2022.10.19
不動産ガイド 型式適合認定

型式適合認定をご存じでしょうか。

2023/11/24

 

型式適合認定とは?

 

 

はじめに

 皆様は型式適合認定をご存じでしょうか。東京で中古住宅を購入してリフォームをご希望の方は特に型式適合認定を知らないで購入すると大変な事になります

 中古住宅の購入を成功させるためには必ず型式適合認定をおさえておく必要があります。そもそも、型式適合認定とは何か、そして、どんなデメリットがあるのか、なぜ存在するのかなどを詳しく解説していきたいと思います。

 

 

型式適合認定とは?

 

(型式適合認定)
第六十八条の十 

国土交通大臣は、申請により、建築材料又は主要構造部、建築設備その他の建築物の部分で、政令で定めるものの型式が、前三章の規定又はこれに基づく命令の規定(第六十八条の二十五第一項の構造方法等の認定の内容を含む。)のうち当該建築材料又は建築物の部分の構造上の基準その他の技術的基準に関する政令で定める一連の規定に適合するものであることの認定(以下「型式適合認定」という。)を行うことができる。

 

 型式適合認定とは、簡単に言ってしまうと国土交通大臣から許可を取っているので、「許可に合った家(部分)ならば(その家は審査や調査の対象にしない)」許可をもらえてしまうのが、型式適合認定となります。型式認定(工法)などとも言われています。型式適合認定では、同一の型式で量産される建築設備や、標準的な仕様書で建設される住宅などの型式について、一定の建築基準に適合していることをあらかじめ、認定されるのです。
 当然の話ですが、我が国で、建物を建築する際、建築基準法で定められた一定の審査を受ける必要があります。型式適合認定を受けていれば、個々の建築確認時の審査が簡略することができるのです。詳しく解説していきます。

 

型式適合認定ではない住宅との違い

 住宅を建築する際、通常は、設計者が個々の建物構造の安全性を検討したうえで、建築基準法に基づく建築確認申請を行います。同じような建物プランであったとしても、都度、検討して建築確認申請をして、確認検査機関による確認を受けなければなりません。

 これに対して、型式適合認定の工法の住宅の場合、構造やその他の基準について認定を受けているため、この点における確認が簡略化されます。いろいろな建物プランであっても、 建築確認の申請や検査を簡素化できるのです。

このように型式適合認定を取得して、簡素化できることが、ハウスメーカーのメリットの1つと言えます。

建築設備にも型式適合認定がある

 今回のコラムの型式適合認定といえば、住宅の構造に関わる工法に対しての内容となっておりますが、実は、エレベーター、浄化槽、防火設備、換気設備なども型式適合認定を得ることができます。

大手ハウスメーカーの家は型式適合認定が多い

 なぜ、ハウスメーカーのメリットとなるのでしょうか。大手ハウスメーカーは、型式適合認定を受けている住宅が非常に多くなります。逆に、小さな工務店の全てや中規模の住宅メーカーのほとんどは、この認定を受けていません。この認定を受ける手続きが大変だという面もありますが、中小の会社には建築確認申請を簡略化するスケールメリットがそこまでないことも理由と言えます。大手と中小では、年間で扱う建物の数が大きく異なるからです。型式適合認定を受ける方が確認申請の簡略化よりもコストを考えると難しい判断となります。また、型式適合認定のデメリットを考えると

但し、大手ハウスメーカーでも全ての住宅が型式適合認定に該当するわけではありません。同じメーカーの住宅でも、認定を受けているものと受けていないものがあります。

軽量鉄骨造(ハウスメーカーによるプレハブ住宅)は型式適合認定住宅

軽量鉄骨造のイメージ写真

大手ハウスメーカーが建築する住宅には、軽量鉄骨造と言われる構造のものが多いです。これは、プレハブ住宅と言われることもありますが、この住宅は基本的に型式適合認定です。

プレハブ工法 (プレハブこうほう)は、 建築物 の一部又は全ての部材をあらかじめ工場で製作し、建築現場で建物として組み立てる建築工法です。型式適合認定と相性が良いことがわかります。品質のばらつきが起きにくい工場で造られた建物です。その性能に大きな差がでるとは考えにくいです。

主なメーカーとしては、積水ハウス旭化成(へーベルハウス)大和ハウス工業セキスイハイムミサワホームパナソニックホームズがあげられます。

但し、これらのメーカーは、軽量ではない鉄骨造や木造などの住宅にも対応しているため、会社名で構造・工法を決めつけないことも大事です。そして、軽量鉄骨造以外のものでも、型式適合認定工法であるケースもあります。

例えば、積水ハウスさんのオリジナルブランドである『シャーウッド構造』です。
『シャーウッド構造』は、木造軸組構法を基盤に「モノコック構法」と「ラーメン構法」の良い所を組み合わせた、独自の強固な構造です。『シャーウッド構造』の性能は木造軸組構法を用いた住宅の中で、唯一”型式認定”を取得しています。

『シャーウッド構造』では部材のすべてにこだわっています。樹齢80〜120年の北欧材など、厳しい積水ハウス基準をクリアした上質なものばかりを使用。構造実験で性能の検証も行なっているので、安全性の裏付けもバッチリのようです。

