
目次
1. 内覧前の準備と持ち物
中古一戸建ての内覧は、「住むかもしれない家を見に行く」のではなく「数千万円の買い物の品定めをする」という意識で臨むことが大切です。新築と違い、中古住宅は一つとして同じ状態のものはありません。
内覧時に持っていくべきものは以下の通りです。
- メジャー(5m以上):部屋の寸法・廊下幅・窓の高さを測定
- スマートフォン:写真撮影(必ず売主の許可を取る)・方位確認
- 懐中電灯:床下・天井裏・暗い場所の確認
- ビー玉またはゴルフボール:床の傾きチェック
- チェックリスト(この記事をプリント):見落とし防止
- 筆記用具:気になった点のメモ
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2. 外回りチェック(10項目)
チェック1:基礎のひび割れ
建物の基礎(コンクリート部分)に幅0.5mm以上のひび割れがないか確認。横方向のひび割れは特に注意が必要で、構造的な問題を示している可能性があります。ヘアクラック(幅0.3mm未満の細いひび)は経年劣化で一般的ですが、記録しておきましょう。
チェック2:外壁の状態
外壁のひび割れ・塗装の剥がれ・チョーキング(手で触ると白い粉がつく現象)を確認。チョーキングが発生していたら、外壁塗装の時期が来ているサインです。塗り替え費用は80〜150万円が目安です。
チェック3:屋根の状態
目視で確認できる範囲で、瓦のズレ・割れ、棟板金の浮き、コケの発生をチェック。詳細は専門業者のドローン調査が必要ですが、明らかな異常がないかを確認します。
チェック4:雨樋(あまどい)の状態
雨樋のたわみ・外れ・破損がないか確認。雨樋が機能していないと、外壁や基礎に雨水が直接当たり、建物の劣化を早めます。
チェック5:軒裏・破風板(はふいた)
軒裏に雨染み・剥がれ・穴がないか確認。穴がある場合、小動物や害虫の侵入経路になっている可能性があります。
チェック6:境界・敷地の確認
境界標(きょうかいひょう)の有無を確認。境界が曖昧な場合、将来の隣人トラブルの原因になります。ブロック塀の越境(えっきょう)、樹木の越境もチェックポイントです。
チェック7:駐車スペース
車のサイズと駐車スペースの寸法を確認。間口の幅・奥行き・前面道路の幅で出し入れのしやすさが決まります。高さ制限のあるカーポートの場合、車高もチェック。
チェック8:庭・外構の状態
擁壁(ようへき)のひび割れ・傾き、地面の陥没、排水状況を確認。擁壁に問題がある場合は補修費用が数百万円になることもあるので、慎重に確認してください。
チェック9:日当たり・風通し
午前・午後で日当たりが変わるため、可能であれば時間帯を変えて2回内覧するのがベスト。隣の建物との距離、南側に高い建物がないかも確認します。
チェック10:通気口・床下換気口
基礎部分の通気口が塞がれていないか確認。通気口が塞がっていると、床下に湿気がたまりシロアリやカビの原因になります。
3. 室内チェック:構造・躯体(5項目)
チェック11:床の傾き
ビー玉を床に置いて転がるか確認。6/1000以上の傾き(1mで6mm以上)は構造的な問題の可能性があります。全ての部屋でチェックし、特定の方向に傾いている場合は地盤沈下(不同沈下)を疑います。
チェック12:壁・天井のひび割れ
壁や天井に斜めに走るひび割れがないか確認。斜めのひび割れは構造的な歪みを示している場合があります。窓やドアの角から伸びるひび割れは特に注意。
チェック13:建具の開閉
全てのドア・窓・引き戸を実際に開け閉めしてください。スムーズに動かない場合、建物の歪みが原因かもしれません。1箇所だけなら建具の問題ですが、複数箇所で問題がある場合は構造的な歪みを疑います。
チェック14:天井裏(可能なら)
点検口があれば天井裏を懐中電灯で確認。雨漏りの痕跡(水染み)、断熱材の状態、配線の状態をチェック。カビの臭いがする場合は漏水の可能性があります。
チェック15:床下(可能なら)
点検口があれば床下を確認。湿気の状態、シロアリの蟻道(ぎどう:土でできたトンネル状の通り道)、配管の水漏れをチェック。床下が湿っている場合は防湿対策が必要です。
4. 室内チェック:水回り(5項目)
チェック16:キッチンの状態
蛇口の水漏れ、排水の流れ、換気扇の動作、コンロの状態を確認。シンク下を開けて配管の水漏れ・カビがないかもチェック。キッチン交換は50〜150万円が目安です。
チェック17:浴室の状態
タイルのひび割れ・目地の劣化・カビの状態、排水の流れ、換気扇の動作を確認。浴室の壁や床を押してブカブカする場合は下地の腐食が疑われます。ユニットバス交換は60〜120万円が目安です。
チェック18:トイレの状態
水の流れ・止水状態、便器と床の接合部の水漏れ、換気扇の動作を確認。便器周りの床が柔らかい場合、長期的な水漏れで下地が傷んでいる可能性があります。
チェック19:洗面台の状態
蛇口の水漏れ、排水の流れ、鏡・収納の状態を確認。洗面台下の配管もチェックしてください。
