場合はどうなるのでしょうか。一世代、あるいはもう一世代さかのぼって、相続人となりうる人物を探さなければならないのです。相続人が判明したら、その全員の必要書類を集めなければなりませんが、全員が近くに住んでいるとは限りませんし、状況を理解しているとも限りません。遠くに住んでいる会ったこともない人に事情を説明し、公的な書類などを入手して送ってもらうのは、大変な労力を要します。

 

 また、遺産の分配は、必ずしも法定相続分通りに行われるとは限りません。遺言や相続人間の合意によって分配が変更されている場合は、相続登記の際に遺言書や遺産分割協議書も提出する必要があります。これらの書類が過去にない場合は、現在の相続人全員の合意で新たに遺産分割協議書を作成する必要があります(相続人全員の署名・押印が必要です)。

 

 このように相続した不動産の名義を変更しないままにしておくと、所有権を持つ人が分からなくなり、正確な状況を把握し、正しい形で登記するために大変な労力を要することになります。次世代に迷惑をかけないためにも、できるだけ早く相続登記を進める必要があるのです。

 

4.相続した不動産の名義を変更する方法

 相続した不動産の名義変更手続きは、ご自身で行うことも可能です。自分で行えば、費用を抑えることができます。しかし、状況によっては、登記の専門家の司法書士に依頼した方が良い場合もあります。依頼した方が良いケースは、主に以下の通りです。

 

1. 長期間登記をしないまま放置しており、権利関係が複雑になっている。

2. 遺産分割をめぐって争いになりそうな要因がある。

3.申請者が公的な手続きに不慣れである。

 

1.の場合、確認すべき内容や確認する相手が多岐にわたり、作成する書類も相当数にのぼることが多いようです。2.の場合、複数の相続人の間で遺産分割協議について見解の相違があるため、困難が伴います。相続人同士の争いになれば、司法書士ではなく、弁護士にも相談をする必要が発生します。

 

 一方、相続に争いがない場合や権利関係が明確な場合は、自分で名義変更手続きを行うと費用対効果が高いです。基本的には、以下の必要書類を用意し、相続登記を申請するだけです。

 

・必要書類

登記申請書

対象不動産の登記事項証明書

被相続人の住民票の除票(本籍の記載要)

被相続人の死亡時から出生時までの戸籍謄本

相続人全員の戸籍謄本

遺言や遺産分割協議書がある場合は該当するもの

相続人全員の印鑑証明書

対象不動産を取得する相続人の住民票

対象不動産の固定資産評価証明書

 

 上記の書類を法務局に提出し、申請します。申請時に登録免許税の納付が必要です。税額は不動産の評価額によって異なります。納付方法は収入印紙による納付や現金納付後の領収証書の貼付など方法も違ってきます。詳しくは法務局の窓口にご相談ください。

 

不動産の名義変更にかかる費用

 不動産の名義変更には、いくつかの費用がかかります。1つ目は、「登録免許税」です。これは、不動産の所有権を登記する際に納める国税で、「登記料」と呼ばれることもあります。登録免許税の金額は、不動産の固定資産税評価額に一定の税率を乗じて算出される。

 

 このほか、必要な書類を取得するための手数料も必要です。ほとんどは市区町村の役所で取得することになりますが、費用は市区町村によって異なる。目安としては、例えば、戸籍謄本、住民票、登記簿謄本(全部事項証明書)で1通300円や500円程度です。必要な書類も多いため、自分ですべて取得するのは大変な労力かもしれません。

 

 時間や体力に余裕がない場合は、専門の司法書士に依頼することになります。費用は、相続の案件の内容や事務所によって異なります。金額もかなり異なりますので、必要に応じてご確認ください。

 

まとめ

 相続登記が義務化されることにより、空き家問題などが解決に向かうなどプラス面もありますが、基本的には不必要な土地をどう処分するかなどの問題はこれからになると思います。相続登記が必要になる前から財産の相続をどうするか、不動産はどうするかを決めておくことは非常に重要です。また、現在すでに相続や空き家でお困りで、どう動いたらよいか分からない際は専門家へ一刻も早く相談する方が良いでしょう

東京都23区内や神戸市の相続物件でお困りの方がおられましたらお気軽にご相談ください。

 

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著者情報

宅地建物取引士 刈田 知彰

      (かりた ともあき)

ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。

私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。

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著者情報 刈田知彰

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