 

型式適合認定 メリット

 ここでは、型式適合認定のメリットについてまとめたいと思います。型式適合認定のメリットは大きくわけて2つあります。1つ目は、工期が短縮できること、そしいて2つ目が、オリジナル工法としてブランド化ができるということです。つまり工期が短縮されるのでコストが下がりブランド化をすることによって高く売れるというハウスメーカーにとってはとても都合の良い法律となります。

 1つ目、工期の短縮化を図ることができる

 国土交通省から適合認定してもらうことで、型式適合認定として、建築確認申請時に必要となる書類作成や、作成された書類を審査したり検査する手間を大幅に簡略化できるようになります。

型式適合認定によって、建築基準法で定められている、一定の審査項目や手順を減らすことができるので、より短期間で家を建てることができるようになります。

短期間で家を建てることができるようになるということは、年間に扱える物件数も増えます、つまり住宅を安く提供でき可能性がありますし、施主様からしても同じ性能なら早く出来上がる方が良いに決まっています。この工期の短縮こそが、型式認定工法の最大の特徴であり最大のメリットであるといえます。

 ハウスメーカー目線で考えた場合、構造計算や確認申請の手間や費用を考えると、消費者に対して、国土交通大臣のお墨付きをもらった建物を必要のない試験、検査で無駄に費用を使う必要がなく消費者に還元出来るというメリットがあります。

 そして、2つ目がブランド化できるという点になります。このメリットは角度をかえてみるとデメリットにもなりますが、型式適合認定とは特許のようなもので他社に同じような商品を作られる恐れがなくなります。この工法で住宅を建てるならわが社しかありえませんと、ブランド化を進めることができるというわけです。消費者の目線でみても、各社特色があり、選択肢が広がりますし、工期短縮の恩恵を受けることがあるやもしれません。但し、デメリットも存在します。次に続きます。

 

 

型式適合認定デメリット

 続いて、デメリットについても解説してまいります。

 建築基準法では、木造でも3階建以上から構造計算が必要ですし、鉄骨造やRC造は全て構造計算や建築確認が必須になっています。型式適合認定を取得していれば、こういった審査や検査を省略できてしまうため、第3者に構造計算や建築確認がされないまま家が建ってしまいます。国土交通省から型式適合認定に認定してもらうのはそう簡単な事ではないようですので、大きく問題があるかというのは一見では、判断がつかないところになります。事実ハウスメーカーさんの建物はそのほとんどが素晴らしい数値の建物となっています。

 判断がつかないというのは、型式適合認定で建てられた家は、依頼した住宅会社以外で構造計算などを行うことができないからです。つまり、他社から良い家かどうかの判断を受けることができないということになり、当然、依頼した住宅会社を通さないと増築やリノベーションを行う事が難しくなってしまいます。

 独自の部材や工法を用いて設計建てられた家なので、勝手にリフォームできない、すなわち建てたハウスメーカーの独占状態になり、リフォームやリノベーションをする際の費用を相見積もりすることが出来ずなくなってしまう可能性があります。現にハウスメーカーの型式適合認定の住宅の耐震補強依頼を弊社でもお断りしたケースも存在します。

 

 新築時から住まわれていて販売した住宅会社と付き合いがある場合はまだましですが、中古で購入した場合を考えると依頼先を見つけれない、費用が高くなどのリスクが発生すると考えられます。どうやって建てられたか分からないどのくらいの強さの建物かも分からないようになってしまうのが、型式適合認定デメリットとなります。耐震性をアップさせる性能向上リノベーションをお考えの方は断念する必要があります。ただし、最近弊社へのリフォーム依頼には耐震性ではなく、断熱改修を行って欲しいと断熱に対しての性能向上リノベーションの依頼も多くあります。通常の木造と比較するとハウスメーカーの建物は丈夫そうだなと感じることも多くあり、ホームインスペクションを行い建物の劣化具合は調べますが、ハウスメーカーの建物と付き合っていく事も考え方としては存在しています。話を戻して、弊社では構造計算を行い木造戸建てなら許容応力度計算など構造計算を行い数値化することから始めますが、数値化できない(特に耐震について)ことが型式適合認定のデメリットとなります。

 

 他社に自社の技術を盗まれないように認定内容は非公開になっていますが、もちろん企業を守るという側面もありますが、認定内容が他社にはわからない、クローズド工法になってしまいます。

事例の紹介 ハウスメーカーの住宅リフォーム

以前あった事例を紹介します。

東京都世田谷区 A様邸 4人家族

相談された住宅は、もう少しで築40年の型式適合認定を取得したハウスメーカーによる軽量鉄骨2階建ての住宅でした。

A様からの依頼で、相続した元々ご両親様と住まわれていた実家に引っ越しをご希望で、改装の依頼でお問い合わせを頂きました。間取りはよくあるLDKと洋室そして2階に3部屋という一般的な間取りとのことでした。依頼の段階では、構造が何か、施工業者がどこなどの問題も分からないところからのスタートです。

