更新日:2023/12/25
物件をお探しの際、お客様から「良い土地があれば紹介してほしい」とよく言われます。
ご希望条件をお伺いすると、いくつかの条件が挙がることが多いのですが、必ずと言っていいほど挙がるのが「角地」です。しかも、南東角地、南西角地、南向きの角地が優先される割合が多いです。
角地は日照範囲が広く、道路幅員によっては建ぺい率が緩和されるなど、建築計画上有利な面もありますが、デメリットもあります。
角地のメリット・デメリットを理解した上で、物件探しをしていただきたいと思いましたので今回は角地について解説していきたいと思います。
角地のメリットとしてまず挙げられるのは、角地の建ぺい率緩和です。
建築基準法第53条第3項第2号では、次のように定められています。
街区の角地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものに所在する建築物であること。
この条件を満たした場合、建ぺい率は10%増加します。
街区の角地またはこれに準ずる敷地が特定行政庁の指定を受けていること。
〇敷地が角地である。
〇敷地は角地ではないが、2辺に道路がある。
〇片側が道路だが、隣が公園である。
〇角地緩和の要件を満たさない道路を挟んだ向かい側に公園がある。
その他、正確に角地緩和が適応になる条件は建ぺい率は自治体によって指定されていますので、自治体にご確認ください。
次に多い理由としては
〇南側角地の開放的で日当たりの良い土地
開放感や日当たりの良さは言わずとも伝わると思いますが、角地は良いです。
〇転売する際に売りやすい
角地は欲しい人が多いので、転売の際にも売りやすい。というのも事実です。
〇2面道路のため、間取りの自由度が高い
間取りの自由度の高さに驚かれるかもしれません。少し詳しく説明します。
2面道路なので、間取りの自由度は高いです。
家を計画する際、日当たりや風通し、眺望なども間取りを考える要素になります。
建築基準法では、居室(リビング、キッチン、ダイニング、寝室、書斎など)には、採光が効果的にできる窓を設けることが義務づけられています。
窓などの開口部の面積は、居室の床面積の1/7以上であることが必要です。
窓があればいいというわけではなく、効果的な採光を可能にする窓が必要です。
下図のように、隣地境界線からの距離と、窓の真上の建物の上端から窓の中心までの距離の関係によって、開口部の面積全体が「有効採光」と認められるか、認められない場合は窓の面積が小さくなり、最悪の場合は窓があっても有効採光と認められない可能性があります。最悪の場合、窓があっても「有効な採光」とみなされない可能性がある。
床面積の1/7以上が有効採光でなければ、居室とはみなされず、「押入れ」として扱われます。
実際には「押入れ」扱いでも居室として使えるのですが、極端な話、全ての居室に有効採光を確保することはできず、結果として全ての居室が押入れという奇妙な住宅構造になってしまうのです。
このような建物は「住宅」と呼べるかどうか疑問であり、建築確認申請として受理されない可能性残ります。
隣地境界ではなく道路境界であれば、住宅の場合、有効な採光がとれないということはなく、道路境界線に極めて近いところに建物を建てることが可能になります。
このように、二面が道路である角地の場合、有効採光の面で制約がないため、プランニングの自由度が高まります。
プランニングの自由度という点では、角地のメリットはもうひとつあります。
車庫や駐車場の位置に制約がないため、プランニングのしやすさがまったく違うのです。特に北側道路では、駐車場をどう組み込むか計画するのが難しいですが、角地であれば比較的計画しやすいと言えます。
角地は良い事ばかりではありません。
角地は道路との距離が長いため、いろいろと不便な面もあります。
〇フェンスや外構工事など多岐に渡るため、工事費が高くなる。
〇道路の種類によっては、交通事故や騒音など生活に支障が出る可能性がある。
〇敷地面積によっては、使い勝手が悪くなる場合がある。
これらはデメリットです。
隣地との境界は、フェンスや目隠し用の樹木、塀などを必要としない場合もありますが、道路に面した部分でアプローチ以外は閉鎖的にしておくことが必要です。
しかも、隣家の視線が気になるため、あまりお粗末な整備はできません。ある程度の年数が経てば、メンテナンスも必要になってきます。外構は意外とお金がかかるものです。
また、道路が2面あるため、道路状況が変わる確率は2倍になり、交通量の増加や危険性は購入時には予想できないことです。
また、敷地の角には電柱が立っていることが多く、下地の電柱が邪魔になり、車が敷地内に入れなくなることもあります。
角地が必ずしも良いというわけではございません。もちろん相場の面でも角地は土地の価格が高くなります。また築年数が古い建物の角地も気を付けなければなりません。
過去に実際にあった事例ですがセットバック問題がありました。一目では角地ではなく通路が隣にあるという状況の物件(建物)でした。調べてみたところその通路は建築基準法上の道路であり再建築の際はセットバックが必要になり、建物面積が非常に小さくなってしまうというものでした。そもそもそのエリアでは物件が販売されることも稀ですし、お値段的にも非常にお買い得な物件でした。この物件の解決策は新築そっくりに行った性能向上リノベーションでした。
このように自分の希望に合ったエリアで希望の建物に住むことが出来ました。
・さいごに
今回は角地に関して実際の例も踏まえて解説させて頂きました。角地のメリット・デメリットを理解して自分にあった物件を購入しましょう。
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著者情報
宅地建物取引士 刈田 知彰
(かりた ともあき)
ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。
私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。
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