2023.04.19
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将来売れる家を買う。最適な住まいとは?

更新日:2024/3/8

住宅双六

 

はじめに

家(不動産)の購入は人生のイベントの中で大きなウエートを占めています。昔から一家の主や国や団体の中心人物を大黒柱と言ったりします。大黒柱とは伝統的な日本の建築物で軸となる木材になります。縁の下の力持ちなど、重要なことは家の部分を引用してことわざとして使用されることが沢山あります。それほど家は人生でも重要なものとなります。

 

現在、日本の一戸建ては4LDKを中心としたファミリータイプの間取りが割合を多く占めています。ファミリータイプの間取りになると部屋が4部屋あります。子育てを想定した間取りを念頭においているからです。家族の子どもの数は1.42人(2014年調査)とのことなので、大方の家庭が1人から2人になると思います。ということは1部屋から2部屋用意したいところだと思います。ですが、実際に子供部屋が必要な期間は、子供が小学校に上がった頃から高校を卒業もしくは大学を卒業する期間になると思いますので、12年から16年位になると思います。住宅ローンを組む年数が35年になりますし、実際に住む年数はそれ以上になると思います。ということは、実は子供がいない年数の方が実際には多いという現実が待ち受けているのです。このように、建物の必要な大きさ。部屋数は年代によってことなります。必要に応じて住み替えをしていくことを「住宅双六(すごろく)」などと表現されたりしますが、人生において住まい(住宅)の移り変わりを考えてみましょう。

 

一般的な住宅双六のスタート

就職、進学などの理由で賃貸に引っ越す所からスタートする方が多いと思います。

私はそうでしたが、単身者用のマンションに引っ越す所からスタートされる方が多いと思います。そして同棲や結婚など二人で暮らすために少し大きめの賃貸へ移ります。次のステップは収入の増加や出産で引っ越しを考えると思います。この位の大きさの賃貸になると家賃が勿体ないなどのマイホーム購入を意識される方が多くなると思います。実際に家を購入した方が支払いが安くなったりします。同じように周りもマイホームの検討を始めるので購入をするきっかけが多いタイミングとなるのです。

 

月日は流れます。マイホームを購入して、子育ても終わり、子供は独立していなくなりますが、そのまま住み続けると思います。更に年を重ねて介護が必要になり、高齢者向けの施設への入居が必要になってきます。最後は病院で息を引き取ることが多いと思います。そこで家は子供に相続することになると思いますが、多くの場合は持ち家は相続時に処分されることが多いと思います。

 

ここで「住宅双六」は上りになります。

一般的なライフスタイルの移り変わりになっていると思いますが、ライフスタイルと住宅のマッチ度は子供が独立したタイミングで非常にミスマッチになってしまっています。

 

 

一般的な住宅の想定

 

ファミリータイプは3LDK~4LDKが主流になります。LDKと夫婦の居室、子供部屋にわかれると思います。

6帖ぐらいの部屋と主寝室が少し広い7帖ぐらいが主流です。都心部だともう少し狭くなることも多いですが、、、

この6帖にも満たない部屋が後々問題となるのです。

まず部屋が必要な理由は子供に個室を与えたいという理由が多いと思います。兄弟だと気にしない方が多いと思いますが、兄妹や姉弟だった場合だと部屋をわけてあげたいという方は多いかもしれません。

子供が利用する時期には良いのですが、いざ子供が独立してしまった後は、空き部屋や倉庫となってしまいます。

 

ファミリータイプの間取りが多いのでこの問題を抱えているご家庭は多いのではないかと思います。新築時に将来リフォームが出来るように設計していれば、まだ利用用途を見出せるかもしれませんが、小分けされたスペースはそのまま、倉庫として利用されていくことが多いようです。中には子供が住んで時の状態そのままにしている家もあるみたいです。購入した住宅の構造が木造軸組工法なら自由度が高いですが、木造住宅でも2×4工法や軽量鉄骨などは間取り変更のリフォーム、リノベーションが不自由になります。

 

ファミリータイプの間取りは子供が独立することにより、現況に適切な家ではなくなってしまう可能性を秘めた家になります。

 

最適な住宅双六の進み方は?

対処法としては子育てが終わった夫婦二人が過ごすために最適な間取りの家への住み替えです。

ですが、シニア世代の住み替えは一般的ではありません。

 

その一つの要因が「帰省」という文化です。

お盆やお正月に子供たちが帰省する際に、子供たち家族が泊まるスペースが欲しいですし、日常生活やランニングコストを気にしなくていい、子供の立場としては暮らしていた実家がなくなるのは嫌だと思いますので、売却や住み替えには反対するケースもあると思います。もちろん介護に必要になって場合などで意見はかわると思います。

気持ちの面でも生活してきた思い出などを考えると買い替えや引っ越しを見送る理由となるのだと思います。

 

もう一つの要因は「お金」です。

初めて家を購入する1次取得層は年齢も若いので35年という長期間の住宅ローンを利用することが出来ますが、シニア層は住宅ローンを組むことができない可能でも期間は短く(完済時年齢が79歳以下)それほど多くの金額を借りることが出来ないことが理由として多いと思います。当時購入した金額とあまり変わらない金額で購入ができれば住み替えの選択肢も広がるのですが、売却しようとした時には二束三文といった状態では住み替えのための資金を準備することができません。

移住を考えるとどうしても今の住環境よりグレードダウンしてしまうイメージがつきまとい、住み替えのハードルになっていると思われます。

 

