更新日2024/1/15
地盤沈下とは、特定の地層が圧縮されることによって、文字通り地面が沈む現象のことです。地盤沈下には、2つのタイプがあります。「広域での地盤沈下」と「局所的な地盤沈下」です。
広域地盤沈下
広域な地盤沈下の原因としては、地震などの地殻変動による自然現象と、大量の地下水のくみ上げや鉱物・天然ガスの採掘などの人為的な要因があります。地盤沈下は、環境基本法における典型7大公害のひとつに挙げられています。
典型7公害とは?
(1)大気汚染
人間の健康や生活環境、動植物に悪影響を与える汚染物質により大気が汚染されること。
汚染物質には硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、光化学オキシダント、アスベスト等が該当します。
(2)水質汚濁
有機物や汚染物質が公共用水域に排出されることで水質が汚濁すること。
工場排水、生活排水、農業排水により水質が汚染されることがあります。
(3)土壌汚染
土壌中に重金属、有機溶剤、農業等の物質が、人の健康へ影響を及ぼす程度に含まれている状態にあること。
原因としては、有害物質を含む液体を地下に浸み込ませてしまったりすることなどがあります。
(4)騒音
多くの人から好ましくないと意識される音で、事業活動その他、人の活動に伴って健康や生活環境に係る被害を生ずるもの。
(5)振動
事業活動その他、人の活動に伴って健康や生活環境に係る被害を生じさせ、感覚的被害とともに建物のひび割れ等物的被害が生じることもあります。
(6)地盤沈下
地表面が沈下すること。
原因としては、地下水・天然ガスの採取などがあります。
(7)悪臭
不快と感じる「におい」のこと。
悪臭は感覚公害とも言われており、ある人にとって好ましいと感じる「におい」であっても、他の人にとっては悪臭と感じることがあります。
自然現象による地盤沈下は、2011年の東北地方太平洋沖地震で、岩手県、宮城県、福島県の太平洋沿岸で広範囲な地盤沈下が発生しています。
地下水の過剰揚水による地盤沈下は、上下の粘土層から地下水層へ水が移動し、粘土層が収縮するメカニズムです。
地盤沈下を防ぐため、地下水のくみ上げには地下水採取書の提出が義務付けられており、法律や条例によるくみ上げ規制も一定の効果を上げてきました。しかし、行政指導のもとで節水を続けた結果、地下水位が上昇し、地下室が浮くなどの問題も生じています。
広域的な地盤沈下を測定する手段のひとつに「水準点」があります。水準点は公共事業の測量に使われるものだが、地盤沈下の定期的な観測の基準としても使われています。水準点は、地盤沈下が継続しているのか、それとも沈下しているのかを測定するために使用することができます。
日本全国の地盤沈下の可能性のある地域や地下水の情報は、環境省が各都道府県の協力を得て「全国地盤環境情報ディレクトリ」として公開しています。これから購入する土地がある地域に地盤沈下の恐れがあるかどうかを知ることは重要です。
局部的な地盤沈下
局地的な地盤沈下の原因としては、近隣の工事による影響や盛土や埋戻し土による圧密沈下が挙げられます。局地的な沈下は一部だけ傾きを起こすケースが多く、不均等な地盤沈下の状態のことを「不同沈下」と呼びます。
不同沈下の要因がある土地に対策をせずに建物を建てると、数年以内に地盤が沈下する可能性がありますし、建築直後に沈下するということもあります。建物が傾いてしまう不同沈下は、「局地的な沈下」に多く見受けられます。
1.軟弱地盤に盛土をした場合
例えば、軟弱地盤の上に盛土をすると、盛土の重みで軟弱地盤が空気や水分を失い、盛土の下の軟弱地盤が沈下していきます。また、盛土自体も時間の経過とともに収縮します。また、建物の重さも盛土に加わります。特に、腐葉土が分布する軟弱地盤の上に盛土をした地盤は、沈下しやすい傾向があります。
2.切り土や盛り土をした土地に建物を建てる場合
山や丘を宅地開発する場合、山の一部を切り崩した土を盛り土として再利用し、傾斜部分を整地する。切土と盛土の境界をまたいで住宅を建てると、地盤の硬さの違いから新しい盛土側が沈下しやすくなる傾向があります。
また、雨水によって盛土側の土が圧縮されて地盤が下がり、家が傾くこともあります。
中古戸建て購入×性能向上リノベーションを行う際に注意が必要なのが地盤に問題がある場合です。
想像してみてください、地盤の改良を行う場合図のような方法で地盤改良を行います。
既に建っている家を破壊することなく、地盤改良を行う事は技術的にも難しく、費用もかかります。
地盤改良はできるかできないかで言えばできますが、費用を考えると現実的には新しく建て替えを検討した方がよいのが現実です。
中古住宅の場合は築年数の分だけ家を建ててからの地盤の経過を見ることができますので、現在の状況をチェックして地盤が悪そうな場合そして過去に地盤沈下や液状化現象を過去に起こしたことのある土地は、できるだけ避けた方が良いでしょう。
下記の内容に照らし合わせて検討しましょう。
・川、池、沼が近い
・以前田んぼだった
・盛土
・過去の地盤調査データがある場合は参考にする
地盤調査と地盤改良の重要性 ~安全な住まいを守るために~|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)
・現在の建物に傾きや地盤が原因だと思われるひび割れがないか
・地盤が原因だと思われるクラックなどが周りのコンクリートや外構などに表れていないか
これらをチェックし地盤に不安がないかを確認しましょう。
すでに建物が建ってから相当年経過している実績も加味して、現在建っている建物よりも重い建物にならないように設計することが重要です。
今回は地盤沈下について、解説してきましたが、新築でも中古住宅でも購入した物件が地盤沈下してしまうなんてことは避けたいことです。ここまで、地盤沈下が起こりにくい物件についても解説しておりますので、是非参考にしてください。但し、地盤補強が行われている物件は2000年を基準の大幅に増えています。それは2000年に建築基準法および「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」が改正され、住宅の土台となる極めて重要な基礎を「布基礎」や「ベタ基礎」など地盤に最適な形状とすることで長期的に安心な建物を作ることとしました。そのため、地面にどれだけの重みを支えられる力があるのかを示す「地耐力」を調べる地盤調査(地耐力調査)が事実上必須になったからです。それ以前の建物については、建物の耐震性能が足りていないケースが多くみられます。熊本地震や能登地震を教訓に耐震補強工事を行うことも合わせて検討する必要があります。
おススメコラムはコチラ
元々どんな土地だったの?実は調べられます。|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)
地目とは?|お役立ちコラム|東京中古一戸建てナビ (chukokodate.com)
著者情報
宅地建物取引士 刈田 知彰
(かりた ともあき)
ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。
私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。
新築戸建てから中古戸建てのことならなんでもご相談ください!