昔住んでいたことがあるが、約20年ぶりに住むので、A様は家(建物)の事があまりわかっておらず、住宅に関係する書類なども分からない状態でした。

そこで、まずは現地調査を行うことと、新築時の図面などの資料を探してもらうことから始まりました。結果某ハウスメーカーによる型式適合認定の住宅であることが分かりました。現存する図面は、平面図など数枚しかありませんでした。

これだけではどこに耐力壁があるのか把握できないため、お客様から新築時のハウスメーカーにこの他の図面がないかを問い合わせてもらったところ、ハウスメーカーには無いとのことでした。

建物調査では、物件の大きな損傷は見られず、今まで、A様も地震で困ったという経験もなく、そこで、主要な構造体については触れない、今の間取りを尊重しながらの断熱リノベーションを中心に進める事になったのです。

因みにA様は耐震補強工事元々はご希望でしたが、これらの事情を考慮いただいとこと、ハウスメーカーには建て替えを推奨されてしまったことなどから、今回のリフォームへ進みました。
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このように、ハウスメーカーの住宅のリフォームを行う際は構造体を活かすことのように、内部やサッシを一新するリフォームが主流となります。

 今回ご依頼頂きましたA様は耐震補強の他に断熱改修工事もご希望でした。本来その両方とも行える状況が望ましかったのですが、型式適合認定についてご説明を行い、断熱改修工事を主にする性能向上リノベーションを行う事が決定したのです。

 簡単に工事のポイントを確認しますと、熱橋(ヒートブリッジ)の遮断、鉄骨は熱伝導率が非常に高いため、外部の温度が鉄骨を通じて内部に進入してきてしまいます。その為、鉄骨をぐるっと覆う断熱方法が有効となります。次に床と天井です。鉄骨住宅の床や天井もまた、鋼製です。熱が伝ってきます。天井は特に天井は夏の日差しの影響を受けてしまいます。断熱材の選定、このように、鉄骨住宅は木造住宅とは異なり、構造体が非常に熱伝導率が高くなってしまいます。その為、その箇所箇所に応じて最適な断熱材を選定することにより、断熱の本当の効果が得られるのです。

 また、同じようなケースでも耐震補強を行わないのに、性能向上リノベーションを行うのは価格的に見合わないとおっしゃられる方も当然おられます。そのようなかたに対してはサッシの交換または追加(インナーサッシ)もご提案させて頂いております。また、2023年に続いて2024年も窓リノベ2024年補助金】高断熱窓に最大200万円!先進的窓リノベ2024事業とは? - 戸建てフルリフォーム・フルリノベーションなら増改築.com® (zoukaichiku.com)について補助金を利用できますので、リフォームをご希望の方も是非お問い合わせ下さい。

関連サイト「増改築.com」ではハウスメーカー(軽量鉄骨)の性能向上リフォーム(断熱改修メイン)について詳しく施工事例と共に解説しております。
​​​ 築30年以上のハウスメーカー軽量鉄骨造住宅の断熱改修(温熱改修) (zoukaichiku.com)

型式適合認定 まとめ

 今回は、型式適合認定について詳しく解説させて頂きました。型式適合認定はブラックボックスになっており、万が一建物が設計ミスされていても、気づくことができません。構造計算の方法がわからないからです。第三者のチェックも入りません。ただ、設計ミスや施工ミスがあることは、調査をしていない限りどの建物でも同じです。ハウスメーカーの建物の方が、工場で造られる品質の方が安定しているからという考え方も正しいと思います。結局判断できるのが、作ったハウスメーカーのみとなりますので、それを納得して購入するかどうかが重要となります。買った後にリフォームを考えては今回のコラムで解説したように遅くなり。思ったようなリフォームが行えないなんてことも考えられます。このような状態で、法規が変わった時に対応できるのでしょうか。もしも建築した会社が倒産してしまった場合は、情報は公開されると思いますが、対応することができるのでしょうか。このように型式適合認定の建物は将来的にみても一定のリスクを含んでいることを理解して購入に進んでいきましょう

 

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著者情報

宅地建物取引士 刈田 知彰

      (かりた ともあき)

ハイウィルでは主に不動産の仲介をさせて頂いております。刈田です。

私が不動産業界に飛び込んでから早16年が過ぎました。最初に入社した会社は新築マンション・新築戸建ての企画・開発・販売までを行う会社でした。そこで新築マンションや新築戸建てのノウハウを学び営業してきました。当時の私は何の考えもなしに、中古は「保証もないし」「リスクが高い」と中古のデメリットのみを説明する営業ばかりをしてきました。あるとき自分の間違えを受け入れ、これからの日本は新築が脚光を浴びるのではなく中古流通×性能向上リノベーションが日本の住宅市場のスタンダードになっていくと確信し、現在は中古流通×性能向上リノベーションをメインに物件のご紹介をさせて頂くようになりました。

新築戸建てから中古戸建てのことならなんでもご相談ください!

著者情報 刈田知彰

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増改築.comでも型式適合認定はリフォームできる? - 増改築.comを解説しております。

 

 

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