チェック20:給湯器の型番・年式
給湯器の製造年を確認してください。一般的に給湯器の寿命は10〜15年。製造から10年以上経っている場合、近い将来の交換が必要です。交換費用は15〜40万円(エコキュートは40〜70万円)。
???? 施工現場からのアドバイス
内覧で最も見落とされやすいのが「匂い」です。人は匂いにすぐ慣れてしまうため、玄関を開けた瞬間の第一印象を大切にしてください。カビ臭・下水臭・動物臭がする場合、表面的なリフォームでは解消できない問題が潜んでいることがあります。
また、「雨の日にもう一度見に行く」ことを強くおすすめします。晴れの日には分からない雨漏り・湿気・水はけの悪さ・前面道路の冠水状況などが一目瞭然になります。私の経験では、晴れの日の内覧で「完璧」に見えた物件が、雨の日に再訪したら天井から雨染みが出ていたというケースが年に数件あります。
5. 室内チェック:内装・設備(5項目)
チェック21:壁紙・クロスの状態
壁紙の剥がれ・変色・カビを確認。壁紙の張替えは比較的安価(6畳で3〜5万円)なので、壁紙自体の汚れより「壁紙の下にカビがないか」が重要です。
チェック22:床材の状態
フローリングの傷・きしみ・浮き、畳の状態を確認。床を歩いてきしみがある場合、下地の劣化やシロアリ被害の可能性があります。
チェック23:収納スペース
クローゼット・押入れ・靴箱の中を必ず確認。奥にカビが発生していないか、湿気がこもっていないか、十分な収納量があるかをチェック。
チェック24:電気設備
コンセントの数と位置、分電盤のアンペア数(30A以下だと現代の生活には不足)、エアコンの設置状態と年式を確認。築古物件では電気容量が不足していることが多いです。
チェック25:窓・サッシの状態
全ての窓を開閉し、隙間風・結露の痕跡がないか確認。サッシのゴムパッキンの劣化、ペアガラスかシングルガラスかもチェック。断熱性能に大きく影響します。
6. 周辺環境チェック(5項目)
チェック26:前面道路の幅と交通量
前面道路の幅員(ふくいん)が4m未満の場合、セットバック(道路の中心から2m後退)が必要になる可能性があります。また、通学路や抜け道になっている場合、交通量が多いこともあります。
チェック27:騒音・振動
近くに幹線道路・線路・工場がないか確認。平日と休日、昼と夜で騒音レベルが変わることがあるので、できれば異なる時間帯にも確認を。
チェック28:近隣の建築予定
周辺に空き地・駐車場がある場合、将来マンション等が建設され日当たりが変わる可能性があります。用途地域(ようとちいき)と建ぺい率・容積率を確認すれば、隣にどの程度の建物が建つ可能性があるか分かります。
チェック29:ハザードマップの確認
内覧に行く前に、ハザードマップで洪水・土砂災害・地震のリスクを確認しておきましょう。国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」で住所を入力するだけで確認できます。
チェック30:生活利便施設
最寄り駅・バス停・スーパー・コンビニ・病院・学校までの実際の距離と所要時間を確認。不動産情報の「徒歩○分」は80m=1分で計算された平面距離なので、坂道がある場合は実際にはもっとかかります。
7. 売主・不動産会社に聞くべき質問
- 売却理由は何ですか?(近隣トラブルや欠陥が理由でないか確認)
- 過去にどのような修繕・リフォームを行いましたか?
- 雨漏り・シロアリ被害・水漏れの履歴はありますか?
- 過去に水害や地震による被害はありましたか?
- 近隣とのトラブルや申し合わせ事項はありますか?
- 設備の不具合で知っていることはありますか?
- 固定資産税・都市計画税の年額はいくらですか?
8. 内覧時のNG行動・注意点
- 許可なく写真を撮らない(必ず売主に確認を取る)
- 子供だけで自由に歩き回らせない(破損リスク)
- 大きな声で欠点を指摘しない(売主の前でマイナス発言は避ける)
- その場で即決しない(最低1回は再内覧するのがベスト)
- 感覚だけで判断しない(必ず客観的なチェックリストに基づいて確認)
9. まとめ
- 内覧前にメジャー・懐中電灯・ビー玉を準備する
- 外回り10項目:基礎・外壁・屋根・境界・日当たりを重点チェック
- 室内15項目:床の傾き・水回り・設備年式・匂いを見逃さない
- 周辺環境5項目:道路幅・騒音・ハザードマップ・生活利便性
- 雨の日の再内覧がプロのおすすめ
- 不明点は必ず売主・不動産会社に質問する
宅地建物取引士 刈田 知彰(かりた ともあき)
中古住宅売買の専門家。不動産業界16年のキャリアを持ち、新築マンション販売から中古戸建て・リノベーション専門へ転向。「買ってからがスタート」をモットーに、構造・耐震・断熱など建物の本質を見極めた住まい選びをサポートしています。
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