場合によっては実家の維持=幸せな老後はならないことも考えられます。

例えば実家が関西で子供が関東に住んでいると想定します。

親が元気なうちは、世間一般的な実家として利用できるでしょう。

しかし、親が体調を崩し介護が必要になったと考えると、親と子供の距離が離れているため高齢者施設に頼るしか方法がなくなってしまいます。

親の介護が必要になるころには子供も家を購入しているかもしれません。

そこには親を迎える準備があるかもしれませんし、ないかもしれません。

 

多くの方は病院や介護施設で亡くなられると思います。

高齢になると体力もおちるので、亡くなられる前は施設や病院で生活を送ることになると思います。

 

つまり、最後はマイホームでの生活を考えるよりも介護費用を捻出する必要があります。よく考えると自分を育ててくれた親といえども介護はかなり大変になります。その為、帰省の場所を守ることよりも先に介護費用捻出を話し合い計画している方が親目線でも子供目線でも良いのが現実です。もちろんお亡くなりになられるまでギリギリまで元気で健康でいたい、いて欲しいと希望や思い、があると思うし、施設に入る準備をしようというのは、一般的には言いにくい話になると思いますので、気持ちの面と合理的な意見には隔たりが発生すると思います。

もしかしたら、介護の充実した施設で生活を送る方が長生きできる、長生きしてもらえる可能性が高まりますし、実家を性能向上リノベーションしていない場合築年数が経過している家だと、ヒートショックやアレルギーが起こる可能性も高いと思います。

マイホームが人生の足かせになり、幸せな老後の邪魔をしてしまう可能性もあるのです。

 

まとめ

ここまでの問題を一度整理してみましょう。

・子供が独立すると無駄なスペースが発生する。

・高齢者施設への入居費用を貯蓄しておく必要がある。

・高齢者施設の費用が不足した場合でも、子供が勝手に家を売却することができないので、不足分を子供が負担する可能性がある。

・人生の終盤に誰も住まない時期が発生する

家は人が住まいないと劣化が早くなります。日常のメンテナンス(水を流す、換気など、掃除)簡単なことを含む。

・相続時に売却が難しくなる。

これにも理由があります。一つ目買いたたかれる可能性があります。早く処分をしようと思うと価格交渉できません。2つ目前述で出てきた建物の劣化が関係します。家をあけると草も伸び放題になり、古さが際立ってしまいます。そして1つ目につながります。

3つ目売却の意思決定がしにくい、できない場合がある。所有者は当たり前ですが親になります。また、相続した場合でも、相続者が複数人いる場合は話がまとまりづらいのです。

親も子供や孫世代に迷惑をかけたくはないと思いますので、新しい住宅の有効な利用方法を知っておく必要があります。

 

社会人になって独立し単身者用の賃貸へ

 

結婚して夫婦で生活できる賃貸へ

 

子供が生まれて、ファミリータイプの家を購入

 

子供が独立すると再び夫婦二人の生活へ

この頃から自宅の資金化、住み替え、リフォームを検討

 

定年退職を迎えた際には子供の近くへの住み替えなども検討

介護が必要になり、高齢者施設や病院へ

親族が近くに住んでいない場合は特にですが、遅くとも高齢者施設への入居までに自宅を処分して入居費に充てます。

 

売却をしていない場合マイホームは親世代、息を引き取り、子供の代へ相続されます。

 

重要なことは家を買って終わりではダメだという事です。

購入する際は終の棲家として購入されていると思いますが、実を考えると、売却を後回しにすると損をする可能性がでてまいります。

 

また、現在の建物の多くは耐震や断熱、メンテナンスの問題を抱えた家が多いのです。新築住宅でも耐震等級1の家も少なくはありません。将来家を相続するという考えを中心で考えた場合でも売却を考えた場合でも、性能向上リフォームを検討する必要があります。

早めの決断で売却を検討することも重要ですが、

将来的も住める家が結局売却時に売れる家となり購入した家をより有効に利用することにつながるのです。

 

建物もそうですが、街のインフラ整備も重要です。道路やトンネル、橋、電気、ガス、水道などの建築物は経年劣化するので、当然ながら修繕工事が将来必要になります。修繕工事を行わないと街がどんどん古くなり街の資産価値が下がります。街の価値が下がると建物の価値が下がっていなくても土地の価値が下がるので物件としての価値が下がります。

極端なはなし街で沢山の建物があり、人が沢山利用する道と、山の奥に一軒だけあり一人当たりにかかるコストが大きく違います。

インフラの整備はコロナの影響や地方自治体の財政が厳しい昨今、修繕の対策がとれていないインフラは数多く存在します。つまり、優先順位をつける必要性がでてきます。どのように優先順位をつけるかは知りませんが、人口や利用量が多いところから修繕していくことになると思います。このことはインフラだけに拘らず街の景観にも関係します。将来的に価値のある街を選ぶ必要があります。簡単に見分けることができるのが主要ターミナル駅へのアクセスです。

近年ではリモートワークが主流になりつつありますが、現在の表面上の価格で購入を決めると将来的には売れない家を購入してしまう恐れがあることを自覚しましょう。

 

購入をお考えの方は20代から30代が多いとおもいますので、子供が巣立ったあとの将来的なイメージをしにくいと思いますが、これから家を検討する場合は終の棲家探しではなく、将来売れる家を想定して購入を検討することが現代のマイホームの購入の仕方になります。

 

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著者情報

宅地建物取引士 刈田 知彰

      (かりた ともあき)

ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。

私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。

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著者情報 刈田知彰

 

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